世界・頂・力祭、開幕
陽は高く登り、赤の鐘が6回鳴り響く。
「さぁさぁ今年もやって参りました!年に一度の強者共の祭典!コロッセウス名物、その名も…『世界・頂・力』!」
司会がテンション高く、魔法を使ってコロッセウス内の観客席に叫ぶ。
「実況はマイクのジョーでお馴染み、ヨセフス=トヴェイン!よろしくぅ!」
ヨセフスの自己紹介と共に盛大なブーイングが飛ぶ。
「オイオイみんなしてそんなに褒めなくってもいいだろ?さぁ選手の入場だ!」
自己紹介からブーイング、そして進行役が照れるまでがお決まりの流れのごとくブーイングは歓声へと変わる。
中央の布が取り払われ、中央に巨大な四角い石畳の足場をその周囲を川が流れている。
その巨大な足場の両側から跳ね橋が降り、跳ね橋を渡って荒々しい男たちが入場する。
「今回は参加人数が多いから4ブロックに分けたぜ!え?聞いてない?これはちゃーんとコロッセウス運営規約に則ってやってるんだぜ?ほら!」
ヨセフスは大衆に向かって冊子を広げるが当然目がいい者にしか見えない為ブーイングが飛ぶ。
「それと通年通り昨年の上位3名はシード枠だから3人に賭けてる野郎共、安心し…」
伝令の兵士が近付き、ヨセフスに用件を告げる。ヨセフスは顔を真っ青にして絶句する。
しかし流石は実況というべきかすぐさま顔色を元に戻して叫ぶ。
「悪いな!一番人気の番号札6番、帝竜剣ゴドヴィン=サージェス、母国の危機にて今大会欠席ぃ!」
ヨセフスの悲報で観客の大半が持っていた札を投げ、悲嘆とブーイングの嵐に飲まれる。
「馬鹿共!帝竜剣に賭けたお前らが悪いんだ!ちくしょー俺も帝竜剣に賭けてたから大損だぜ!」
ヨセフスも懐から札を取り出し、投げる。その様子を見ていた観客からは「ざまぁ!」や「運営も賭けてたのかよ」との声が上がる。
「くそぅ…初っぱなから波乱に満ちた幕開けだがルールの説明を始めるぜ?通年通り予選はサバイバルマッチ形式。
・リタイア宣言をする。
…まぁ当然だな?
・リタイア宣言者を攻撃する。
…そりゃそうだな?
・選手を意図的に殺害する。
…この大会には要人も参加してるから暗殺目的にされたらたまったもんじゃない!
・場外の川に落ちる
…濡れたら丸分かりだから分かりやすいだろ?
以上!4点を守った各ブロック3人計12人+3人だけが本戦出場権を取れる。良いか?気張ってくれよ!それでは第1ブロック、試合開始!」
ヨセフスの合図と共に銅鑼が辺りに鳴り響く。
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