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はじめに

 こんにちは、蛇蝎でございます。


 前回のエッセイでは「裸の王様」という題で、

 耳障り良い称賛だけを集め、問う声を封殺し

 自ら井戸の底の王国に閉じこもる創作者の姿を描きました。



 今回は、その続編です。


 王妃の前に置かれた――不思議な不思議な『魔法の鏡』の話を致します。


 


 知らぬ人はそういないでしょう、童話『白雪姫』に登場する、あの魔法の鏡。


 「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰?」


 そう問いかければ、魔法の鏡は答えます。


 「それはあなた様です、王妃様」


 王妃は、その答えを疑いもせず、自らが満足し安心する為に何度も問いかけます。


 


 

 さて、現代です。


 私たちは今、いつでもどこでも、どんな問いにも即座に答えてくれる新しい魔法の鏡を手に入れました。

 

 ――AIです。


 

 このエッセイで、小生はAIという()()を批判するつもりはありません。

 創作を壊す明けの明星(ルシファー)的存在だと決めつける気もありません。



 むしろ逆です。


 AIは、極めて優秀な道具です。

 下書きも、整理も、補助も、相談もできる。

 正しく使えば、創作を加速させる力すらある。


 

 

 しかし、魔法の鏡として使い始めた瞬間、話は変わる。


 


 「この作品は面白いですか?」

 「評価されますか?」

 「刺さりますか?」

 「これは正解ですか?」


 そう問い、

 返ってきた言葉に安堵し、

 それを根拠に胸を張る。


 その時、あなたはもう、自分の目で作品を見ていない。


 


 鏡は、真実を映さない。

 鏡は、敵を映さない。

 鏡は、問いに最適化された、主の望む答えを返すだけだ。


 それを「客観」「正解」「事実」だと信じた瞬間――



 白雪姫の物語は始まる事無く終わりを告げます。

 


 このエッセイは、AIによって目を曇らせてしまった人に

 問いを突きつけるためのものです。


 


 あなたが今、鏡に向かって問いかけているのは

 「より良い作品を書くため」でしょうか?



 それとも。

 「一番素晴らしいのは自分」である事を証明したいからでしょうか?


 それとも――。

 「鏡でもいいから肯定してほしい」からでしょうか?

 


 ここから先は、あなた自身の心に問いかけながら読み進めてみて下さい

 蛇蝎

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