天国と地獄
お前の世界には、天国と地獄の伝承はあったか? そうだ。死んだ後に行くというあの場所だ。
なら、天国と地獄は実在したか?
私達は発見した。もっとも、実在という言葉は不適当なのかもしれないが。
人は、死ぬとそこにゆくと言われている。だが、それは正確ではない。行く者もいる。そして、行かない者もいる。
その線引きがどこでされるのか。推測はされていたが、私達にも正確な事は分からなかった。なにしろ、行ったら戻ってくる奴がなかなかいないからな。
そもそも、行くという言葉はふさわしくないかもしれない。……落ちる、の方が近いだろうな。天国に、落ちるんだ。わからない? わかれよ。
いまいち話が掴めない? けどな、これは、お前の話だ。お前の為の話だよ。寺田迅八。
転生者達の転生は、実はばらつきがあるらしい。
元の世界の記憶を保ち、この世界で生まれ変わり『転生』した者。そのままの肉体と精神で、この世界に『転移』した者。
お前はおそらくそのどちらでもないな。珍しい例だ。
なに? いや、お前は『転移』じゃないな。ある意味転移で、ある意味転生だ。
煙に巻くつもりなんてないさ。まあまあ、慌てるな。ゆっくりとでいいんだ。ゆっくりとで。
……私か? そうだね。私はさしずめ『漂流者』かね。……あるいは、招かれざる客か。




