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泡となり浮かぶ世界 ~押し付けられた善意~  作者: Hekuto


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第28話

 修正等完了しましたので投稿します。楽しんでいってね。



「大学生か、なんかキラキラしてたな……」


 良く分からないけどキラキラしてた、言語化できないけど俺には無いものだとすごく思いました。


「俺にもキャンパスライフな可能性があったのだろうか?」


 大学生、俺も頑張ればそれもあり得たかもしれない可能性、でも何より自由にできるお金が欲しかったから高卒就職はしょうがなかったのだ。うちの親はほぼ家に居ないからお小遣いを直接貰った記憶が無い。学費は出してくれると言っていたけど、それ以外のお金は姉が管理していたので、彼等の様なキラキラ大学生ライフになっていたかどうか。


「うーん想像できない……それにしても汚い」


 まったくキラキラしてない汚い自転車が目の前にある。自宅に帰る前に立ち寄ったのは会社。そこから袋に入った折り畳み自転車を貰って来たのだが、外で開けてみればすごく汚かった。部屋で開けなかった俺を褒めたい。


「少し使ってそのまま放置だったんだろうな」


 照明のほとんどブレーカーで切られている会社は暗く、パッと見ただけで持って来た物だから明るい外で開けてみると色々問題が見えてくる。何度か使ったまま放置していたのだろうと思われる土があちこちについているし、小さな傷もついているが大きな故障が無いのは幸い。最悪修理にお金がかかるところだ。


「タイヤが一番ゴツイの持ってきたけど、あとは実際に使ってみてだな」


 タイヤも特に問題無し、オプションなのか修理キットや空気入れもついているので今すぐにでも使えそうだ。ライトはハンドルに取り付けるタイプの様でパッキングされたままの物が入っていた。


「その前に奥を調べないと」


 自転車は適当に水洗いしてしまえば問題ないと思うけど、問題は異界の奥に居ると思われる美味しい化物、Tに予測してる人も居たけど複数の予測が出ていた。その中で一番ありがたいのはスケルトンの強化型、青山で見たやつだが恩恵と換金の事を考えると一番ありがたい。一番やめてほしいのがスライムの強化型、今のところタイプ違いは見つかっているが強化型はいないそうだ。





「快適だった」


 歩きの何倍も楽で涼しかったんですが、自転車は文明の利器やで、人類はもっと自転車を崇めるべき。


「うげ、割と高いなぁ」


 文明の利器は常に金がかかると言う事か、なんで自転車停めるだけでお金が掛かるんだ。しかもこれはお金が返ってこないタイプじゃないか、しかも一律300円とかぼったくりだろ、そこはワンコインに……バイクは500円だと!? おのれ足元を見やがって! 悪い文明、滅ぶべき。


 とりあえず異界に入ろう。


「……落ち着いて行こう。スケルトン狩り無視してさっさと奥に行こう」


 ふぅ、現金と言う現実に心を乱してしまったが地下は涼しい。


 警備員のお姉さんに聞いたら自転車も普通にゲートを通せば中に入れられるらしいし、やはり優しいお姉さんは良き文明。そう言えば自衛隊の人たちは車両も入れていたような気がする……ここは元々そう言う事を前提に作られているのかもしれないな、誰が作ったか知らないけど。


「いた」


 前から歩いてくるのはアルミ缶、ここまで来るのにも結構時間が掛かる。やはり効率を考えるなら自転車は必須だ。たぶん青山霊園の異界より歩く距離は長いと思う。


「交換!」


 発見してからアルミ缶が気が付いて走り寄って来るまでにそれほど時間はかからない。手の中には火打石の感触、避けた後ろで潰れる鈍い音と吹き出す灯油の音、奴は死ぬ。いやほんと防御力皆無なんだよなアルミ缶。


「よし」


 灯油臭いけど灯油が残っているわけでは無いのですぐにドロップを拾い上げる。黒い塵の中から出て来たのは昨日と同じアルミキューブ、こいつはちょっと危ないのでコレクションに入れる予定はない。なんでもポケットに入れてたら壊れて灯油が洩れたりすることもあるそうだ。


 そのための手提げ袋、自転車で来ることになったら間違って自転車ごと倒さないよう気を付けないと危険だな。


「こい!」


 少し歩けばすぐにスチール缶の姿を確認出来たので、呼び寄せるように叫ぶが何の反応も示さない。しかしもう一歩踏み出すと勢いよく振り返って真っ直ぐこちらに駆け出すスチール缶、何に反応しているのか良く分からないが、今は息を吐いてタイミングを計る。


「交換! からダッシュ!!」


 走る! 一定の距離まで来ると必ず飛び掛かってくるから、そのタイミングでスチール缶の下を潜り抜けるように走り抜け、抜けたら姿勢を低くしたまま振り返る……タイミングはバッチリだ。


「これだな」


 振り返った瞬間見えるのは、頭からガソリンを噴き出しながら手足をばたつかせるスチール缶。あいつら飛び上がるとすぐに自分の手で頭のプルタブを開いてガソリンを振り撒き、そこに反対の手に持ったライターで引火させるのが基本行動なのだ。


 だが、怖いからとあまり速くライターを奪えば、今度は体当たりに攻撃方法を切り替えるので大変危険である。


「結構嵩張るな」


 小一時間ぐらいたっただろうか、体にタイミングが沁みつく様に繰り返し繰り返し化物を狩っていたが、そろそろ荷物がいっぱいだ。人がいないから中央を歩いていても結構な数の空き缶シリーズに出会う。それ以外はまったく見かけないので、俺の目的地はまだ遠そうだ。


「これ以上遠いと流石に徒歩じゃな」


 自転車を手に入れたのは正解だな、あとは少し改造して物を多く運べるようにしたらいい。アルミ缶もスチール缶も狩れるとは言え危ない相手だし、スルー出来るならそれに越したことは無いだろう。


「化物の分布の仕方は同じ感じみたいだな」


 Tに投稿される動画の中には異界を評価する動画も複数上がっている。その動画では内部の化物分布についても触れられていたんだけど、どうやら三種類以上の化物が同時に存在するエリアは無いらしく、ここもアルミ缶とスチール缶のエリアを抜けるまで別種の化物は出ないと思われる。


 それも思われると言った程度であって、さらに先がどうなっているかは見当がつかない。それでもこの手の検証に対して国が削除要請や問題定義しないので、国でも見解は似たようなものなのだろう。システムの変更、どこまでも作り物めいているけど、改めて考えれば地球と言う星自体どこか作り物めいている気もする。


「それじゃ今日はこの辺で良いか」


 荷物を置いて周囲を確認する事十分ほど、特に変化はなくこの先も歩くジュース缶ばかりのようだ。これ以上キューブを増やすのは正直重くて持って帰るのが怠くなる。


「無理せず怪我無く、次回はここからだ」


 周りにある石を拾い集めて山を作っておく。なんだか賽の河原か何かみたいで不気味だな、でもまぁここまで来る人がこのくらいの事で驚くわけないか、化物いなけりゃ普通に肝試しの名所になってそうなくらい元から不気味だし。


「うーん」


 ジュース缶シリーズのドロップも1個5Eマネー、何時になったらもっとマシな数字を見れるのか、それでも結構な数を狩れたので今日のご飯代ぐらいにはなる。今日はおにぎりフルコースだな、何個食べようか。


 そんなことを考えながら高い駐輪代を払ってやってきたのはねーちゃんがくれたパンフレットの店。駅から離れた場所にある建物は広く、居ぬき物件だったのであろう建物の内装は割と新しく見える。リサイクルショップと言った中に昔のお店の名残が見えるが、ガソリンスタンド? いや、中古車販売と言った感じだろうか。


「えーーと、こっちじゃないな」


 横に長く広いもんで入り口がどこか分からない。今いるのは端っこだと思うが、コンテナが並べられているだけで特に何も見当たらないので入り口は反対側だろう。


「ここか……」


 適当に当たりを付けて自転車を漕いだのだが、反対側につく前に入り口を過ぎてしまって余計な労力を使ってしまった。どうやら入り口は横に広い敷地の真ん中辺りだった様だ。


「すみませーん」


「ちょっと待ってろ!」


 大きなテントのように布が張られた下には所狭しと商品らしきものが並べられているが、妙にタイヤが多い。大きな声が聞こえて来た方に歩いて行くと靴箱の山の隣にカウンターを見つける。良く見ると靴が入っているわけでは無く細かいコードや部品が飛び出ていた。


「ん? 初めてだな、何か入り用か?」


「異界の物を買い取って貰えると聞いたんですけど」


 何か作業中だったのか、分厚いエプロン姿の男性が出てくる。野太い声に咥え煙草、使い古したタオルで手を拭きながら現れた姿は、工場の職人と言うよりは、非合法な仕事でもしていそうな出で立ちだ。たぶん子供が見たら秒で泣くような風貌である。


「ああやってるぜ、何を持ってきた?」


 でもまぁ山本さんに比べたらまだまだ怖そうなだけで問題は無い。山本さんは確実に何人かやってる目をしてる、実際本人に行ったら笑ってただけで否定しなかったのでやってると思う。


「今日は持って来てないんですけど、場所とどんな風に買い取って貰えるのかの確認に」


「なるほどな、一応これが買取表だ。まだ作り掛けだけどな」


 買取表だと渡されたのは、厚みのあるアクリルのA3ハードケースに入れられたもので、割と細かく書いてあるが、調整中の文字が結構多い。


「作り掛けですか」


「値段がころころ変わるし種類もどんどん増えている、他には名前も急に変わったりでな、ちゃんとしたのはまだ作ってねぇんだわ」


 確かに、呼び名に関しては官民協力なので国とのすり合わせがあるのだろうか良く変わる。金額に関しては変わったのは最近の骨くらいで他に関しては変わったと言った印象は無いのだが、元が糞安いので気にしてなかったとも言える。5円が6円に変わったところで何だと言うのだ、でも骨に関してはこっちで売った方が高く売れそうだ。差は10円だけど……。


「なるほど、異界前の買取り所よりほんの少し高いんですね」


「それも時価ってやつだ。国は最安値固定で買い叩いてるからな」 


 そうか、あれは最安値なのか……やっぱ嫌いだな、所得税を上げるとか相続税を上げるとか言っているのに、俺らへの還元は何も無いんだよな、まぁ仕事辞めたから所得なんてほぼ無いんだけどね。


 まぁどの道あんな商売気のない職員が居る買取所なんて利用しないけどさ。


「燃料、リッターなんですね」


「そらまぁなぁ? いくらなんでもミリリットル単位では買えねぇよ」


 全体的に高値だけどやっぱまとめ売りが基本だ、言ってる意味は分かるけど、現状で燃料を商品には出来そうにない。と言うかキューブってどのくらいガソリンが入ってるんだろう。


「アルミキューブとスチールキューブはどのくらい入ってるんですかね?」


「あれか、たぶん50くらいだろうな、灯油はアルミだからいいがガソリンはスチールだろ? 取り出すの大変なんだよ」


「なるほど」


 確かに、アルミキューブは気を付けてないと洩れちゃうほど弱いけど、スチール缶は投げても壊れないらしいから、そこから少量のガソリンを取り出すとかめんどくさすぎるし危ないしで割に合わない。と言うか50って50ミリリットルってことか、どのくらいか全くピンと来ないけど、一リットルにするには何個必要なんだ? えーっと、20個かな? わりにあわないな。


「取り出しやすいタンクタイプもあるらしいが、こんなとこには流れてこねぇ……もし持ってきたらリッター100円は出すぞ? 時価だからこれからも上がると思ってくれ、まぁ下がりもするかもだが」


「わかりました。ちょっと頑張ってみます」


 なるほど、俺の目的ともがっちするわけだな? 俺の目的はそのタンクタイプのガソリンだからな。Tの動画では化物が強くなると同時にドロップも良くなりさらにまったく違うものがドロップするのではなく、上位互換がドロップとして手に入ると言われている。実際に自衛隊の調査によって判明している異界の情報でもその傾向がみられるそうだ。


「おう、よろしくな」


 威嚇のような笑みを浮かべる店員に返した価格表にもガソリンタンクが書かれていたので問題なく買い取ってくれるはずだ。問題は俺の予想が、というより動画の予想が当たるかである。


 気合を入れて頑張らねば! ん? 胸ポケットに違和感、そう言えばねーちゃんに渡せって言われてたな。


「あ、そうだ。これ、近所のねーちゃんの紹介できたんですよ」


 胸ポケットからちょっとしわくちゃになったねーちゃんのメモを取り出す。見せろと言われたからとりあえず見せておく。指示を無視したとか思われるとねーちゃんが拗ねるから面倒なんだ。あの人大人の女性に見えてちょこちょこ子供っぽい所があるんだよね。まぁそこも良いとこと言えなくもないかもしれないけど。


「紹介? ……げぇ!? 姐さんのお気にかよ!? まってろ! 茶と菓子だすからよ!」


「え?」


 姐さん? さっきまでの反応と全く違うんだけど、ねーちゃん何したの? そしてあの人店長なんだ。店の奥から若い従業員の悲鳴が聞こえて来るけど、何があったのか、今のうちに帰った方が良いのかな? でも、喉乾いたし、お茶ぐらい貰って行こうかな。


 なんか異変からこっち、自分が図太くなった気がするけど気のせいかな? 元からこんなものだったっけ? んーやっぱ関わる人種が変わると自分の性格にも影響するのだろうか? ちょっとこの先が不安だ。



 いかがでしたでしょうか?


 最も多くの時間を共にする5人の平均値が自分に反映されるらしいですね。


 目指せ書籍化、応援してもらえたら幸いです。それでは次回もお楽しみに!さようならー

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