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Pansy  作者: NKi
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Note

「来年の春には花が咲くかな。」

弥生は満面の笑みで頬を赤らめ言った。

「そうなんだ。…どんな花が咲くの?」

弘也は話す言葉に一瞬つまりながらも聞く。

「黄色のお花だよ。すごい香りが好きなの、ヒロ君も絶対気に入ってくれると思う。」

「そっかぁ。楽しみだね。」

弘也にはそれほど感心はなかったが、それは見たくないとかではなく花に興味がわかなかっただけだった。

「来年の春までちゃんと育てないと。」

「そうだね。」

「花が咲いたら一緒に見ようね。」

「おう。もちろん。」

一緒に見る事はお互いに楽しみとして一致していた。



弘也は高校の時に弥生と出会う。同じクラスになり隣の席同士になった。月島弘也、中川弥生、一学期は名前のあいうえお順に席が決まったのでそういう席になった。


弘也は目立った成績でもなく、不良でもなかった。かたや弥生は成績は優秀、容姿も整っていた。密かにファンは多かったが、性格が大人しくあまり際立って人気があったわけではなかった。


弘也はもともと弥生を好きだったわけではない。

「弘也、次のテスト勉強したか?」

クラスの中では弘也とまあまあ仲の良い古屋仁志。

「えっ、何それ?」

「まじ?俺も勉強してなくて、お前に頼ろうかなって思った俺が馬鹿だった。」

仁志はクラスを見渡し次の頼る先を見つけたのか、小走りで弘也に言った。

「お前も勉強したほうが良いぜ。成績に関係あるらしいから。じゃあな。」

「ちょ、、、、!」


弘也はとりあえず机の中の物を全部取り出し、机の上に広げた。数学の教科書を手に取り独り言。

「やべぇ、どこ勉強しろってんだ。」

弘也は頭を抱えた。


「月島君、これ見る?」

「えっ?」

弘也に話しかけたのは弥生。それまで話した事もなかった2人。弘也の「えっ?」は、心からのそれだった。そして、意識がはっきりしてから、弥生が天使に見えた。


「いいの?中川さんも勉強したいんじゃ?」

弘也は本当は喉から手が出るほどほしい物だったが、必要以上に気を使った言葉が出た。


弘也の心配は不要で、弥生はしっかりとした子で前の日までにしっかりと勉強をしていた。

「私は大丈夫だよ。教科書にもまとめてるから。」

弥生の気を使った言い回し。弘也はそういう答えが返ってくる事はわかっていた。なぜなら時々実施される小テストは常に満点近い弥生の答案。宿題も常にやってきている弥生を2ヶ月も見てきたからだ。

「ごめん、助かる。」

弘也は弥生のノートを借りた。


弥生のノートには表紙に数学1と綺麗な字で丁寧に書かれていた。中にはビッシリと数字書かれており、色ペンを使って丁寧に整理されていた。

弘也は心の中でこう言った。(うぉ!)


弘也は残り5分の休憩時間と、授業がはじまりテストが開始されるまでの20分間、必死に借りたノートを勉強した。結果は後でわかったが、弘也は見事に合格点に達していた。


テストの結果が返ってきてからと言うより、テストが終わった時には弥生に対しての感謝の気持ちを持っていた。自分なりにある程度の出来た感覚があったんだろう。


「ノートまじサンキューな。」

弘也は授業が終わると同時に言った。

「ううん、テスト出来た?」

「完璧!……とまではいかないけど出来たと思うよ。まじありがとう。」

ノートが丁寧に書かれている事や、弥生はテスト出来たのかとか弘也は色々話したかったが、緊張して話せなかった。この時に弘也は弥生に対して好意を抱いたのは確かだ。

「そっかぁ!良かったぁ。」

弥生は掌を合わせ自分の事のように喜んだ。弘也はまた心の中でこう言った。

(すげー良いコ!ヤバイ!)


その後の昼休み仁志は弘也に話しかけた。

「お前テスト駄目だったんじゃね?」

「…出来た。」

「嘘つけ!」

「まじで出来たって。」

「へぇ。すげぇ自身だな。」

こんなやり取りがあったが、弘也にはどうでもよかった。男と言うのは単純なのか、はたまた恋とはそうゆうものなのか。弘也は弥生を自然と目で追っていた…。


次の日も話は軽く挨拶をした程度で、なかなか自然に話せない。自然にというより、弘也は話さなければならない状態が来るのを待っていた。弥生の弁当箱にでさえ目がいってしまうほど意識しているのに、臆病に勝てないでいた。


「中川、今日お前時間あるか?」

「え、うん放課後なら大丈夫だよ。」

「クラブは?」

「今日は体育館が使えないから休みだよ。」

「良かった!じゃあまた後で連絡する。」

「うん。」


男が弥生に話しかけている。弘也は思う。

(誰だ奴は。何者だ。あの慣れ慣れしさ、連絡って?俺なんか連絡先も聞いてないのに。なんなんだ奴は。イケメンだし。腹立つ。)

弘也は隣で一部始終を聞いていた。コソッと聞くと言うより、ガッツリ見ていた。


彼は隣のクラスの高峰裕二。頭も割と良くスポーツも万能。サッカー部とバスケット部の両方から猛烈な勧誘を受けていて、まだどちらか決め兼ねているという人気者。女子からの人気はかなりのものだった。


「ねぇねぇ。弥生。高峰君とどうゆう関係よー?」

弥生の仲良しな友達の美代が冗談まじりに話しかける。

「えー、どうって言われても…。」

「あんたまさか付き合ってるとかぁ?」

ニヤニヤして美代がいじる。

「んーー。うん。内緒だよ。」

ニヤニヤしていた美代は目を丸くして叫んだ。そして弘也も心の中で。


「えぇぇぇーーーーー!!??」

(えぇぇぇーーーーー!!??)


クラス中が弥生達を見た。

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