表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/101

第20話

 修正等完了しましたので投稿します。楽しんでいってね。



「ん?」


 頭上から変な音がする。


「何の音……ドローンか」


 ドローンが飛んでいた。地面から4メートルくらいの場所を一機のドローンが飛んでいるけど、動画撮影かな? それとも協会の調査用だろうか。


「奥の調査に行くのかな?」


 まったくスピードを緩めず真っ直ぐ奥に飛んで行ってすぐに見えなくなってしまう。地下道はほぼ真っ直ぐな道が続くだけだが、広大かつ薄暗いので遠近感もはっきりしないし知覚できる範囲は思ったより狭い。その事をドローンで再認識できた。


「さて、恩恵無しで戦えるか」


 今日来た予定はもう半分ぐらい完了したので残りはメインディッシュのスライムとスケルトン、恩恵無しで戦えれば次のステージに進めるわけだが、この辺ならもう戦って良いのだろうか。


「あ、ここからは中央も戦闘可能なんだ」


 少し歩くと大きめの立て看板が、石がたくさん転がる土剥き出しな地下道の地面に突き刺してある。よく山道なんかに不法投棄禁止とか書いてありそうな木の看板には、見学者や観光客へ進入禁止の注意が書かれている様だ。一応中央じゃなければ問題ないと書いてあるが、安全を考えればこの先で狩った方が良いだろう。


「中央に出てきたのを狩るか、周りもよく見ないとな」


 さて、先に行った人はたくさんいるはずだが、スケルトンやスライムは残っているだろうか。


「人が少なくなったな……」


 あれ? 思ったほど人が居ない、もっとたくさんいるものだと思ったんだけど、もっと奥が狩場なのだろうか、帰ったらもう少し詳しく調べないといけないかな? まぁこっちは狩りの練習が出来ればいんだけど。


「みんな武器持ってるなぁ」


 ちらほらと人の集団を見かけるが単独の人間は見かけないし、武器を持ってない人間なってまったく見かけない。


 一番殺傷能力が高そうなのは猟銃を持った人だろうか、他にも長いハンマーを持った人も居るし長刀女子もいる。服装は登山服っぽい人が多いだろうか? あとは、ボディーアーマーを着た人も居て何ともちぐはぐな雰囲気だ。


「先ずはスライムを探そう」


 あまり観察していてもしょうがないし今日の予定を終わらせないと、と言ったところで相手は生き物? 丁度良く居ないので少し壁寄りを歩くことにする。


「いた」


 右側の壁に近付き歩いていると脇道から出て来たばかりのスライムを発見できた。脇道から飛び出してしばらくぷるぷると震えていたスライムは、中央に向けてゆっくりと歩き? 始める。


「さて、ただの石がどのくらい効くのかな」


 スライムは大体なんでも溶かすと聞いたが、瞬間的に溶けるわけでは無いようなので石を投げつけても倒せるはず。Tでもスライム苛めとか言う動画が上がっていて石をぶつけて倒したり、魔法の石をぶつけて倒したりといろいろやっていた様なので問題ないと思う。


 そう、俺の作戦は石の投擲である。誰でも考え付くであろうが大体は実践しないのではないだろうか? スリングを使う人はいるようだが、江戸川大地下道では暗くて長距離の命中率が低いし、スリングもC級は使えない。


「一投、め!」


 なので俺に出来るのは全力のオーバースローだけ、しかし野球部だったりと言った過去は無いので命中率はお察しである。


「くっ……もういっちょ」


 スライムより手前に落ちた石は大きく跳ねて遠くに飛んで行く。俺は人が居ない壁側に投げる事を固く誓った。


「当たった! ……あ、怒った?」


 プルプルからブルブルに揺れ方が変わってこっちに近付いてくる。ある程度近付いてくると飛び掛かって来るらしいのでその前に倒すか少し離れないといけない。


「そら! そい!」


 武器となる石はいくらでも地面に転がっているので拾い集めては投げつける。まるで雪合戦の様だが石が大きく重いので肩がすぐに疲れてくるが、確実にスライムは弱っている様だ。


 そんな必死な俺の耳に笑い声が聞こえてくる。


「おい見ろよ」


「ダサ!」


「ぐぬぬ、いい、気にしない」


 声の主が誰かは分からない。顔を拝んで後ろから石を投げつけてやりたくもあるが普通に犯罪なのでやめておく。と言うかそんな余裕は無い、もう十発は投げているがヒット率は3割、もう少し落ち着いて投げたいが心臓は限界まで心拍数を上げている。なにせ弱いと言われているスライムでも顔にへばりつくと普通に大怪我なのだ。


「おら!」


 緊張するなと言う方が頭がおかしい、武器の一つでも持てればもっと余裕があるんだろうけど、C級は盾も禁止されているのでステゴロかこんな攻撃しか出来ない。動画ではバットを使ったC級が鈍器所持とかで逮捕されているのだから、この法律は頭がいかれてる奴が作ったんだと思う。


「……お?」


 手の中の石が無くなったので拾い直そうと屈んだ瞬間スライムが黒い塵になって消え始めた。異界の化物はみな死ぬと黒い塵となって消えて行く。塵もすぐに目では見えないほど細かくなって消えて行くが原理は不明、そして必ず何かを残す。


「おー……これがスライムキューブ」


 それがドロップ、スライムはほぼ100%このスライムキューブを残すらしく、しかし利用価値が無いので拾ってもリサイクルタワーに入れるくらいしか無い。それでも国は回収を推奨しているそうで、何かに使えないか研究している様だ。


「ひんやりしっとり、でも濡れてるわけじゃないのか」


 ひんやりしていてグニグニ押し潰しても崩れず、しっとりしているが濡れるわけでは無い。思い切り握りつぶせば割れそうな気もするけど、勿体ないので背中のバックパックに入れておく。……前にもう少し観察しておこう。


「なんか、こんな玩具が一時期流行ったな」


 うーん、結構気持ちいいかもしれない。暇な時とかに無限に揉みしだいてしまいそうだ。でも使い道がそれだけしかないとなぁ……いやでも、国が研究してるってことは何かあるんだと思うけど。


「買取りしてないからこれはリサイクルタワー‥‥‥」


 と言うか、回収を推奨するなら金払えよ何が優遇ポイントだよ、やっぱこの制度考えたやつ頭いかれてるぜ。


「まぁいいか」


 はぁ……まぁ今更だけどな、どうせ利権とか懐を温めたくて仕方ない連中が決めたんだろうし、一般庶民には理解しようとするだけ無駄だろ。


「あ、もう一匹来る」


 気分を変えよう、嫌な事が多いから暗くなるんだ。もっと前向きに、バカみたいな仕事から解放されたんだから、もっと気分よく歩かないと意味が無い。


「倒してもうま味が薄いから放置されてるんかな?」


 それにしてもよく見るとスライムが結構うろうろしてる。だいぶ近付かないと何の反応も示さないようだけど、ありがたいと言えばありがたいのかな。


「なら練習台になってもらおう」


 すまんなスライム、これも今後の生活の為なんだ。と言っても、スライムからしたらそんな事言われてもというやつかもしれないけど。


「えい!」


 たぶん当たった、でも遠いからか命中重視で力を籠めなかったから怒らせただけみたいだ。


「そい! や!」


 練習あるのみ、こんなことになるなら部活やっとくんだったな、野球部とか全員丸坊主コースだろうけど、丸坊主で今が楽になるならやってればよかった。


「おいおい、糞ダサすぎだろ」


「通報するか」


 また面倒なのが近づいて来たな、なんでこう他人を馬鹿にしないと生きていけない輩っているんだろうか、通報できるもんならやってみろってんだ。まぁ通報されても困るんだけどね。


「やめろ、その場合お前が悪くなるぞ」


「は? なんでだよ? 見学は狩っちゃだめだろ」


 ん? 見学だと思われてる? 目が悪いのかな? いや、こうも暗いと目が悪いとか関係なく見づらくはあるんだろうけど、ちょっと軽率な奴だな、こういうタイプは突っかかってきて引き際わかんなくて暴走するやつが多い、俺は部長で学んでるんだ。


「タグ持ちだ、腕章も付けてない」


「は? マジかよ、もうちょっとマシな装備して来いよな」


 大きなお世話である。


「良いから行くぞ」


「はいはい」


 ……行ったか。


「……装備ねぇ」


 俺だって安全の為にもっとガチガチに装備揃えたいよ、何だったら背中にバズーカ背負って来たいぐらいだ。でもなぁ、下手に何か持ってるとすぐ捕まるからな、あとC級ってだけでほぼ認められないし、今んとこ石が一番コスパが良いと思ってる。


「良い武器じゃん? 石、いっぱい落ちてるし」


 なんせこの地下道にはいくらでも石が転がっているんだ。注意しないと躓くぐらいには落ちてるし大きさもそこそこある。自転車とかバイクくらいなら注意してれば問題ないと思うけど、車で走るのは結構大変そうだし、変に乗り上げたらパンクしそうだ。


「まぁ恩恵が投擲ならもっと違ったんだろうけど」


 たぶん投擲とかの恩恵もあると思う。


 同じものが無いとなるとものすごい種類の恩恵だろうし、割と細かい違いで似たような恩恵もあるので、投擲系の恩恵持ちは多いんじゃないだろうか? まぁそれがどのくらい評価されるかは分からないけど。



 いかがでしたでしょうか?


 羅糸の攻撃方法は石の投擲、馬鹿にされているようですが普通に考えたら人も殺せる危険な行為です。良い子はマネしないように!


 目指せ書籍化、応援してもらえたら幸いです。それでは次回もお楽しみに!さようならー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ