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デュアル・クロニクル  作者: 不破 一色
第2幕
31/31

 2-1

投稿遅れてます(><; 最近と言うか、ここ一ヶ月程、寝落ちが毎日の日課と言う感じなのも有りますが、先にアップした幕間2(1.5-2。今日というか、今週の投稿1/2)も、1.5-2なのに、2-1で投稿してるし・・・(修正終了済み)。

other storyは暫く休載で、詳細は活動報告とかの件、活動報告に書いた後の意識が無い罠(、、;

そういう感じなので、暫くは不安定になる可能性があります。

 


 朝になり、宿を引き払って食事処へと向かう。

 自分と玄太に割り当てられたのは、他の衛士衆の人達と同じ陣屋内という事なので、朝食を終えたら早速向かう事になっている。

 何しろ、宿を引き払えば自分達は行く所が無いのだから。

 陣屋で副隊長と待ち合わせていて、住む場所に案内してくれる事になっている。


 朝食を終えて、みんなで陣屋へと向かう。

 演習場に行った時と、この地の主達に会いに行く途中に、外から陣屋は見ているので、場所的には問題無い。

 高台の上に造られた陣屋の門に至る坂道を上がる。既に門の所で、ブンブンと音が聞こえそうな程、両手を大きく振り回している副隊長の姿が見えるんだけれど、さて、どうしようか。

 実際にはどうする事も出来ずに合流。そして案内された先で、自分達は呆けてしまう事になった。


 機能の夜、石動さんに聞いた話しでは、通常は陣屋と呼ばれる壁に囲まれた一帯に建てられた建物内に、衛士衆の人員が部屋が与えられるという事だった。

 実際に陣屋に入ると、幾つもの建物が建てられていたのだけれど、これは万一の際に住民を避難させる場合も有る為の、いわば避難所も兼ねている事が理由だ。

 衛士衆の本部となっている建物は、門をくぐって直ぐの所にあり、これは万一の際に即時対応する為のものだろう。

 直ぐ横には長屋の様な、幾つかの家を繋げた印象の三階建ての大きな建物があり、そこの部屋が与えられるのだろうと思っていたのだけれど、副隊長はそこを無視して奥へと進んだ。

 門の辺りと違い、奥には一軒家が建てられていたので、何か妙な予感がした。


「ここっすよ」


 と、副隊長が示したのは、壁こそ無かったものの、周囲の一戸建てと比べても大きな、武家屋敷の様な立派な物だった。

 聞けば非常時に、町の長一家が暮らす為に建てられた家だと言う。

 今日は仲間達全員が居るけれど、明日には町を出る予定なので、実際に住むのは自分と玄太の二人だけだ。

 そもそも昨日、副隊長は『手狭だけれど一応全員が休む事は出来る』と言っていた事から、相応の場所を思い浮かべていたし、場合によっては女性陣の泊まる部屋を特別に借りられないか、交渉するつもりでさえいた。

 けれど、案内された先は、どう見ても家ですらない、屋敷だった。

 これで手狭かどうか以前に、明らかに無償提供を受けて良い建物では無いし、二人で住むにしても広すぎる。


「隊長と管領が住むんすよ? それなりじゃないとおかしいっすよ」


 と、副隊長は言うけれど、そもそも通常は部屋を与えられるだけだと聞いている。

 これは完全に予想外だった。


「そうは言っても、この町の衛士衆では元々人数があまり居ないし、更に、町に住む場所がある隊員はそこから通っているから、周囲にある家が提供されているっす。

 隊長と管領が住むから、それより上のを選んだっすよ」


 という事らしい。

 この町ではそもそも、緊急時の避難は一時的なので、住む方に一軒家を割り当てているのだそうだ。

 加えて言えば、本来の用途は非常時に町の長一家が暮らす為だけれど、非常時しか使わないのだから無駄だとして、建てはしたから維持はして来たけれど使っていないのだと言う。

 何でも、広い家は落ち着かないという理由らしい。何という無計画建設だろうか。


「使わないと勿体無いっすからねー」


 ・・・お前には言われたくない、と言う状態でしか無い。

 とは言え、どうせ承認がおりるだろうと決めつけて、衛士衆の、手の空いている人達が掃除とかをして準備万端らしいので、ごねていても今更だった。

 この町に来てから、事後承諾ケースばかりな気がする。しかもかなり優遇された印象が強い。

 何かが間違っている気がするのだけれど、この町はいつもこんな感じだと言われてしまえば、返す言葉がないのも事実だった。


 こっちに来てから宿や店を除いて、居住用建物に入ったのは町長の家くらいしか無かったけれど、この提供された家について印象的だったのは、見た目が古い日本家屋の様だと言うのに密封度が高いという事だった。

 あっちで日本家屋等の古い建物は、障子だけで外と仕切られていたりという感じの造りを幾つも見たけれど、こっちの建物は今のところ、あっちで言う最新家屋の様なしっかりした作りとなっていた。

  はっきり言えば、最新住宅をあえて旧来の日本家屋風に仕上げたという印象だった。ましてやここは町長一家用に建てられた家だから余計にである。

 家に入り、一通り見て回った後は、入って直ぐの所の、居間と思われる広い部屋に全員が集まっていた。

 この部屋だけで十二畳程あるらしい。ここだけで十分に全員が寝られるが、昨日副隊長が言っていた、手狭だけれど一応全員が休めると言うのはこの部屋での雑魚寝の事では無く、寝室に当てられる部屋が六畳程の広さだかららしい。

 六畳は、こっちでは手狭扱いなのか?

 ちなみにこの家にはこの部屋を含めて十部屋もあるし、台所に加えて風呂とトイレも完備なのだから、これを手狭とは絶対に言わないし、正直認めたく無い。

 広いと落ち着かないと言うのは、猫族に限らないと実感する事になったのだった。



 今日は予定では、オレ達は旅の準備の為に買い物に回る筈だった。

 けれど、所詮予定は予定でしか無いという事なのだろうか。どうせ昼食を食べに出るのだから、その流れで買い物へと考えていたオレ達の所へ、衛士衆隊員が飛び込んで来て、事態が大きく動く事になった。

 いや、何故か一緒になってのんびりしていた白石悠か、一応隊長として正式に承認された川瀬辰弥の所に飛び込んで来たのだろうけれど。


「酉の方角からの道より、大量の魔獣が町に向かって来ています!」


 その急報を受け、今すぐにでも飛び出して行こうとした白石悠を止める川瀬辰弥。行動パターンを読んでいた様だ。

 そのまま隊員に詳細を話す様に促す。

 曰く、天神街と肥前を行き来している旅商人が、今日の早朝肥前に向けて出発したのだけれど、稲佐山の峠を越えたところで、前方に西方の魔獣と思われる群れが向かって来るのを見た為、取引をしているこの町の商人に遠話機で連絡を入れて来たという事だった。

 山の中であり、峠と言っても高低差はあまり無いという事で全体は見通せなかったものの、道や群れの状態から考えると五百程は居るだろうと言う。


「そんな。西方の魔獣が五百も居るのはおかしいっす!」


 その気持ちは俺にも分かる。西方のという以上は、本来この辺りには居ない魔獣なのだろうし、この数日の間に知った知識では西方とはヨーロッパ方面を指すはずだ。

 どちらにしろ五百もの数なら、少数で突出しても手に余るだろうし、下手に手を出して群れが分かれ、山中に分散されると困る事になる。


「数が数だ。周囲に分散されない様に対応しないと、面倒な事になるぞ」


 その戸畑天の意見には賛同だ。川瀬辰弥もそう思ったのだろう、対する場所や人員配置を考えてから動く必要が有る事を白石悠に説いていた。

 それを受けた白石悠は衛士衆全員を集める様に隊員に伝える。

 場所と、群れの動きから判断して、この町に来るまで一刻半(三時間程)はかからないだろうという状態なので、急いで動く必要があるのだ。


 飛び出して行った隊員と入れ替わる様に、別の人間が飛び込んで来た。

 何でも同じ酉の方角だけれど山間の細道、つまりオレ達がこの町に来る時に使った道から、肥前鎮守隊の将数人が、町に向かって来ていると、山に入った狩人から連絡があったらしい。

 それに対して、またしても声を上げたのは白石悠だった。


「何でこんな所に居るっすか。

 単独で鎮守隊の者が動くのは禁止されてる筈っすよ」


 曰く、鎮守隊とは国外からの侵攻を防ぐ為に置かれている部隊だけれど、実際にはこの数百年で大きな侵攻を受けた事実はないし、それ以前でも小規模の、種族による侵攻はまれにあった様だけれど、国としての戦いは知る限り無いと言う。

 その為鎮守隊と言うのは、建前としての日之本防衛部隊ではあっても、実際にはいわゆる窓際部署と言うか、厄介者を押し込めておく為のものという状態にあるらしい。

 鎮守隊はその建前の通り、置かれた地を守る事で侵攻を食い止める事が優先されている為、民等が逃げて来た後からであればともかくとしても、鎮守隊の将が持ち場を離れて動くのは普通あり得ないと言う事だったし、そもそもが厄介者扱いだからか、単独での移動は禁止されているらしい。


 鎮守隊の将が使っている道は、稲佐山の先で魔獣が迫って来る道と繋がっている、いわゆる間道らしい。

 つまり道こそ異なるものの、同じ方向から両方とも町へと向かっている事になる。

 何かおかしな事態が進んでいる事は疑い様が無いだろう。

 鎮守隊がこの町に着くには、あと半刻もかからないらしいので、少なくとも同時に相手をしなければいけない事態だけ避けられそうだ。


「隊長、どうすればいいっすか?」

「どうすればと言われても・・・」


 白石悠が川瀬辰弥に聞くが、当然ながら困惑状態にある様で、適切に指示が出せる状態では無さそうだ。

 隊長になったとは言え、未だ衛士衆としての活動さえしていないのだから無理も無い。


「誰に任せるとかって指示でもいいっす。

 指示したらあたし達は動きますんで、隊長と管領はここで守りに入っててくれて良いんすから」

「いや、この状況で流石にそれは・・・」


 衛士衆隊長と副隊長の話しは続く。

 オレとしては話し込んで、戸惑っている場合じゃないだろうと思うのだけれど、事は町の衛士衆が担当する範囲のものだから、口を挟んで良いのか判断が付かない。

 そんな時、『どんっ』と大きな音がした。

 見るとそこには、いつの間にか立ち上がって長槍を取り出し、石突き部分で床を突いた荻野玄太の姿がそこにはあった。


「先輩っ、何より町の人達の避難と、防衛体制をどうにかしないと」

「お、おう。そうだな玄太。すまない」


 既に身体が震え始めているけれど、必死な形相で、それでもしっかりと顔を上げて訴える荻野玄太。それを受けて川瀬辰弥は、白石悠に幾つかの確認を行った。


「白石副隊長、この陣屋内に町の人を避難させるには、衛士衆が呼びかけて回るのか?

 あと、避難までにかかる時間は? 町の外に待ち伏せし易い場所はあるか?」

「はいっ。ちょっと待っててほしいっす」

「あと、肥前の、鎮守隊の基地がある地区に連絡を入れて状況の確認を」

彼杵そのきの街っす。確認入れるっす」


 そう言って、家の前に集まりつつある衛士衆隊員の所へと走り、何人かに声をかけてから戻って来た。


「避難に関しては長に任せれば良いので、一人走らせて、そのまま総合窓口所に行って、彼杵と連絡取る様にも指示しました。

 避難は、時間的には早ければ一刻あれば避難完了出来ると思います。

 待ち伏せに向いた地点は、地図を持って来る様に指示したので、少し待って下さい」


 真面目になって口調も変わった白石悠。やれば出来る人なんだなという感じだ。

 この動きの切っ掛けになった荻野玄太は、槍を杖代わりにして、今にも倒れそうになっている身体を必死で押さえていた。

 オレは手を引いて座る様に促すと、それで気が付いたという感じでしゃがみ込んだ。


「みんな、オレ達はどうする?」


 そう聞いてみたが、応えは大体予想出来ていた。確認作業の様なものだ。


「戦えない人が居る町を見捨てられません。

 可能なら迎撃に加わりたいです」


 と水流が言うと、今野は。

 

「衛士衆と連携が取れるか不安だから、門から入れない様に、守りに動いた方が良いかもね」


 と言った。二人共、ここで大人しくと言う選択は無いらしい。


「まぁ、みんなに合わせるよ」


 とは戸畑天の言葉だ。

 それらを聞いて、オレは一つの提案をする事にした。


「相手は五百だ。衛士衆は数が少ないと聞いているから厳しいだろう。

 ちょっと考えている事が有るんで聞いて欲しいんだけど」


 それは、策という程のものじゃ無い。

 単にオレが知っているのは仲間内の戦闘力と、戦い方だけだから、それで出来る事を考えたに過ぎない。

 問題となるのは場所だった。

 こっちの人達は、環境への影響にかなりこだわる傾向がある様なので、影響を最小限に抑える必要があるだろうと考えたのだ。

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