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Pansy  作者: NKi
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弘也が弥生の彼氏の存在を知ってから、弘也は一人で帰宅するようになった。自転車を猛スピードで漕ぎ、それまでより半分程度の時間で帰宅した。それは弘也のやるせない気持ちがそうさせたのだろう。


弘也と弥生が話すことは無くなり、見えない壁ができたようにお互い見向きもしなかった。弥生はもともと活発でなく自分から話しかけるタイプでなかったので無視しているわけじゃなかった。しかし弘也は完全に弥生を遠ざけていた。好意を抱くとゆう感情が変わったわけではないが、何を話しかけて良いかわからないので意識して遠ざけた。


そんな状態が一週間続いた時。


「弘也、お前元気なくね?」

弘也の事を気遣って健吾が話しかけた。健吾は小、中、高と同じ学校で親友と呼べる友人だった。


「そんな事ないけど。」

弘也は目線を合わせなかった。健吾はすぐに察したのか、何があったか説明しろと言った。しかし弘也は何もないと言い切り、話さなかった。


「わかった。じゃあ昼飯おごってやるから食堂付き合え。」

健吾は気の利いた言葉と共に席についた。


昼休憩になり、弘也と健吾は食堂に行き昼食を取った。もちろん健二のおごりだ。2人の食事が終わると健吾は一人で席を立った。そしてすぐ戻ってくると、手に持った缶コーヒーの二つのうち一つを弘也に渡した。


「お、さ、サンキュー。」


「………で?何があった?」

ここまでされて何も話さない訳にはいかなくなった弘也は、重たい口を開いた。


「んー、まあ別に対した事じゃないんだけど。……簡単に言うと失恋的な?」

弘也は照れ隠しの笑みを浮かべて言った。


「おぉ。お前に好きな人ができたなんて珍しい。相手は?」

健吾は身を乗り出して問い詰める。


「好きかどうかもわかんない段階だから。」

弘也は言葉を濁す。


「そこまで言ったら言えっ。」


「……………中川。」


「おぉぉぉ!やるねぇ!お目が高い。でも失恋したのか?」

健吾はコーヒーを一気に飲みきり、話を聞く臨戦体制に入った。


「彼氏いるみたい。」

弘也は別にどうでも良さそうな素振りをしながら言った。


「ばっかやろー!勿体ねぇ。んな事で諦めんな。そんなのタイミングじゃねえか。まだ出会ってばっかりなんだし、チャンスはあるって!相手だってどこの馬の骨かもわかんねぇし、、、あれ、もしかしてわかってる?」


「うん、高峰裕二だって。」


「………高峰か。………それキツイな。スマン。」

健吾も高峰裕二の人気は知っていた。


「別にいいよ、今でも完全に好きかわかんねぇし。」

しかし健吾はこれまでに弘也が誰かを好きになった事を見た事がなかった。実際は弘也が隠していただけかもしれないが、弘也の浮いた話を聞いた事はなかったのだ。


「よしっ!わかった。そこまで話してくれたし俺も協力するっ!何ができるかわかんねぇけど。」

健吾は立ち上がって、弘也の肩に手をあてた。


「ありがたいけど、ぜったい変な事すんなよな。」

弘也は打ち明けた事によって楽になったのか笑いながら言った。それからはたわいも無い話をして、授業を受け帰宅した。


次の日、弘也が学校につくと健吾がニヤニヤしながら話かけた。

「どう?順調か?」


「順調って昨日話したばっかだろ。なんもねぇよ。」

弘也は当たり前のように言った。


「だめだなぁ!俺は進展したぜ?デートの約束しちゃった!」

弘也は何の話をしているのかわからなかったが、とりあえず聞いてみた。


「誰とのデート?」

健吾は自慢気に言った。

「ん?お前と中川のデートだよ。」


長い沈黙を破ったのは弘也の叫びだった。

「えぇぇえぇぇーー!!??」


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