コロッセウス
剣士と魔術師を乗せた行商人の馬車は森を分断する街道を進む。
森が途切れ、左右が拓けた場所に名前がない剣士と魔術師は目を見開く。
そこには石造りの円形の建物が1つそしてその周りを囲うように馬車が所狭しと並ぶ。
「あーそういやもうそんな時期だっけか…」
ガスは何かを思い出したかのように額に手を当てる。
「父さん、なんなの?あれ…いつもはただの廃墟なのに何で今日は賑わってるの?」
「ありゃあ雨季限定で賑わう国なんだコロッセウスって国なんだが…。強者達が誰が一番強いかを決める祭りを年に1度あの川が流れている間だけやってる…」
3人は建物の北と南を見るとそれなりに太い川が流れている。
「何で川が建物の中を通ってるの?」
「何故雨季にしか賑わわないのかしら」
「川と祭り、戦い…何が関係してるの?」
「全部入ってみりゃわかるよ…」
ガスは適当なところに馬車を止め、兵士を呼ぶ。
「おぉ!ガス!今回は来たんだな?やったな!まだ予選前だ!アレは明日の昼までだぜ。今回の面子はすごいぞ?ちなみに俺は竜帝剣にやったぜ?」
「マジか?あの竜帝剣が出てるのか!」
「竜帝剣だけじゃないぞ?氷虎双剣に聖光騎士団の団長、百式水軍と誰が優勝ってもおかしくないぜ?」
「なんだその豪華な面子…誰にするか迷うなぁ」
「まぁよく悩めよガス」
「そうさせてもらうさ〜」
「何の話?」
ガスの娘フォスは首を傾げながら父親に尋ねる。
「お子ちゃまにゃはえぇよ」
兵士の言葉に父親をにらむフォス。
「…お前にゃまだ早いってのは確かだな…」
4人はコロッセウスと呼ばれる建物の国の中に入っていく。
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