俺を二次元に行かせろ!!
俊介のだんだん意識がはっきりしてくる。
目を開けると、二次元のまどかとかなこが心配そうに俺の顔をのぞき込んでいる。
…ということは。
俊介は腕を上げた。
俺の腕が二次元だ!
「なあ、まどか。俺、二次元になっちゃったのか?」
まどかが深刻な表情でコクリとうなづいた。
「見る?」
かなこが鏡を差し出した。
さえない二次元男がそこにいた。
「なあ、俺、元の世界に戻れるんだよな?」
「それが、私たちを三次元に連れて行ってくれた人が行方不明なのよ」
…
午後、康太はスナック菓子を食べながらゲームをしていた。
突然、命令もしていないのに画面が変わった。
「ご主人様!」
二次元彼女のすずかが現れた。
「どうしたんだよ。呼んでもいないのに」
康太の質問には答えずに、すずが先を続けた。
「俊介さんって、康太さんの友達ですよね」
「ああ、そうだけど」
「ここにいるんです!」
さえない男が画面に現れた。
とある、郊外の工業団地にある研究所。
「主任、実験は大成功です」
「ん」
主任と呼ばれる初老の、身なりの整った男と、まわりの数人の男が握手しあっている。
突然、部屋のドアが開いた。
「た、大変です!研究所が若者たちに囲まれてます!」
「どうしたというんだ」
主任が質問した。
「『俺達も二次元に行かせろ!』と言って…」
外。
研究所が、さえない大量の男たちに囲まれている。
リーダーらしき男が大声をあげた。
「お前らが二次元へ行く研究に成功したのは、俺達の仲間のハッカーの調べで分かってるんだ!俺達を二次元に行かせろ!」
「そうだ、そうだ」
「みんなーっ、フェンスを揺すれ!強硬突破だ!」
「おーぅっ!」
集団が研究所の華奢なフェンスを揺すった。すぐにフェンスが倒される。すると男たちは一斉に研究所になだれ込んだ。
「空間亀裂の場所を探せ!色は緑色だ!」
一人の暴徒が叫んだ。
「あったぞ!こっちだ!」
「よーし、みんな。二次元にいけるぞ!」
「おーぅっ!」
暴徒たちが空間亀裂に次々と飛び込んでいく。
二次元。
街の広場に空間亀裂が現れていた。
次々と二次元の世界に現れる若者たちを、笑顔でまどかと俊介が眺めている。
「俺たちはどうする?」
「私は三次元がいい」
「じゃあ、行こう!」
人の流れに逆らって、二人は三次元の世界に向かった。
夕焼け。
研究所から火の手が上がっている
寄り添うまどかと俊介の二人がそれを眺めている。
「ねえ、こないだのキス、どうだった?」
「突然でよくわからなかった」
「じゃあ、もう一回してみよう?」
ぼんやりとした赤の世界で、二人は一つになった。
了




