おわりに
ここまで読んでくださった方に、
最後に一つだけ、宣言しておきます。
このエッセイは、特定の誰かを名指しで貶めるためのものではありません。
罵詈雑言で溜飲を下げるための文章でもありません。
ただ、真正面から「真実」という名の毒を、
牙と針にして突き立てただけです。
さて、今回描いてきた王妃は、特別な悪人ではありません。
多くの創作者が、誰しも一度は立ち止まる場所に立っただけの存在です。
作品を書き進める中で不安を抱き、PVや評価が伸び悩み、迷い、苦しみ、
「鏡でもいいから背中を押してほしい」と願った――
ごく普通の創作者の姿です。
言うまでもなく、
創作の世界で白雪姫と呼ばれる存在は、ほんの一握りです。
多くの人は、そこに辿り着く前に立ち尽くすかいつの間にか姿を眩ましてしまう。
そんな迷える者の前に差し出された魔法の鏡は、
あまりにも便利でした。
書きたくても書けなかった人に、言葉を与え、
世に出る勇気のなかった人に、最初の一歩を用意する。
物を書くという行為の敷居を、大きく下げたのは事実です。
実に楽でしょう。
プロットさえあれば、数秒で「それらしい文章」が出てくる。
その便利さと引き換えに、何を手放しているのかだけは、自分で自覚していなければならない。
王妃も、最初から間違っていたわけではありません。
分かれ道はいくつもあり、その先に何が待っているのかは、誰にも見えません。
僅かな成功に満足し、狭い井戸の中で王妃となる道もある。
ただし、魔法の鏡による都合の良い甘言を、誇らしげに見せびらかすような滑稽な道化師に成り下がるのだけは、避けて頂きたい。
皆は優しい、そしてどこまでも他人には無関心です。所詮は他人ですから。
そして、自分が王様だと思い込んだ道化師をくすくすと嘲笑うのです。
それこそ、裸のまま威張り散らす王様を、誰もがこっそり指差すように。
今回は、ここで筆を置きます。
次に牙を突き立てるのは、また別の問いで。




