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第十一節 捜査一日目 ⑦侍女の話と被害者の部屋(2)


ひぇ!


ばれた!


いや、俺は何も悪いことはしてないはず…

すべて許可をちゃんと取ってるし…


部屋に入ってきたのは侍女だった。たぶん被害者と相部屋の侍女だろう。


そんなことを思っていると、

「誰か――――!」

と彼女は廊下に向かって叫んだ。


「いやいやいや。怪しいものではなくてですね、捜査の、そう! 昨日の事件の捜査で! スタッフォード夫人にも許可をもらってまして」


叫ぶ彼女に全力で説明する。


「捜査―? 事件って、昨日旧棟で人が死んだっていう?」

なんかデジャブを感じるやり取りだけど…

自己紹介をして事情を説明する。


「被害者の部屋って…ローザが死んだの?」


デジャブだ…

っていうか、同室なのに知らないの?


「あの、ロドリゲス嬢の同室の方では?」


「そうだけど…」

「その、昨日ロドリゲス嬢が戻らなかったことに気づかなかったんですか?」


「気づくも何も…ローザはよく部屋を空けてたから」


今までの話だと、外泊するようなタイプだと思わなかったけど。


「誰かのところに泊まりに行っていたってことですか?」

「さぁ? どこに行ってるのかは知らないけど、いっつも快く部屋空けてくれてたから、行くところはあったんじゃない?」

「快くって、どういうことです?」


俺がそう聞くと、彼女はあたりをキョロキョロして、

「べ、別に、深い意味は…ないけど?」

と言った。


反応がさっきの侍女に似てるな。

見た目は全然違う。こちらの侍女も美人だけど、まっすぐなこげ茶の髪をシニヨンにしていて、キレイめって感じだ。確かロドリゲス嬢の同室はアンナ・フォーチュナーという人だったはず。


「もしかして、部屋を空けるように頼んでたんですか?」


そう言ってじーーーっと彼女を見ると、彼女は慌てながら、


「な、何? 別に悪いことしてるわけじゃないし。彼氏と会うのに、ちょっと部屋を空けてほしいなぁーって。そう言ったら、ローザが別にいいって言うからぁ」

と言った。


さっきの侍女と言い、王宮の使用人は大丈夫なんだろうか?


「ロドリゲス嬢は外泊の許可は…」

「取るわけないじゃん! 私が男連れ込んでるのもばれちゃうし!」


だよねぇ。じゃあ、無断外泊してたのは事実なのか。


「ロドリゲス嬢の外出先に心当たりはありませんか?」


「知らない」

彼女は仁王立ちでそう言った。


「では、仕方ありません。スタッフォード夫人にお伺いしてみます。あっ、あなたが男を連れ込むためにロドリゲス嬢に外泊を」

「あ――――――。もう! 前に王都で見かけた男のとこじゃない? なんか頭に布被って怪しそうな男。そいつと狭い路地でなんか距離近かったし、彼氏かなって」

「男ですか…」


うーん…旧教の教えを守ると結婚までは純潔を維持しないといけないんだよな。熱心な旧教の信者っぽい彼女が、男のところに泊まりに行くかなぁ?


「他に、ロドリゲス嬢について知ってることはありますか? 様子が変だったとか、とにかく何でもいいんですけど」

フォーチュナー嬢は苦々しく俺を見ながら、

「いつも夜は本を読んでるか、日記書いてるかくらいしかしてなかったよ。たまーに手紙を書いてたけど、たぶんエスパーニャの人宛でしょ。書いてるとこ覗いたことがあるけど、何書いてあるか全然わかんなかったし」


いや、覗くなよ…

というか、

「あなたも前王妃様付だったんですよね?」

「何で知ってんのよ」

「スタッフォード夫人に聞きました。」


そう言うと、彼女はすっごく嫌そうな顔をした。

「あのおばさん、ほんとやなやつ! 私の話、ぜっったいにあのおばさんには言わないでよね! 首になったらあんたのせいだから!」


いや、首になったら自分のせいだろ…


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