第88話
修正等完了しましたので投稿します。楽しんでいってね。
とある動画を見たT民によるコメント。
<イキリがイキリじゃなかった件>
<どうせ早回し動画だろ? スケルトンはこんな速く動けませんはい論破>
<脆いスケルトンの骨砕いても何の自慢にもなりませーんwwwww>
<イキリ乙wwww>
<エアプハンターが多いな、上位種になると動きも速くなるし硬いのがスケルトンだぞ>
<基本的にスケルトンの固体見分けはその服装だ。強い奴ほど良い装備、綺麗な装備をしている>
<なるほど? そのスケルトン評論家の見立てだとどうなんだこのスケルトン>
<たぶん俺が狩ってるスケルトンより二個上くらいに強いと思う>
<おまえ基準じゃわかんねぇよ雑魚ww>
<そうだな、どこにでもいる一番弱いスケルトンをLV1とするならLV5ってところかもしれないな。鎧付きレア固体より少し弱いくらいじゃないかな>
<それじゃ早送り動画じゃないってことか?>
<早送り動画じゃないだろうな>
<ガチのボクサーってこと?>
<格闘家じゃないからその辺は知らん。だが強いのは分かる>
<恩恵は拳強化系ってところか?>
<そのへんだろうな、あのレベルになると骨の強度はかなり高いはずだから普通に殴ったら手は血だらけだ。とてもあんな素手の全力で殴れないだろう>
<それで? 晒してボコすとか言ってたけど、実際ボコれるの?>
<言ってたやつら息してないから>
<戦いたくはないな、あんな狂った戦い方するやつとやったら試合じゃなくて殺し合いになっちまう。動きもそんなに悪くない、なんで雑魚と言われているのか分からない>
<元ネタ動画貼っておくお>
<やっぱプロボクサーなの?>
<いや、ボクサーの動きじゃないと思う。何かいろいろな格闘技混ざってそうなそんな感じかな?>
<動きの予測が出来ないのでやり辛い相手だな>
<最後の辺りはかなり腰の入った良い一撃だ。それにあのチョップは脅威だな>
<あと気になってたんだけど、ドロップの骨キューブ大きくない?>
<どの道こいつは横取り野郎だから! 犯罪者だから!>
<だからそのソースを早く出せと>
<別のソースが出てきて静かになったと思ったんだけどな>
<アカウント覚えたから、はよソース出してもろて>
<確かにキューブが大きいな>
<主の手が小さい可能性も微レ存>
<小さいおててか、ふーん可愛いじゃん♡>
<主逃げて! お尻隠して逃げて!>
<隠さなくてもいいのよ♡>
<ちな、これ動画映ってるの主じゃないよ。主は元々日常系上げてた人だから、これ友人だって>
<あら、ダブルベッドじゃ足りないわけね>
<こいつ、二人とも!?>
<化物め!>
<誰が見た瞬間悲鳴を上げて失禁してしまうような化物だ!!!!>
<言ってない>
<言ってないwww>
<言ってないけど思ってる定期>
<でも、こんなに強いスケルトンを倒してちょっと大きな骨キューブって、割に合わなくない?>
<それは言っちゃいけない>
<一匹500円にも満たないのに死と隣り合わせで友人可哀そう>
<主はちゃんと給料払ってるのか?>
<違法労働と聞いて労基の方から来ました。>
<詐欺師の常套句w>
<でもこの骨キューブ、上位ドロップの可能性も……>
<ないないw>
その後もコメントは賑わい、同じような賑わい見せる場所がいくつかT内でも生まれ、動画の再生数は飛躍的に増えていくことになる。
「怖くてコメント出来ない」
怖い怖い、なんかすごくガチな質問とか、弟子にしてくださいとか、軽い気持ちで返事したら大変なことになりそうで怖い。ちょっとまだ返信はやめておこう。何か地雷を踏みそうな気がして来た。
「でも馬鹿にされるのと褒められるの半々と言った感じか、まぁこんなもんだろ」
当初の予定通りなのかはなんとも言えないけど、一定の支持は得られているみたいだ、一方で半数くらいはアンチっぽいけど、まぁトップアイドルとか仏の様な人でもアンチは付くわけだから、そんなものだろう。むしろ半数くらいは好意的に見てくれてるわけだから、良いと思っておこう。
あと、次回作に対する期待の声もそれなりにある。中には複数上げられないならやらせとか画像編集に時間かかっているだけとか言う意見もある。アンチなんだろうけど、期待はしているのかしてないのか、ツンデレと言うやつなのだろうか? よくわからん。
「次回作か、次回作ってもう作ってるのか? 撮った動画と言ったらほとんど骨だから似たり寄ったりですぐ飽きられそうだな」
今のところ見せられる物は強化骨との戦闘くらいで、次はスライムでも撮ろうか、一斗缶とバッタは、あまり見ごたえ無いからなぁ? それに缶詰めはまだ見せられない。となると消去法でスライムか、カメラ壊れないなら撮るんだけど、先ずは適度な火力を探さないと。
「LV1スケルトンの動画希望か……人が多いからなぁ?」
レベル1ってもうそんな呼び名が定着してるのか、確かにあの脆さはそんな感じではあるけど、それでも結構危ない化物なんだけどな。それにしても、昨日はカメラつけてなかったのが悔やまれる。あれだけ大量の骨を狩ったのにほぼ成果が無いとか、せめて映してたらまた違ったんだろうけど。
「にしても、傍から見るとこんな感じなんだなぁ」
一応大輔にデータ送る前に確認はしてるけど、じっくり見たのは今が初めてになるわけで、戦っている自分の姿を見ると言うのは何とも奇妙な気持ちになる。でもなんだろうか、このもどかしい感じ、もう少し早く動けないだろうか、そうしたらもうちょっと楽にさばけると思うんだが、昨日の帰りの一戦とかは片手使えなくて結構苦労したんだ。それももっと早く腕を切り返せたら‥‥‥要改善だ。
「もう少し動いてる動画もあったはずだから、まだしばらく動画は作れそうだな」
動画はそんなに長くないので、たぶん次弾はいくつか用意されてるんじゃないだろうか、その辺のことについても詳しく聞きたかったけど帰っちゃったからな。
「格闘家ハンターみたいな評価になってるし、そう言うのが良いのかな?」
コメントを読めばすっかり格闘家ハンターが定着している。そう書かれるとそう言う動画を用意したらいいのかとも思うけど、次はスライム予定だからな、なんか変な二つ名付けられそうで怖い。
「あとスライムが黒いから映えそうにない」
カメラが高性能だからと言って真っ黒で巨大なスライムだ。真面に映るかどうか、爆発の映像が撮れるから、そう言うのが好きな人には喜ばれそうだけど? 日常で何かが合法的に爆発する映像とかそんな多くないだろうしな。
「望月さん検温の時間です」
「あ、はい」
お、少し若い看護師さんだ。さっきは年配女性だったけど、飴ちゃんは貰えそうにないな。ちなみにさっきは貰った。口さみしいので何か食べ物を買いに行きたいと言ったらだめだと言われて飴を貰ったのだ。どうやら今日は絶対安静で様子見らしい。
「動画ですか?」
「えっと、はい」
「エッチなのは音に注意してくださいね」
「そそ、そんなんじゃないですよ!?」
違うよ! エッチなのじゃないよ! ちょっとそう言う動画も見ようなかなとか全然思ってないから! 見たら確実に大輔にバレそうだから見てもスマホで見るから! ほんとだよ。ほんと、なんでそんな疑わし気な目なんですか? 新しい扉が開きそうだからやめてもろて。
「ほんとうですかー? ……あれ? これって望月さんですか?」
「ええ、まぁ」
まてよ……これはこれで恥ずかしくないか? 自分の戦う姿を映した動画を一人で視聴している二十代後半男性……痛いな。
「ご自分でやってらっしゃるんですか?」
「いや、元同僚がやりたいと言うので」
ちゃうんす! 自分でやってるわけじゃないんす! 全部大輔の所為であってナルシスト的な痛い奴じゃないんです。信じて下さ……おや? 思っていた表情と違う。俺はもっとこう蔑む様な目で見られてると思ったんだけど、目がキラキラしてませんかお嬢さん。
「へぇ……凄いですね。異界ですよねこれ?」
「わかるんですか?」
「ええ! 私好きなんですよファンタジーな感じで」
「なるほど」
あ、この人たぶんこっち側の住人だ。違っても爪先突っ込んでるタイプの陽キャだ。髪の毛明るい茶髪だし、化粧も綺麗だし、陰の者の気配をあまり感じないけど、違ったら随分と熟練した隠蔽スキルである。
「あとでチャンネル登録しておきますね!」
「あ、ありがとうございます」
チャンネル登録も出来ちゃう感じのタイプですか、なんだろう胃が痛くなってきた。早く帰りたい。
でもちょっと嬉しい自分も居て、とても俺はちょろいと思いました。
いかがでしたでしょうか?
羅糸はちょろい。
目指せ書籍化、応援してもらえたら幸いです。それでは次回もお楽しみに!さようならー




