コロッセウス予選前夜
さぁここからが長くなる…
頑張らないと…
2人と1匹は当てられた部屋に眠っていた。
ふと、扉に近いベッドの布団が蠢く。ベッドの主は音を立てないようにゆっくり布団から出て、窓際のベッドの主を見る。
「よし…2人とも寝てるな…」
扉に近いベッドの主は靴をつまみ、軋むはずもない石畳の床を忍び足で部屋を抜け出した。
扉が閉まった後、幾らかした所で窓に近いベッドの中の一対の青い瞳と目を開ける。
「サラちゃん…行った?」
窓際のベッドの主はベッドサイドに寝転ぶ真っ赤な雛竜に声をかけると真っ赤な雛竜はうっすら目を開け、小さく鳴いた。
「追える?」
窓際のベッドの主は雛竜に尋ねると雛竜は力強く一鳴きする。
窓際のベッドの主は布団を跳ね飛ばし、立ち上がる。
「よし…追うよ!」
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ガスは喧騒の中上がっていくボードの数字を見ながら唸る
「父さんは何に賭けるの?決まってないなら138564320番か138564319番に賭けようと思うんだけどどっちか賭けてくれない?」
左斜め後ろから唐突に声をかけられ、ガスは何の気なしに返す
「あぁ?誰だそれ?」
左を向く際、自分の番号が目に入った。
ガスの腕章には「138564317」とあった。
ガスは知っている。この連番は入った順になっていることを。
ガスは知っている。この後ろ3人の番号を。
ガスは頭の中で確認した。さっきの斜め後ろで言われた番号は自分の後ろ2人目と3人目の番号だった。
ガスは恐る恐る左後ろを見る。
そこには鬼神のごときオーラを発した愛娘が仁王立ちしていた。
その夜、100万だの1000万だのと数字がうなぎ登りする片隅で無名の札が2つ投じられた。その額はそれぞれ金貨1枚ずつ。
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「今回は予選突破目標だガハハハ!」
「目標低いな!俺は優勝狙いだ」
「ホラも大概にしろよ!あの帝竜剣に勝てると?」
「勝てるか否かじゃねぇよ!勝・つ・ん・だ・よ」
「はっちげぇねぇ!」
地下の巨大な控え室で男達は談笑する中、黒い猫耳の剣士はうっすら目を開ける。
『うるさい…』
競う内容は明日試合開始前に発表されるらしいがその内容も変更がなければ通例通りらしい。
勝ち上がれば褒賞金がもらえるらしく、それ目当ての者も多いんだとか…。昨年の上位3人は予選確定勝利として扱われ、本戦からの出場らしい…。
姉である銀髪の魔術師は参加受付のあと別のところに案内されていた。おそらく違う予選の組なのだろう。
黒い猫耳の剣士は周囲の選手を見る。
『…自分の武器を見せびらかして馬鹿ばかり…』
剣士は腰に差した剣を見る。
「予選で抜く必要はないかな…」
剣士の呟きは選手達の喧騒に消えた。
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