行き先
「次の目的地はリュグナ教国で良いか?」
ガスが不安そうに名前のない剣士と魔術師に尋ねる。
「私たちは別に行き先が決まってる訳じゃないので…」
剣士は事無げに言うと魔術師は頷く。
「私たちの旅の目的は美味しいものを食べて回るた…痛い!」
魔術師の言葉の途中で剣士は踵で魔術師の爪先を踏みつける。
「まだ見ぬ私達の主を見つけるためですから…様々な場所にいくあなた方の都合がいいので」
「決まりだ。とりあえずは次の行き先はリュグナ教国。そこに冒険者ギルドがあるからそこで冒険者登録をすれば良い。」
「冒険者?私たちは従者で…」
剣士はしり込みするとガスは「わかってねぇな」と言って続ける。
「冒険者なにも本職にする必要はない。主を見つけるまでにすれば良い。それに悪いことはないと思うぜ?発行されるステータスカードは全国共通の入国許可証のようなものだからな。他の国に行って主を探すってんならこれ以上ないメリットだと思うが?」
「そうね。たしかにその通りね。でもそれだけかしら?」
ガスの言葉に引っ掛かった魔術師は少し目を細めて言った。
「姉さんの方はお見通しっぽいな。リュグナ教国についたら俺は依頼板に依頼を貼るからあんたらに受けてほしいんだ。」
「…内容にもよる」
「それはな…」
ガスは少しもったいぶって間を開けて言った。
「3食まかない付きで次の国までの護衛。報酬は1回一律銀貨3枚」
「「乗った!」」
「安っ!!」
ガスが発表とともに剣士と魔術師は即答するが、フォスはあまりの安さに思わず開いた口が塞がらなかった。
ちなみに基本護衛の相場というのは最低金貨2枚から、実力によっては大金貨5枚はかかる。それが約1/10であるのは破格もいいところである。
読了感謝です。
皆様のアクセス1つ1つが励みになっております。