表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/54

第二十四節 捜査四日目 ②ケンウッド公爵家の人々


「ご無沙汰しております。アルバート・ケンウッド公爵。1日ぶりでしょうか?」


何言ってんのこの人…


お嬢様は出迎えてくれたケンウッド公爵家の人々を見回すと、蠱惑的な笑顔で公爵に向かってそう言った。


公爵も顔を引きつらせてるよ。


「何のことか…こうして会うのは初めてだと…」

「こうして会うのは確かに初めてですね。私はあの時拘束されておりましたし、あなたはマスクを着用されていた。」


「何を!」


え?ほんとにお嬢様何言ってんの?


「あぁ、失礼。謝意を申し上げねば。あの時はかたいパンをいただき、拘束を解く手助けをしていただいて、大変ありがとうございました。」


そう言ってお嬢様は美しいカーテシーをしてみせた。


「内密に、話をさせていただくべきだと思うのですが、いかがか?」


顔を上げたお嬢様の言葉を、公爵夫妻は不気味なものを見る目で見ていた。


俺たちは公爵の書斎に通された。

使用人も下がらせて、公爵とお嬢様、そして俺しかいない。

夫人は気分が悪いということで、下がってしまった。

公爵は俺にも同席させたくなさそうだったけど、お嬢様が圧で通してくれた。


「何か誤解があるようだ。」

公爵が口を開いた。彼はさっきから顔面蒼白で、肩で息をしているのがわかる。


「誤解などない。それに、その件は別段どうでもいい。」


お嬢様の言葉に公爵はピクリと片眉を動かした。


「それより、あの子息。オスカー・ケンウッドについて伺いたい。」


かろうじて平静を装っていた公爵の表情が崩れた。


本当に、出生の秘密なんてあるのかな…。


公爵がわなわなしている。


「父親はわかっている。母親は誰だ?」

「父親は私だ!……私が、娼婦に産ませたんだ。」


あれ、案外あっさり白状したぞ?


あんなにわなわなして、こぶしを握り締めてるのに…

というか、お嬢様、父親はわかってるってどういうこと?

うーん、聞きたい。


「違うな。」

「そうだ!」


びっくり…した。公爵はお嬢様の否定に怒鳴った。


「貴殿の子であるはずがない。新大陸で現地の子に産ませた子を、わざわざ連れて帰ってきたのでもない限り。」

「そうだ…。向こうで、産ませた子を連れてきたんだ…。男の子だったから…。」


ど、どういうことですか?

ついて行けなーい。


「現実的ではない。そんなことは、貴殿が一番わかっているはずだ。」


公爵はお嬢様を睨んでいる。けど、公爵は何も応えない。


俺は、どういうことか、全然わからない。


「わからんな。公爵家がここまでして隠す、合理的な理由が全く理解できない。そもそも、問題の種になるオスカーを、わざわざ自分の子として育てているのはなぜだ?」


公爵は沈黙したままだ。お嬢様は言葉を続ける。


「父親の、公爵家の私生児なんて、大したことのない秘密のために、危険を冒してまで私とオスカーを解放しに来たのか? 貴殿と夫人にとって、オスカーが帰らない方が都合がよかったはずだ。それなのに、解放しにきた。その理由はなんだ?」


「お前のような小娘に……何がわかる。」


絞り出したような公爵の言葉をあざ笑うかのように、お嬢様はオレンジ色に怪しく光る瞳孔を細めた。


は、話が全く分からない…

父親の私生児って…

え?

ケンウッド公爵子息は、前公爵の息子で?

今の公爵の…弟ってことなの?

あーーー。公爵がいっぱいでややこしいー。


「わかりたくもないな。私なら、親を切り捨てる。」


目を細めて公爵を見つめるお嬢様を、ぐっとこらえるように公爵は見つめていた。


しばらくの沈黙の後。


ふーっと深く息を吐いたお嬢様は


「それほどまでに…か。」


とつぶやいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ