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泡となり浮かぶ世界 ~押し付けられた善意~  作者: Hekuto


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第91話

 修正等完了しましたので投稿します。楽しんでいってね。



「ハンターの異界調査改正法?」


 スライムから逃げ……予定通りの狩りを終え帰って来て、一休みしながらスマホを弄っていて見つけた気になる一文。調べてみればこれまた凄い内容である。


「おいおい、これはまたC級殺しだな」


 なんと異界に入る回数を制限すると言う内容で、特にC級ハンターの異界進入回数を大幅に少なくする予定の様だ。その理由は急増する負傷者を減らす為となっているが、どうやら本当にやりたい事は別にあるらしい。


 Tを開けば予想であるが国の魂胆について書かれていた。大きな理由は、激減した労働者の確保、買取り価格の上昇抑制、税収の安定化の三つであるらしい。


 海外頼りだった労働人口増加計画は異変によりとん挫、重労働で低給料な仕事をしてくれる人間がいなくなり、多くの農家や会社が倒産したことによる食料供給量や税収の悪化。一方でドロップ買取りの価格上昇により労働人口がハンター業に流れているが、売られる先が民間ばかりと言う事が気に喰わないらしく、その原因である非優遇ハンターであるC級ハンターの締め付けに走ったと言うのがT民の予想である。


 優遇受けられるB級はどっちに売ってもあまり変わらないので協会に納めるし、A級は挙って企業や国が囲い込んでいる。そんなドロップを貯め込むバケツに穴をあけて富を洩らすのがC級ハンターと言う扱いだ。


 酷い言われようである。


「国は何でそんなにC級ハンターを優遇したくないんだか」


 C級だってある程度優遇受けられればまた考えも変わるだろうに、偉い人が考える事は分からないね。富を生み出せ、しかし富は全部俺の物だ分けてやらんでは誰も働かんよ。


「入場回数規制か……それ住めなくなるやつじゃん」


 特にこの入場回数規制は俺にとって最悪だ。なにせトイレは協会の公衆トイレを使っているんだ。その度に出入りしてたらすぐに入場上限でマイホームに帰れなくなって居場所がなくなる。それじゃ金を稼ぐとか言う以前の問題だ。


 たぶん、そうやって金もEマネーも稼げなくして一般企業にって事なんだろうけど、就職する会社が無いのにどうしろと言うのか。物資不足からの物価高騰に賃貸の家賃も爆上がり、光熱費もガンガン値上がりしているのに、給料がそれに見合った会社なんて無い。


 トラック運転手の給料がすごく上がったと言う話をTで見たけど、化物危険手当が付いたからってのが恐ろしすぎる。そら東京から疎開する人が増えるわけだよなぁ。


「本格的にトイレ改善しないといけなくなってきた」


 大量に汚物を入れて置けるトイレか? 嫌だな……まてよ? ガソリンの往復にも問題出るじゃないか、最悪すぎる。サステナブルマーケットに取りに来てもらうしかなくなるぞ。


「あとは、人の居ないどこかで化物に怯えながら仙人のような生活をするか」


 ハンター廃業してどっかに引き籠るかな、あちこち独立運動で人の居なくなった空白地帯が増えているらしいし、まるでポストアポカリプスなゲームみたいだ。


「すぐには決まらないみたいだけど、うーん」


 状況は悪くなる一方だな、どうしてこんなに追い詰められないといけないのか、普通の企業に就職していたらこんなことにはならなかったんだろうか? 今はどこの企業も社員確保に難航してるらしいし、会社が生きていればまた違ったのかもしれない。


「せめて30万を返して、ついでに生活資金を稼がないと何をするにも不便すぎる」


 異界に住めなくなっても金があればなんとかなるんだよ。借金とか論外、そう言う意味ではハンター廃業はリスク低下になるけど、それで万事丸くは治まらないのが何とも。





「うむうむ、ダイナマイトの加工も慣れて来たな」


 ままならぬ現実に思わず目を閉じたらそのままぐっすり寝てしまい。無駄にした時間を取り戻す様に活動を再開してもうすでに深夜、今は椅子に座ってテーブルと向き合っているのだが、ダイナマイトの連結作業もすっかり慣れてしまった。


 テープ巻くだけなので慣れるも糞もなさそうだけど、これが中々綺麗に巻くのが難しい、変にテープを巻くと導火線が捩れて使い辛いのだ。


「このダイナマイトも何かの原料になるのかな? 今のところ反応しないけど」


 スライムを倒すのに大変便利な事が分かった危険物であるが、今のところ黒いスライムキューブを載せても特に反応しない。何もならないものなのか、それとも材料が足りないのか、新しい組み合わせを探すのは楽しいが、結果が出ないとつまらない。


 今のところ結果が出たのは二つだけ。


「鉄とアルミは失敗じゃないけど危ないんだよな」


 すでに試験爆破も済ませた鉄とアルミと水ペットボトルで出来たテルミット爆弾。よく見ると底に小さく鉄と書いてあって、銅の方も同じように銅と書いてある二つのテルミット爆弾、見た目はほぼ一緒だけど爆発の仕方が違った。


「銅とアルミの方が使い勝手が良い」


 銅とアルミのテルミット爆弾は一瞬で爆発してしまうみたいなのだが、鉄とアルミのテルミット爆弾は周囲に火花が飛び散る違いがある。爆発の威力だけ見れば銅の方が強そうだけど、鉄は火花が散る分危ないと言うか怖い。動画で見たのに近いのは鉄の方だ。


 多分ガソリン撒いて置けばしっかり着火するんじゃないだろうか、コンボ技として面白そうだけど危ないにもほどがある。試してみたい気持ちもあるけど、慢心よくない。


「先ずはダイナマイトを使って黒スライムキューブを集めるとして、缶バッタも狩らないと」


 テルミット爆弾を量産するには黒スライムと缶バッタを狩る必要が出てくる。しかもダイナマイトで狩れば不良在庫を一掃できて助かるし、黒スライムは一匹からキューブが複数出るのでお得感があっていい。


 あと、足りない割れメタルを狩りに行って判明したことが一つ、もうただの缶バッタにフライパンいらない。グーパンチと言うか、飛んでくる缶バッタを鷲掴みにしたら缶バッタは塵となって消えてしまったのだ。


 たまに失敗すると腕に足が当たって痛いんだけど、なんと言うか勢いが殺されているのか、最初に胸に受けたほどの威力が無かった。


 どうやら俺は強くなりすぎたようだ。とか言うフラグは立てない。そんな事言い始めた日にはまた地震が起きる。これ以上面倒な化物は勘弁してほしい。


「あとは、そろそろ一度に家に帰っておくか」


 明日もバッタをライトで誘き寄せて狩るつもりだけど、その前に一度実家に帰ろうと思っている。荷物を置きに帰ってから結構時間が過ぎてしまったので、玄関のメモボードを確認しておこうと思う。


「メモを見てるんじゃないかな」


 姉ちゃんも忙しいかもしれないけど、俺よりきっちりしているし、定期的に実家に帰ってんじゃないかと思っている。なのであのメモへの返答もあると信じて明日は実家に帰ろう。


 何も無かったらそれはそれで、ちょっと心配になるので、伝手を使って調べることになりそうだ。





「また随分と店が閉まったな、パン屋さんが全滅とは」


 早朝から出てさっさと用事を済ませようと思ったのだが、すでにお昼の時間に入ってしまった。


 小腹が空いたのを感じて家に帰る道中で何か買おうと思っても、店が開いていない。本日は平日ど真ん中、しかも時刻はつい先ほどお昼タイムに入ったところだ、そんな状況でもシャッターが下りていると言う事はそう言う事なのだろう。


 よく見ると風化した紙がシャッターに張ってあるが、閉店の御お知らせでも書いてあったのだろう。すでにボロボロで何が書いてあったはわからなかった。


「昼飯は帰ってまた缶詰めかな」


 それもまたよし。


 流石にシュールストレミングバッタまで素手で倒す勇気はないけど、受け流して倒すのにも慣れてきたので缶詰の収集ペースは早くなった。今度は缶バッタで成功したチョウチンアンコウ狩りを試すつもりだ。


 思い付きで試したら入れ食いになった狩り方で、釣り竿の重りの代わりにジャックラストナンバーを付けて光らせておく。あとは自転車に竿を差しておけば勝手にバッタが誘引されてきてライトを叩いた後俺に向かってくる。


 どうやら攻撃優先度があるようで、光り続けるジャックより俺の方が近くに現れた場合は俺の方が優先されるらしい。現れると言うより、向こうから接近してきているだけなんだけどね。


「ただいまー」


 自転車を庭に置いて鍵を開けて帰宅、声を掛けても無音、でも心なしか前帰って来た時より空気が綺麗な気もする。姉ちゃんが掃除とかしているのだろうか? 俺の荷物はそのままなので、もしも掃除しているなら邪魔になってそうで申し訳ない。


「と言っても誰もいないか……あれ?」


 謝る相手もいないので申し訳ない気持ちを心に納めていたのだが、玄関の伝言ボードがおかしい事に気が付いた。とても綺麗なのだ。それはそれはもうまっさらである。


「メモが無いって事は来たんだ。よいしょっと」


 メモが一つもない伝言ボード見ながら手を伸ばし、壁で体を支えながら足で靴を脱ぐと廊下に上がる。よく見ると玄関の靴や棚なんかも綺麗になっているようだ。


 どうやら本当に姉ちゃんが帰って来て掃除しているらしい、ワンチャン父さんと母さんが帰って来ている可能性も……ないな、あの二人が帰って来てたら先ず玄関が綺麗になるはずがない。お土産でいっぱいになってるはずだからだ。


「うーん、この荷物はこのままでいいか」


 片付けようかとも思ったけどやめた。この手の荷物の整理には数日が必要で、さらに体を休めるのに数日の休みが必要になってしまう。絶対に腰をやる自信がある。


 段ボールを手で撫でるけど神が言っているのだ。今はその時ではないと、ゲームならまだイベントフラグが立ってない状況だから焦ってはいけない。……段ボールにも埃が落ちてないな。流石姉ちゃん豆である。


「らいと?」


 ……ん?


「え!? ……姉ちゃ―――!?」


「羅糸!」


 振り返ったら白くなって暗くなった。まさかまたしても異変!? なわけない、何故なら原因は我が姉であるからだ。


「むー!? むむー!?」


 助けて! 姉ちゃんが頭をベアハグしてきて息が出来ない! 顔全体に幸せな柔らかさを感じるけど姉である。姉であるけど歳も結構離れてるので意識くらいするのだ。やめて、ただでさえ人の道から外れて来てるのにこれ以上俺に新しい扉を開かせようと……いやマジ死ぬ。


「っ―――!」


 のおおおお!? 振りほどけない! 流石お姉さま伊達に柔道有段者じゃねぇ!? パワーだけじゃなく技を仕掛けてらっしゃる!? こ、コロサレル!? 引き剥がそうとするほどに密着して行く! 嬉しいけど辛い! なんかこういう種類の罠かエイリアンの様な気が……あたまが、ぼうっと‥‥‥‥‥‥。



 いかがでしたでしょうか?


 おお、勇者羅糸よ。このようなところで死んでしまうとは情けない。


 目指せ書籍化、応援してもらえたら幸いです。それでは次回もお楽しみに!さようならー

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