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第22話

 修正等完了しましたので投稿します。楽しんでいってね。



「あー気分わる、なんでこう馬鹿ばっかなんだろうね」


 変なのに絡まれたので気分は最悪だが、とりあえず気持ちを入れ替えてやること終わらせよう。そんで帰ったら酒飲んで忘れるに限る。あとなんか騒いでた変な奴は自衛隊っぽい人に囲まれて連れていかれたけど、特に呼び止められることも無かったので問題は無さそうだ。次からは協会とか管理してる人間とかその手の奴は無視で良いな。


「それにしても、でかいなー」


 異界に付属するように現れた謎の緑の塔、通称リサイクルタワー。名前の由来は大体なんでも入れられてEマネーに変換してくれるから、ただ生物は入れられないとかで無理に入れようとしても不可視の壁で遮られるらしく、Tの動画では無理やり手を入れようとして配信者が指を突いて怪我していた。


 ちなみにゴミ袋に入れた猫を入れようとした人間もいるが、入れられないし動画にしたもんだから通報されてそのまま警察のお世話になったそうだ。


「んー……記念に一個づつ持って帰ろう」


 今回入れるのはスライムキューブと骨キューブ、しかし頑張って倒した結果でもあるわっけで、記念に1個ずつ持って帰ろうと思う。何だったらこれからドロップする物は記念に一揃えしたくもある。ただ危険物もあるらしいのでそれは無理としても、スライムキューブと骨キューブくらいなら問題ないだろう。


「10Eか……これじゃ何も買えないな」


 そうなると減るのがEマネー、おにぎり1個50Eである。10E稼いでも何も買えない。一応結構なEマネーは保有しているのだが、有休消化は仕事扱いにならないらしくEマネーが増える気配はなく、あまり余裕ぶっこいてると現金どころかEマネーも無くなってしまう。


「お金は節約したいしなぁ」


 今を生きる人々のセーフティーネットと言ってもいいEマネーも大事であるが、現代社会で生きるにはどうしても現金が必要である。まだそれなりの蓄えはあるにはあるが、このまま働かないでずっと生きて行けるわけもなく、どうにかこうにかハンターとして戦える取っ掛かりも見つける事が出来たので、そこを安定させていきたい。


「お金のことを考えると急に疲れが……歩きと思ったけど、流石に疲れた。自転車が欲しいな」


 リサイクルタワーは使う人が多く、交換したらすぐに離れないといけないためすぐに離れて帰路についているが、どうにも家庭ごみなんかを持ち込んでいる人も居るようだ。中には自転車に満載の空き缶やらペットボトルを入れに来てる人も居て、しかし誰も注意はしていない。


 その自転車貸してくれないかな、まてよ? 自転車……あったな。


「そう言えば、会社に埃を被った折り畳み自転車があったな。あれ貰ってくるか」


 会社の倉庫整理中にいくつか自転車が出て来たことを思いだす。災害時や緊急時用に買っていた物らしく、ママチャリやマウンテンバイク、そして折り畳み自転車と無駄に種類が多く、当時の担当者の暴走具合を物語っていた。


「あとでメールしとかないと」


 あれも経費とかで買っているんだと思うけど、何をやってるのか……まぁそれが今俺の為になるのだから世の中何があるか分からないものだ。


 それから俺は早くお風呂に入りたい一心で帰り道を歩く。まだ少し早い時間である為、何時も会社から帰っている時に見る街とはどこか人種が違う気がする。


「玄関が見えると帰ってきた感があるな、つかれー」


 家まで小一時間ぐらいだろうか、異界で狩りをしたことも相まって足はクタクタで、今すぐにでも風呂に入ってマッサージをしたいところだ。


「おい!」


「わい!?」


 だれ!?


「変な声を出すなよ……」


「いやいや、ねーちゃんが驚かすからだろ?」


 びっくりした。玄関の鍵を開けようと、バックパックの中を漁っている俺を脅かしたのはねーちゃん。ねーちゃんと言っても実の姉ではなく、中学生の時に何かと面倒を見てくれた近所のねーちゃんだ。豪快と言うか男勝りと言うか、元気なねーちゃんである。


「肝がちっさな奴だねまったく」


「普通後ろから吠え掛かられたら誰だって驚くだろ」


 誰だって突然気配を消して後ろから吠えられたら驚くし、心臓の弱い人ならそのまま心停止してしまうだろう。そんな危険行為だと言うのにねーちゃんには反省の色が無い、まるで大型犬のようだ。髪の毛を白っぽく染めてるから犬種はハスキーかな。


「誰が犬だ」


「いたたた! いふぁい!?」


 普通に痛い、頬っぺたはそんなに伸びるようには作られていないんですねーちゃん、あー困ります! 両方引っ張ったら千切れてしまいます。そしてなんで犬に例えたことがバレたんですか? エスパーですか? 恩恵ですか? 謝るのでにっこにこな顔で引っ張ったり戻したりして遊ばんでください。俺のほっぺが弛んでしまいます。


「……ずいぶん草臥れてるけど、仕事大変なのかい?」


「いたた……仕事か、うーん」


 ぐぬぬ、十分くらい俺のほっぺを堪能したんじゃないかこの人? 俺のほっぺは赤くなってそうなのに何でこの人はつやつやしてるの? テカってんの? まったく。


「ん? 何かあったんだね?」


「あーいや、会社がその……」


 そう言えば最近忙しいし時間も不規則だし、ねーちゃんに会う機会が無かったから会社の事を伝えて無かった。


 実家の近所に住んでいたはずのねーちゃんは、俺が一人暮らしする時に何故か俺の借りた部屋の上の階に住んでいて、それからもずっと気にかけてくれる良い人だ。たぶん今の会社でやっていけていたのも、ねーちゃんに色々相談できたことが大きいと思う。


「あんた、なにかやったのかい?」


 良い人なんだけど、何かと俺の不手際を最初に疑う癖はどうにかしてほしい、俺が問題を起こす確率より大輔が問題起こす確率の方が圧倒的に高いのだが、羅糸はとてもとても不満です。


「なんで俺だよ、会社がつぶれるんだ。それで今は有休消化中みたいな何かなんだよ」


「はあ!? どうしてまた……」


 まぁ驚くよな、驚かなかったら俺が驚くまである。


 ふむ、珍しくねーちゃんの驚いた表情が見れたが、ワイルド系美人は驚いても美人なの変わらないんですね? あとなんで頭撫でてくるんですか? え? 大丈夫かって? なにが? いやだからほっぺひっぱらないで、もまないで。


「もむでない! まったく、まぁいろいろあってさ」


 とりあえず一通り説明しておこう。珍しいねーちゃんの姿も見れたし、サービスだぞ。


「なんと言うか、それ私に話して良かったの?」


「良くないけど、まぁねーちゃんなら良いかなって」


 家にも入らず色々会社で起こった事を説明してたら、テンション上がって愚痴って会社の不正もいくつか教えちゃった。


 てへぺろ。


 まぁ問題ないよね! 問題しかないけど、ねーちゃんなら悪用しないだろ、有効活用しそうだと言う予感も無いではないが、悪い人じゃないし、だから問題無し! ヨシッ!


「…………はぁ、もうこれ以上言いふらすんじゃないよ?」


 なんかねーちゃんがめっちゃ呆れた表情を浮かべて背中を丸めている。ワイルド系長身長美人のねーちゃんは、背中を丸めても美人で俺より背が高い。なんだろう、負けた気がするので頭撫でるのやめてもらって良いですかね? 噛むぞ? 泣くぞ。


「ねーちゃん以外には言わないよ」


「なんで私なんだよ」


「……なかいいひとほかにいないし」


 ぼっちじゃないよ? 友達厳選が終わってないだけのリセマラ勢なだけだよ? だからいい加減その手を頭からはなせ! やめろー! やさしいてつきやめろー! 俺は唯の孤高の狼なんじゃい!


「あぁわるい、家族は? そう言えば安否確認はしたのかい?」


「してないな、とりあえず電話は繋がらない」


 してない、と言いつつ確認してはいる。とれてないだけで、電話かけても繋がらないし、実の姉の連絡先知らないし、向こうから連絡する時も実家から掛かってきたり、両親のどっちかから伝言ゲームだったり、仲は悪くないと思うけど、なぜか連絡先を知らないのだ。


 なんでだろう?


「……あんたねぇ」


 うん、呆れられても何も言えね。


「姉ちゃんは電話番号知らないし、たぶん父さん母さんは、エジプトに居るんじゃないかな?」


「いや、ほら空港に帰って来てるんじゃ」


「んー詳しくは言えないんだけど、あの二人は帰って来てないと思うんだよね」


 これでも俺は詳しいんだ。なんせ山本のおっさんから知らなくていい事を大量に吹き込まれたからな! あと何故か山本のおっさんの同僚の人とか、警察の人とか、高橋さんの同僚の人とかいろいろな人が、一般人は知らなくていいような情報を嬉々として教えてくるのだ。


 まぁうちの両親は帰って来てないよね。いろいろな疑惑もあって、俺の身辺調査は両親やその家族関係にも至っていたみたいで、両親が不明なのも確認済みの様だった。教えてはくれなかったけど、目を見たら大体察することができる。たぶん姉ちゃんは帰って来てると思う。


「はぁ、私の方で確認して上げるから」


「実家に電話しても一緒だしね」


「……心配じゃないのかい?」


 心配と言えば心配だけど、一般家庭に比べたら結構ドライなんじゃないだろうか? 死んでもなんとも思わないなんて無いけど、あの二人だから。


「んー心配は心配だけど、心配してもあの二人は喜ばないだろうしなー?」


「……それで今日は就活でもしてたの?」


 何か言いたげだけど、たぶんねーちゃんも家の両親をの姿を思い出したのだろう。不承不承と言った様子で言葉を飲み込んでくれた。


 それ聞くかぁ、うーん……まぁいいかどうせバレそうだから。


「いや、化物狩猟許可証をとったから初めての異界に行ってきたんだ」


「あんた、もう……なんでそんな」


 まぁ心配してくれるよね、化物狩猟許可証とってハンターとか世の中じゃ野蛮人扱いが主流だからね。怪我や死亡事故も多いし、子供がやると言い出したら半数以上の親は止めるだろう。


「無理はしないよ、無理も出来ないからね」


「だからってあんな危ない事……」


 うーん、確かに危ないしなんでやろうと思ったかわからん。


 分からないけど、親の言葉を借りるなら、迷ったら楽しいそうな方に行けってやつだ。正直、俺は今まで詰まらない方にばかり歩いていた気がする。親への反発も、無くは無いが特に夢も何もなかったからな、安定と言うか変化を嫌っていたんだと思う。


「まぁ何とかなるよ、どうせ今はまだ就職しようにも仕事が無いからね」


 だから何かを変える為には、今までやらなかったやり方でないといけない。そんな後付けだけど、割としっくり来る気がする。


「そんな事! ……あるわね」


「でしょ?」


 大体今は就職口が無いのだ。無いことは無いが、ホワイトな企業は先ず無いし、それ以外も全部即戦力を求めていて、今の社会に人を育てている余裕はない。


「んー……なにか困ったことがあったらすぐに言うんだよ」


 どうやらねーちゃんにもすぐ紹介できる当ては無さそうだ。


「うん、ありがと」


「……」


 呆れが抜けないねーちゃんの笑みに見送られ家に入る。小さく手を振れば振り返してくれるねーちゃん。


「過保護だよなぁ」


 実に過保護である。


 いつもは姉御肌なんだけど、たまにこうなるんだよな。まぁ特に害も無いし、頼れるねーちゃんなんだけどね。


「とりあえず明日は軍手を買ってこないとな」


 明日は買い物だけにして体を休めよう、なんだか色々と疲れた。



 いかがでしたでしょうか?


 近所のお姉さん、ではなくねーちゃんが現れた。羅糸は頬を撫で繰り回された。


 目指せ書籍化、応援してもらえたら幸いです。それでは次回もお楽しみに!さようならー

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