第1話 学校初日は何かと大変
「あ、あ…ああああ!もう、何もかも嫌だ‼あ、うわぁぁぁぁぁ!」
ある日のある一件をきっかけに僕はおかしくなった。
いや、以前からしかったのかもしれない。そんなこともわからない。
何が正しくて救いになって笑いになって生きる渇望になるかすべてに対し(?)ばかり浮かんでくる。
信じられない、信じたくない、信じる必要がない。
どんどんと呼吸が荒くなっていく。
辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い
心が?違うね。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
身体が?脳が?それも違う。
「………ぁ…ァぁあ…」
母さん達は僕に何度も話しかけていたのだろう。目の前で滝のように涙を流している。
だが、僕はその状態から抜け出すことはなかった。
何時間、何日間、何週間、何ヶ月も続いた。
この物語は何が起こるか本当にわからない。
ただ言えることはこれらは僕のこの人生で大事なことになるだろうな。
20XX年 始業式
僕は軽やかな足取りで家を出た。
「行ってきます。」
誰の返事が返ってくるわけではないはずだがそれを言うのは習慣になっている。
扉を閉め鍵をかける、家の入口と思い出に鍵をかける。
カチャリといい音がした。
ドアから外側に視線を向けると眼下には大勢で笑っている桜がこちらに顔を見せる。
ここの川のほとりにあるソメイヨシノは僕が小さい頃からあり、今ではお花見ができる程度には満開だ。
この桜とも少しの間、離れ離れになるのは恋しいが仕方がないことだろう。
エレベーターの「一階です」という言葉にでさえ心を寄せてしまう。
…これはさすがに嘘だ。
案外ここが好きだったんだなと良くわかる。
今まで何百回と通ってきた道を進み三鷹台駅に着く。
以前八百屋だったところが弁当屋さんになっていたりと世界は目まぐるしく動いてる。
沢山の社会人がホームに向かっている中で見知った顔と目が合った。ずんずん近づいてくる。
「うす…。」
いつもの何気ない挨拶だ。始業式だからと緊張していたりするのだr…。
「朝から仏頂面だねー!おはよっ!」
そんなことないようだ。朝から元気やな。
「元からだ。」
彼女は今さっきの一言でどんな性格が何となく掴めただろう。
常にポニーテールの髪型、僕には到底できない全力の笑顔、
出るとこは出てへこむところはへこんでいる最強なボディライン…
コミュ力というかなんでもズバッと言ってのけてしまう素晴らしいお口。(褒めてないからな)
色々といい意味でも突っ込みどっころ満載な彼女は「橋欠風助」という。
もともとは男として生まれると言われていたらしいが産婦人科がよく見てなかったんだろうな。
この通り今では絶世の美女だ。
釣り合っていないと感じながらも気さくに話しかけてくる。
なんだこのあるある青春漫画の設定は…。この世の神様は青春漫画好きなんかね。
僕は一切NOですけどね。
そんなこんなで考え事をしていたら電車が来てしまった。速いな。
「ねねね、今日買い物付き合ってよ」
乗ってから2分程したころだろうか、いきなり耳に口を近づけ小声で話してきた。
…少し女性特有の甘い香りが鼻孔を刺したのは無視しておこう。
本来の男子高校生ならばここでヒートアップしているところだろうな。だが僕は幼馴染だ。
効かん効かん、そんで近い近い。
とりあえず「ほわーい?」と聞いておくと、
「いやぁ学校早く終わるじゃん?
絶対、だけど初日では絶対友達出来ないから一緒にあそぼーって」
あーなるほどな、ん?てかこいつさっき買い物って言ってなかったか?
「風助なら初日で5,6人友達出来そうだけどな。」
こう考えるのも妥当だろう、なにせ美女&コミュ力爆発だからな。
「いやぁそうだといいんだけどねぇ、流石に話しかけに行くのは気が引けちゃうんだよなぁ。」
いやそうじゃない、話しかけらるんだよ…。
「そうかね。ま、流石にか。」
流しとこーっと。
電車が軽い電子音を鳴らしながら吉祥寺駅につくといつも通りたくさんの人が目の前にいる…。
吉祥寺は東京の中でも案外人気なんじゃないかって感じるほどいろんなものがある。
服屋や家電売り場、本屋に塾、ここならば本当に何でもある。
実際東京の住みたいランキング1位だしな。
電車をおり人の波をよけ、改札を渡る。なんで朝からこんなしんどいんだ…。
未だ高校一年生なのにも関わらず年を感じてしまう。やべ、年上に怒られそ。
「ひゃーいつも通り混んでんねー。」
このご時世ひゃーなんて言う人あんまいないぞ。
エスカレーターに挟まれた階段を足早に抜けていこうとすると…
肩にパンチが入ったレベルの痛みが走る。決して僕がひょろいからではない。
「ッ⁉」
いきなりの衝撃で顔をしかめる、すれ違いざまで肩が当たったらしい。
後ろを振り返ると肩を抑えながら歩くポニーテールの女性が見えた、
綺麗な月の形をした髪飾りが特徴的だ。謝りもされなかったぞ。えぇ…?。
「大丈夫?どしかしたの紅葉?」
お前は後ろにいたんだから見えてたろ。
「いや、なんでもない。」
「ん?そう?」
こいつさっきの事話したらあの女性追いかけに行きそうだしな、やめとこう。
変なことに巻き込まれたくはない、なにせ今日は始業式だ。羽目を外したくない。
そしてJRの改札を抜けホームへ向かい待つ。
これがこれからの生活で普通になっていくのだ。ものすごく慣れない…。
「私たちうまくやれるかな…。」
そんな一言を風助が零す。そう心配するのも無理はない。
僕らは中学の時ひと悶着あり最後のほうなんか居たたまれないったらありゃしない。
「なんとかなるさ。今までもそうだろ?」
そんな二言でも僕らは通じるような信頼があった。
「…ありがとう。」
なんでこいつ顔赤らめてんだ…えぇ?もう一度電車に乗り揺られていても未だに少し赤い。
僕軽く言ったつもりなんだけどな。前言撤回通じてないわこりゃ。
「えへへ、紅葉に…うれしい…」(ぼそっ)
おーい心の声洩れちゃってますよー、大丈夫かなー?
前からたまにこういうそぶりすることがある。
これも中学の頃の一悶着辺りの頃からかなぁ。なんでだ。
そんな風助を真横に流れていく電子文字を眺める。
{この度はJR線をご利用ありがとうございます。まもなく阿佐ヶ谷です}
この駅だな、降りる準備…ん?
{只今 監視中… }
は?
え?なにどゆこと?
{次はお前だ}
んん?僕は何を見させられてるんだ?え?
何あのホラゲの典型的イベは。次はお前だ?どゆことだ。
ある程度ホラゲを堪能していても2次元とリアルは違う、流石に怖い。
周りを見回すと誰一人気づいていない。
とりあえずと、風助に電車を降りながら聞いてみる。
「なぁ、さっきの電車おかしくなかったか?」
「え?そう?普段乗ってないからなぁ、わからん!」
でしょうね、まずド鈍感なこの人が気づいてもなんか変わってた?と返すだろう。
エスカレーターを下りながらも思考を回転させていく。
…うん。
わかるかぁ⁉ わかるわけないだろ… なんだありゃ…。
うーんなんかのミスなのかn…肩がぶつかる。
「ッ⁉」
何々また!
今日二回目の方ドンだ。
今回ばかりは自分が悪いのかと後ろを振り向くと、先ほどぶつかった女性と同じ髪型、髪飾り。
「はぁ⁉」
またもやあの人!ん?
ちょっと待て、あの人井の頭線の方向かって行ってなかったか?これおかしくないか。
今回ばかりはさすがにすみませんと声をかけてしまう。
後ろにいた風助いつの間にいなくなってるし…。
「…なんですか?」
すぐに後ろを振り返って僕と視線が交差する。
がちか…
声をかけた自分を過去に戻り殴りたい、
僕はまず一言でこの人を表わせるだろう。
超絶美人
そう、たったこの一言だ。
これだけで済む。申し訳ないが今回ばかりは紅葉も完敗である。
大きく光を持った目、スラリとした足から大きな胸まで最高級、
凛とした声は透いており耳にするりと入ってくる。
これ100年に一度しか出会えないレベルじゃね?
がちか、ミスったかこれ。話しかけるべきではなかったか。
「えっと肩ぶつかりましたよね、すみません…。」
つい弱気になってしまった。
「そう、私もすまなかった。」
対するこの女性は僕を物凄い冷徹な目であしらった。ひえっ。
「それだけ?」
聞かれてまったやん…
「はぃ、あ、sそれでは…」
そそくさと改札を出ていく。
相手は物凄くキョトンとした顔で見てきたが仕方ないだろ…なんだあの美女…モデル顔負けだろ…。
あの国宝級の顔を脳裏に学校へ向かう。
というか未だ学校ついてないのにも関わらず色々ありすぎじゃね?
えっと?
同じ人?(超絶美人)から二度も肩をぶつけられ、
電車内で電車側からセクハラを受け…。
え、もう既に散々じゃね?
高架下で同じ制服に身をまとったギャルっぽい女子と話しているよく見知った顔を見つける。
あ、安心する(?)
謎の安どのため息を残し近くを通る。
「あ、いたぁ!紅葉!どこ行ってたの!探したよ!」
たった今そこの女子とガンガン話してたように見えたが。まぁいいか。
「ごめんごめん。」
と、とりあえずの謝りだけしておく。
「あ、もしかしてこの人が例の人?」
おっとギャルの女子が話しかけてきた。え、なんかした?
「え、何ですか?」
「そうそう、紅葉っていうの!」
え、なんでこの人友達の名前暴露してんの、こわ。
「なるほどねぇ、…本当だったのね…。」
うん、何がかな?怖いよ?ギャルから本当だったとか言われんの。
「でしょー!」
誇らしくすんな?便乗すんな?何が起きているのか分からなすぎるだろ。
「えっと、進みながらでいいので、なんかあったんですか?」
取りあえずの質問だな。僕変なことした記憶ないぞ。
「えっとね!私が朱乃ちゃんに紅葉のこと話してたのー」
なるほど…ってなるかぁ⁉どうやったらそう何ねん。
「え、何言ったの…?」物は試しだ、聞こう。
「秘密-」
「だな。」
こいつらがちか…怖いわ、あとこの人は朱乃っていうらしいな。覚えとこ…。
ちなみにでいうとこの女子すごいぞ…よくよく見てみると化粧がうっすら乗っているな。
うちの学校メイク禁止やぞ。
しかもスカートの丈短っ。よくパンツ見えないな、あと寒くない⁉
今のギャルすげー、今のギャルしか知らんけど。
目もすごく大きく足も長い、この人もハイスペックやなぁ…申し訳ございません。
胸のあたり見ました…、これ以上言うのはガチの変態なのでデカかかったとだけ言おう。
そんなこんなで3人で学校につく、どうやら学内にクラス分けの紙が貼ってあるらしい。
見に行くか。
私立 時雨学院高等学校
しぐれじゃないぞー
都内でも珍しい普通科、芸能科、商業科、音楽科など様々な学科があり超マンモス校だ。
どの学科でも素晴らしい人材を出している。
普通科なら最難関大学主席合格、芸能科なら超国民的俳優やアイドル。
こんな感じで何でもかんでもぶっ飛んでいる。
更に校内の施設全てもも清潔、便利。最強だ。
そんなぶっ飛び校に僕、風助は特待生として入学している。感極まりないな。
という、雑学は置いときとにかくクラスを見よう。
A組
1番・藍沢優弥
2番・植田心
…まだか…。
22番・浜垣紅葉
23番・姫本風助
おお!まじか、しかも風助とも同じ…
勝ったな。今年一年安泰や。
「紅葉!一緒だよ!ねぇ!やったぁ!」
「あぁ!そうだな!」
風助に両手を取られブンブンと揺らされる。
「風ちゃんとこーよーは同じクラスかぁ、いいなぁ。」
「でしょー!」
まぁそう思うのも無理はない。
地味に風助がフフンッと胸を張っているが煽りになってないぞ…。それかわいいだけじゃ?
…。え?まだ振る?
…うん、長くない?まだやってる。
「良かったよぉ…一緒じゃなかったら泣いてたよぉ…。」
OH…そこまで言われるとは、照れてまう。
「僕もうれしいよ。…んね?ちょ、手痛い、ちょ、ブンブンやめてぇ⁉」
クラス分けを見ていた生徒のがひそめく中、
僕の血管が千切れそうになっている叫びが吹き抜けのメインホールに響き渡った。




