表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アゲイン×2 《クロスツー》  作者: 紺堂 悦文
第五章 魔法の言葉
96/140

金紗のおとこのこ (?

 



「ねえねえジン。ぎゅーってして。ぎゅーって」

「やだよっ。……つーか、もうお前がしてんじゃねえか。離れろよ!!」


 いつの間にか、居間からジークエンドは消えていた。

 面倒事からすぐ逃げる男の足音は、その場の誰にも聞こえなかった。


 ソファーの上は、夜の酒場のようになっている。しかし先ほどまでとはほんの少し違い、老人サジタリアの横にはシズも座らせられていた。


「おーおー。お前も可愛いのう。アーゼルフィアの友達か? 仲良くしてやってくれよ」

「友達です。大好き、です!!」


 その言葉を聞き、アゼルは下を向いた。


「そうかそうか。本当になぁ……。頼んだよ。お嬢ちゃん」


 酒で赤らんだ顔を微笑ませて、シズの頭を撫でるサジタリアは、先程までの空気を感じさせない。

迅八の目には優しそうに映った。


「……おい、グルグル。眼鏡の奥で隠した美貌は、とてもじゃないが隠せてねえ。知ってるかこの言葉をよ。……ジュ、テェェエエム」

「はぁ。そうですか。リネンとお呼び下さい。クロウ猊下(げいか)


 クロウも、両脇にクーロンとリネン——ふたりの女をはべらせてご満悦だった。クーロンがどんな表情をしているかは言うまでもない。


 バーカウンターにはアマレロが座っている。アマレロの前に酒の入ったグラスを置くと、コルテは呟いた。


「はー……。しかし、まさかジジイと知り合いとはねえ。さすが千年の大悪魔……伊達に歳取っちゃいねえですね」

「お〜? けどよ〜。完っ璧にあのジジイがへりくだってやがんぞ〜。ただの知り合いじゃなさそうだな〜」


 酒に酔い、顔を赤らめさせている老人は、生ける伝説——『救国』のサジタリアだ。

 どんな国の国王だろうが、北の国の皇帝だろうが、サジタリアを前にすれば最上のもてなしで出迎える。……『愚王』アルトリウス・ロンダルシアを除けば。



 迅八とイエリアもカウンターに座る。二人に飲み物を出してやってから、コルテはソファーの老人に向かい切り出した。


「ジジイ。あんたがわざわざ何をしにきたんです? 多忙なあんたが他の用事をほっぽって何をしに?」

「アーゼルフィアの顔を見にきた。……それ以上に重要な事などこの世界に存在するんか? 言ってみろ」


 即答だった。

 そして、誰も何も言い返せなかった。


「……もー。はいはい。んじゃオレから説明するよー」


 ゴロゴロと迅八の胸に顔をすりつけていたイエリアが、その上唇を開く。皆は自然と彼に注目した。


「いま、ロンダルシアの偉い人たちは頭を抱えてる。突然この町を襲った問題のせいでね」

「え、なに? なんか危ないこと? ……どっかが攻めてくるとか?」

「ジン、君の事だよ。みんな君に興味をもっている。異界からの転生者と、それと結ばれた千年の大悪魔にね」

「は? 俺!?」


 間抜けな声をあげる迅八。

 それを見たクロウは、黙ってクーロンの胸を揉み続けていた。


「あんた……。本当に、後でどうなるか分かってんのかい……?」






 ————————————————






 ……大草原で迅八とキッド達が交戦した時、一人だけ先に逃げ出した者がいた。

 その者が商人ギルドにもたらした情報に、ギルド内は震えた。



『千年の大悪魔復活は事実であり、魔人形態まで確認した』

『それと結ばれた転生者は、死なない(・・・・)

『キッドとキリエはロックボトムと事を構え、千年の大悪魔と交戦し、わざとではないが十二使徒の一人に重傷を負わせた』



 大激震。

 それから少しするとキッドとキリエが戻ってきた。二人から詳しい事情を聞くと共に、商人ギルドの人間達は悩んだ。

 ——この事をどうやって処理したらいいのか。王に報告するべきなのか。



 商人ギルドは民間の組織なので報告する義務はないのだが、この問題は確実に大きくなる。下手したら、天使と悪魔とロックボトムが、商人ギルドと敵対するかもしれないのだ。

大きくなってから王の耳に入れば、まずいことになるかもしれない。


 困ったギルド幹部達は、『大自由貿易都市』に滞在している商人ギルド大盟主に手紙を飛ばした。

 訓練された空飛ぶ魔獣により往復させられたその(ふみ)には、こう書いてあった。



『……ロンダルシア王に報告。キッドとキリエに言っておけ。自分の尻は自分で拭け』



 キッドとキリエは王の広間に呼び出され、詳しい事情を報告させられた。

その話を聞いた『愚王』——アルトリウス・ロンダルシアは、その転生者の少年にひどく興味を持った。

 そして、愚王の横に立つ男。救国のサジタリアは叫びをあげた。


『……千年の大悪魔がこの町に!? 魂食様が!?』






 ————————————————






「……つまり、アルトリウスのバカがてめえ〜に会いたいんじゃってよ。このヒヨコが」

「王様が俺に? なんでそんな……。あとさ、じいさん、なんか俺にだけ厳しくない?」

「理由を知りたいのか? ワシの可愛いアーゼルフィアにまとわりつく小蝿。……小蝿は小蝿らしく、馬糞にでもたかってりゃいいものを」

「……いや、なんとなくもうわかった。っていうか、じいさんはアゼルのなんなんだよ」

「てめえーに関係あるんかヒヨコォ……!!」


ノンビリとアマレロが言う。


「ま〜ま〜……んで? ジジイ、てめ〜はクロウとどういう因縁があるんだ〜?」


 アマレロの言葉を聞き、老人がクロウの顔を伺う。

クロウは何も言わなかった。——好きにすれば? そんな顔をしている。


「……ヒヨコ。お前、さっき言ってたな。三千対一、いくらなんでもそれはないと。……実はその通りじゃ。本当の数字は違う。ま、おおよそじゃけどな」

「まあ……そりゃそうだよね」

「……です?」


 シズがサジタリアの袖を引く。

 純粋に物語にのめり込んでいたシズは、ほんの少し残念だったのかもしれない。

 その黒髪の少女の頭を、サジタリアは微笑みながら撫でた。



「本当はな。……敵は、もっといた」

「は?」



 その場の幾人かが迅八と同じ呟きを漏らす。

伝説の勇者は自分の腰に下げた剣に触れた。……グランソシエ。世界最高の聖剣。


「正確な数字なんてわかりゃせんが、視界のすべてに敵が見えた。……これは本当の話じゃ。この剣に誓って。しかし、ワシも一人ではなかった」


 サジタリアがソファーから立ち上がると、クロウに向き直った。


「……その場には、あと『二人』いた。姫を、民を、……我が誓いを守ってくれた御仁達が」



 その膝を折り

 その拳を地面につけ

 伝説の男はクロウの目を真っ直ぐに見たあと、その頭を深く下げた。


「……ただ一つの誓いを忘れた事はありませぬ。しかし、あの日に生まれたもう一つの誓いも忘れておりませぬ。……寄る年波に逆らい、みっともなくも生き続けました。あなた様にご恩を返す。その誓いを果たす為に」


 伝説の男。

 おとぎ話の主人公が、頭を下げている。

 この場にいるもう一人のおとぎ話の主人公——伝説の大悪魔に向かって。


「……あの日。迫り来る軍勢を前にワシと共に戦って下さったあなた様に、いつかお礼を申したい。姫も最後まで言っておったそうです。……ワシの口からで申し訳ありませぬが、故人の言葉、なにとぞお納めくだされ」


「……は。くだらねえ。あんなもんは気まぐれだ」


「「「「えーーーーーーーーっっ!?」」






 ————————————————






 酔い潰れたサジタリアは、リネンと呼ばれた女に背負われ、帰っていった。



『……近いうちに、ロンダルシア王からあなたに召喚命令が出されます。あなたにとって不利となるものではないので、逆らわないように』



 そう言って帰っていったグルグル眼鏡は、最後までその奥の目を見せなかった。




 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「腹が減ったぞ。コルテ、食事はまだか?」

「ジークエンド。あんた、本当に分かりやすいですね……」


 二階からジークエンドが降りてくる。

 一階では酔っ払ったクロウが、アマレロに押さえつけられていた。


「てめえ、アマ公っ。なんでてめえが!!」

「お〜、悪りいんだけどよ〜。ここでこうしとかねえとよ〜」

「……クロウ。覚悟は出来てんだろうね」


 かたや、迅八はアゼルに押さえつけられていた。これから、結魂により襲い来る痛みに、暴れ出さないように。


「ジン。動くな」

「は、離せよアゼルっ。……ちょっと、やめてよクーロン!! 俺はなんもしてないでしょ!?」

「ごめんよ坊や。あんたは悪くない。……本当に、ごめんよ……」

「ちょ、ちょっやめ……うぐっっ!?」


 ズドン。突然、迅八の肝臓を刺す痛み。

 アゼルに殴られた時の数倍の衝撃。


「い……、は、はぁぁああ……!? いっっだああああい………!!」


 クーロンは、クロウを本気で殴りつけた。迅八の視界の端で、クロウが先程まで飲んでいたものを口から噴出させた。


「お〜!? きったね〜なおめ〜よ〜。俺は、まだてめ〜のかっこいいとこ一度も見てね〜ぞ。……こいつ、本当に千年の大悪魔なのか〜?」

「……いいや違うねえ。そいつはただの哀れな犬だよ。これから、自分のゲロの海の中で寝る事になる……」


クロウは、死にそうな顔になりながらもクーロンに向けて口を開いた。


「で、でんめえ……おえ〜……。人が酔って動けねえと思っ、おえ〜〜っ!!」

「違うだろ? あんたに許されてる言葉は」

「く、くかかかかかか……。でんめええ……。でめえには、『触手極楽地獄園(オクトパス・ヘブン)』の上、絶技『昇天顔四本指(アヘーガダブルピース)』を食らわせてやるぜええええ……!!」

「フンっっ!!」

「アヘっ、おぶ、おえええ〜〜ッッ!」


「……もう一度だけ聞く。本当にいいんだね? その態度で……」






「……ゆる、じで」













 大悪魔は許しを乞うた。

 千年の時を越えてきた大悪魔。

 サジタリア伝説——グラン・ソシエの陰で、彼を助けたのだという大悪魔が、吐瀉物を撒き散らしながら亜人の女に許しを乞うた。



「……ふ〜。スッキリしたあ……って、なにしてんのクーロン。ちょっとさあ、困るよお。オレのジンまで痛がってるじゃない」


 トイレから帰ってきたイエリアが、アゼルの手を振り払い、迅八を抱え起こす。

 それと同時にイエリアの作り出した結界により、アマレロとクーロンがクロウのそばから弾かれた。


「はいはい、おしまいおしまい。もうっ」

「イエ、リア……。天使、さま……」

「そうだよ〜。よしよし、みんなひどい奴だね。ジンの味方は、オレだけなんだよ……」


 そのまま迅八は気絶した。






 ————————————————






 ——しゅらりと。迅八の耳に、何かが動く音が聞こえた。


(なんの、音)


 身をひねろうとした迅八は、自然に脇腹をかばった。

すでに体は回復しているようだが、痛む気がしたのだ。クーロンのアレは、恐怖を刻み込む打撃だった。


「俺は、なんもしてないのにぃ……!!」


 しかし、いつもと立場が逆になっただけだ。いつもは迅八の傷にクロウが巻き込まれる。


「ちょっとあいつの気持ちが分かった……。これからは気をつけよ」


 また、しゅらりと。音が聞こえた。

 迅八はいつの間にか、自分にあてがわれた部屋のベッドの上で、横になっていた。

 窓を見れば、見上げる形で星空が広がる。その星空を切り取っている窓枠——それが、光に照らされているのに気が付いた。


「明るい……」


 窓枠を照らす光に迅八が振り返ると、そこには天使が立っていた。


 ……腰まで伸びた金紗の髪。長く伸びるまつ毛。

 天使の背後にはぼんやりと光が浮かぶ。その光の翼に照らされて、天使はそれ自体が光を放つ。



「イエリア……」


 ——しゅらりと。

 衣擦(きぬず)れの音が。



 金紗の天使の足元には服が落ちている。

 残されたわずかな布が、華奢な天使の腰骨にかかり、そこから下だけが薄い布に隠されていた。

まるで、古代の芸術家が、自分の描いた絵画の中に、ほんの少しの良心で付け足したような布。……迅八の目の前で、美しい少年の口が開く。


「ジン……」


 白い肌。

 その頬が朱く染まっている。


 ——はあ……


 まるで、冬の寒空の下のように、天使の吐く艶かしい吐息が見える。

 薄い胸。——薄くて当たり前のその胸は、本当にうっすらと盛り上がっていた。

 ……白い肌。薄く、薄く盛り上がった胸。その先端の、小さな果実のような粒。

 そこを思わず見てしまった迅八はドキリとした。


 ……そして言った。






「……いや。おまえ男だろって。別に見ていいだろ!!」

「わーいジン!! ねえねえ、寝よ寝よっ!!」


 ばふーん。

 豪快にダイブしてくる少年を、迅八はさっと避けた。


「いたいっ! ……ちょっとおっ、普通、受け止めるでしょっ!?」

「普通避けるわ!! なんで裸の男に飛びつかれなくちゃいけないんだよっ」

「いいじゃんいいじゃん。ほらほら詰めてよお。ねえねえ、へいへいっ」


 ため息を吐く迅八の胸の中でゴロゴロとするイエリア。その胸の先端の突起——それが迅八の裸の胸にあたり、やはり迅八はドキリと、


「しねえええええわっ!! ……え? なんで俺、下着だけなの!?」

「え、服着たままの方がいいの? ……まあ、別にオレはジンに合わせるけど」

「てめえかッッ!!」


 しばらくぎゃあぎゃあとやりあった後、迅八はなんだか色々とめんどくさくなり横になった。

 階下からは物音が聞こえる。

 まだ他の者たちは、下でなにかをやっているらしい。


「……そういやさ。お前、教会でなにやってたの? もっと早くに来るかと思ってたよ」

「んー、ほら。商人ギルドとの話とかさー。色々めんどくさいんだよ。オレ、なにげに偉いからね」

「そういやさ、キッド……つーか、トムとかもこの町に居るの?」

「居るよー。そのうち会う事もあるんじゃない?」


 イエリアの手は、常に迅八の体をまさぐっている。

 薄く、羽毛が舞うようなその手の動きが脇の部分に当たり、迅八の肌がひゅんと粟立った。


「ちょっと、もうやめてよ本当に。もっとさあ、男の友情を深めようよ!!」

「本当にそっちの方がいいの?」

「は? どういう事?」

「オレはなろうと思えば、フッツーの男の外見にもなれるけど、本当にそっちがいいの?」


 迅八は思い出す。

 元の世界の自分の友人達を。


(……えーーーーーっと)






 ——バンッッ!!!!



 突然、響いたその音に迅八とイエリアはすくみ上がり、思わず抱き合った。



「ジ、ジン。なあに? 今の音」

「……よく分からねえ。けど……まるで、中学生くらいの女の子が、壁を蹴ったような音だったな」

「うん。まるで……『そんな事したら殺す、です!!』……って、言われてるような脅迫じみた叩き方だったよ」

「俺も感じたぜ。……不思議な事があるもんだな」

「うん、不思議だよ……。なんだったんだろう」



 思わず抱いた体を離して、迅八は横になった。

気狂い天使のペースについていったら体が保たない。


「あー、もういいや。……イエリア、他にはなんもなかったの?」

「ん、んー。……あったっていうか、これからあるっていうかー」

「なにそれ? 意味深だなあ」

「んー。……ジン、この町に大物が向かってきてる。多分そろそろこの町に着くよ。君とクロウに会う為だ」

「は? 大物ってなに? ……まさか、十二使徒?」

「うん。ま、別にだからどうしたって話なんだけどね。どんなのが来るかはお楽しみだあ……。ジンにはオレが手を出させないよ」

「お願いします。是非、お願いします」


 迅八は、イエリアの頭をぽんぽんと叩いてやる。イエリアは、にへらと顔を緩ませた。


「やっぱジンはいいなあ……。ねえねえ、大好きだよ」

「あ、そ」

「また明日になったら教会に戻る事になる。ちょくちょく様子を見に来るけど、浮気しちゃダメだよ」

「もうお前黙れよ……。頼むから寝てくれ」

「はーい」


 嬉しそうな顔をして目を瞑る天使の顔はとても可愛らしくて、思わず迅八は微笑んでしまった。


 窓から見える景色。

 星の綺麗な夜。

 迅八は幾つかの事を考える。



 ニコル。

 クロウ。

 イエリア。

 サジタリア。

 ロンダルシア王。

 そして、アーゼルフィア(・・・・・・・)



(本名……真名ってやつか?)



 色々と聞きたい。なぜ、大悪党が冒険者ギルド大盟主と知り合いなのか。

 サジタリアの伝説にクロウはどう関わったのか。


 そして、迅八に会いたがっているというロンダルシア王、こちらに向かっているという十二使徒。


(もう……。ニコルの事で手一杯なのに)



 星は輝く。

 迅八の考えなどなにも気にせずに輝く。

 とりあえず、今の段階では迅八には何も出来ない。


(……あー、めんどくさ。寝よ。明日になったら、またアゼルを誘って、ニコルのとこにいこっかな……)






 ————————————————






 クーロンの足元で、クロウはいつの間にかイビキをかいて眠っていた。


「ぐおー、すぴー、…………………………………………んごーっ」

「かんっぺきに、ただの酔っ払いだねえ」

「お〜? ……コイツ、呼吸してねぇけど大丈夫なのか〜?」


 食事を済ませたジークエンド達は、部屋に戻ったシズとアゼルを除いてその場にいた。


「お〜、しかしよお。まさかジジイとこいつに因縁があるたあな〜」

「……ふむ。俺も聞いておくべきだったな。ネタになりそうな話だ」

「あんたが逃げ出したんでしょうよ」

「黙れ。逃げてなどいない」


 クーロンが呆れ交じりに言う。


「……大丈夫さ。これだけ材料が揃ってるんだ。いくらでもこの先、ネタになる話が出てくるよ」

「それもそうだな。 ……まさか、アルトリウスに目をつけられるとはな」


 クーロンは眠っている大悪魔の顔を見つめる。


(……こいつとジン。二人に会ってから、物事が進み始めてる(・・・・・・)気がする)


 停滞する人間達の集まり、ロックボトム。暇つぶしや意味の無い事に心血を注ぐ者の集団。


(……深入りさせちまう事になんのかねえ)



 別にこの大悪魔はどうでもいいが、迅八とシズ。

 彼らの事を思うとクーロンは矛盾した気持ちになる。一緒に居たいという気持ちと、離れさせなくてはいけないという気持ちがあるのだ。



「……ま、なるようになるかね」

「あ〜ん? おめ〜、なに言ってんだ。そんなのあたりめ〜だろ。なるようになる。なるようにしかならね〜よ」

 


 クーロンはとりあえず酒を飲む。

 酒を飲めば明日が来る。


 ……そして明日が来たのなら、おそらく誰かが動き出す。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ