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温故知新~ウラバン!前史~  作者: 万卜人
殖民宇宙船
14/15

問題

 宇宙船が地球を出発して、すでに三世紀が経っていた。


 が、宇宙船のメイン・コンピューターは、殖民計画を開始するときに、人間で言えば「困惑」に近い状態に陥っていた。


 殖民の初期条件を定義するプログラムが見当たらないのである。替わりにあったのは、別の膨大な資料の塊であった。

 あの「〝ツッパリ〟〝ヤンキー〟研究」のファイルであった!

 学生が提出したファイルを宇宙船のメイン・バンクに納めるさい、無理矢理ファイル形式を変換し、記憶させたため、他の重要なファイルを削除してしまったのであった。ハッカーによる致命的なバグであった。


 宇宙船は問題を解決するため、地球と連絡を取ろうと試みた。宇宙船をここまで送り届けた地球のレーザー砲は、それ自体で強力な送信機となる。

 が、いくら地球の方向に受信機を向けても、地球のデータは一向に感知されなかった。地球で、何か、大変なことがおきている可能性があった。宇宙船は独力で問題を解決しなければならなくなった。


 宇宙船のコンピューターはそれでもかなりの冗長性を与えられている。たとえメイン・プログラムに重大な瑕疵があったとしても、なんとか自分で問題を修正し、植民者の安全を守るよう問題解決の能力を与えられていたのである。


 コンピューターは手許に残された学生の研究ファイルをとっくりと吟味した。


 一応、ある社会の、一貫した資料が揃っている。首尾一貫した論理と、規範がそこにはある……ようだ。


 コンピューターは手元の資料を翻訳し、社会形成のプログラムとして再構成を開始した。


 決断が下され、コンピューターは最初のプラントを建設した。プラントからは植民者の生活のための食糧、住居、衣服などの生活必需品が続々と生産され、その他の生産品も順次プラントが完成して後、手許へ送り出されるだろう……。


 奇妙な形であるが、惑星にはある社会が作り出されていった……。

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