クリスマスイブのイブのイブ
ケーキ。
ふわふわのスポンジにたっぷりクリームを塗り、フルーツを飾って可愛く仕上げたその物体。
「どうしよう……これ……」
それは今、わたしをすごく悩ませていた。
十二月も終わりかけ、22日。クリスマスには早すぎる。
そもそもなんで、ケーキ作っちゃったかと言うと……
暇だったんだよ!学校短縮だったし受験終わっちゃったし!それにお菓子買いに行ったら製菓材料安かったの!
一人で食べるには大きすぎ……お兄様いても大きいわ。甘いものそんなに食べないし……
せめて茜ちゃんの底なし胃袋が……そうだ!
学校鞄からケータイを引っ張り出し、メール画面を開く。
「宛先:茜ちゃん
件名:ケーキ焼いた
本文:暇だからお菓子パーティーでもしない?ってもお兄様と茜ちゃん姉弟しか呼ぶ人いないけど……」
送信っと。
十分ほど経っただろうか。ケータイがお気に入りの着メロを鳴らした。
「送信者:茜ちゃん
件名:何故焼いたんですか…
本文:いいですよ!今から支度して出るので……二時間後の五時に行きますね。」
二時間って……一体どんな支度する気なんだろう……うちと茜ちゃんの家って一時間かからずに行き来できるのに……
ケーキ冷蔵庫に入れたし、お兄様に報告したし、ジュースでも買いに行こっと。
二時間後。
ジュースとティーポット。寒いから暖かい紅茶もいいかな、なんてね。
リンゴーン、と呼び鈴が鳴る。インターホンのカメラに映ったのは茜ちゃん。
『待たせて悪い!』
「いいよ別に……今玄関開けるね」
茜ちゃんは黒い上衣に赤いチェックのスカート。私服久々に見たけど、可愛い。
「美里ちゃん達は?」
「美里は部活、薫は友達と遊びに行った」
「あがってあがって!もう少ししたらお兄様帰ってくるって」
「そうだ、クッキー焼いたんだ。一緒に食べようぜ」
「二時間ってそれ?」
まさかクッキー焼いてたとは……
十分ぐらいして、お兄様が帰ってきた。
「ただいま、希美。茜さんも来てたんだ」
「おかえりなさい!」
「お邪魔してます」
「どうも、いらっしゃい」
実は茜ちゃんとお兄様は面識がある。どうもわたしが留守の時に忘れ物を届けてくれた時が初対面らしい。
「このクッキーね、茜ちゃんが焼いたの」
「上手くできてるといいけどな」
茜ちゃんのお菓子は大抵美味しい。たまに「失敗した!」って言うけど、どこを失敗したのかわからない。
茜ちゃん、変なところで凝り性だもんなぁ……
「こっちのケーキが希美の?」
「そうだよ!茜ちゃんの以上に怪しいんだけど……」
「早く切ろうぜ!」
茜ちゃんに言われて、ケーキを四等分する。一個にはカバーをかけて冷蔵庫に。
「いただきます!」
茜ちゃんのクッキーは中に硝子みたいにキャンディを埋め込んであるのと、チョコチップを混ぜてあるの、シンプルなのの三種類。
「やっぱり茜ちゃんのクッキー美味しい!」
「ありがとな。希美のケーキもうまいぞ」
「二人とも菓子作り上手いね。茜さんは普段料理するの?」
「いや、あたしはあんまり……たまに夕飯作るぐらいで」
「夕飯自分で作れるの!?」
「あたしんとこ、親がなかなか帰ってこないから。あんまり大したもん作れねーけどな」
茜ちゃん、料理するんだ……ちょっと意外かも。
「なんだよ、あたし、そんなに料理しないように見えるか?」
「違うよ!ただ……」
茜ちゃんの作ったご飯、食べてみたいな、なんて。言えるわけもなく。
茜ちゃんはずっと「?」マークを頭から出していた。
「ケーキご馳走様。じゃあ水曜学校でな!」
六時半。外は真っ暗だから、お兄様が茜ちゃんを送っていくことに。
茜ちゃんは「一人で帰れる!」って言ってたけど、お兄様の「年頃の女子が夜一人歩きしない!」に負けておとなしく送ってもらうことにしたみたい。
ぼそっと、「…………しさ振り撒く……い」って言ってた。所々聞き取れなかったけど……
明日は祝日。水曜が終わったら冬休みか……
しばらく、茜ちゃんに会えないな。寂しい。
答え:菓子パしようぜ。
おひさしぶりです。
今回、お題は「パーティー」なのですが…
あれ?これオッケー?な何かです。
申し訳ない…
この小説を読んでくださった皆様、いつも雪野のわがままに付き合ってくれている相棒の文房群さんに、感謝を…




