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アゲイン×2 《クロスツー》  作者: 紺堂 悦文
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プロローグ

 



 その巨大な木は、世界の辺境に立っている。



 この地に生きる者はその木を『南の木』と呼ぶ。

どこからでも見える為、いつしか方角の指針となった。

 星の反対側まで行けば見えなくなるだろうが、誰もその木が見えなくなる場所まで行った者はいない。それ程に巨大な木だった。



 その木の形は龍血樹リュウケツジュに似ている。

 もっとも、龍血樹のように傷をつければ赤い樹液が流れるわけではない。流れるのかもしれないが、確かめた者はいない。

 誰もその木が傷ついている所を見た事がないからだ。


 太い枝は、全て太陽に向かい真っすぐに伸び、相当な重量をもつ深緑の葉をまとわせたまま、垂れ下がる事はない。

 その木を遠くから見てみれば、それは木というよりも、大きな柱の上に緑の大地が鎮座しているようだった。


 その巨木の根元で、密かな変化が起きている。





 昼なお暗いその場所で、かすかな光が(またた)いた。すると、その光に呼応するかのように、巨木の一部が蠕動ぜんどうした。


 少しすると、うねうねと動いていた巨木の一部は幹から離れ、ぼたりと地面に落ちた。

 すると、それは少しずつ形を変え、やがて人間の姿になり、完全にその形を整えた。


 かすかな光はその人間の形をしたものの中に吸い込まれていき、やがて辺りはまた元の静けさを取り戻した。




 まだ、この事を知るものはいない。







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