表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/101

第14話

 修正等完了しましたので投稿します。楽しんでいってね。





 某輸入会社に公安がやって来た日の北海道某所。


「目標、予定区域に侵入、オクレ」


 時刻は夕方、夕暮れ時の紅い光に照らされる広大な牧草地には蠢く無数の大きな影、その大きさは牛や馬などの牧畜が子供の様に見えてしまうほど巨大である。


 何をしているのか地面を捲りながら歩く化物、その姿をじっと見詰めるのは濃緑色の服に草木を巻き付けた数人の男性、顔に黒や緑のドーランを塗りたくった彼らは、単眼鏡を片手に無線でどこかに連絡を入れている。


「目標の進入を確認、各隊攻撃開始」


 その無線は攻撃開始の合図となり、遠くからくぐもった破裂音が複数聴こえ、ついで遠い場所から大きな爆発音が連続して聞こえてきた。


 どうやら迫撃砲による遠距離攻撃が始まった様で、それは対象の化物が銃撃で倒せるほど生易しい相手ではないことを意味している。


「化物か……」


 遠くから聞こえてくる爆発音を聴きながら呟く男性は、次の連絡が届くのを静かに待つのであった。





「食ったこと無いから分からんが、他にも資源となる化物もいるとかで、自衛隊と国がそれらを独占してるってのがハンターの意見だな」


 どこかで地響きがしたような気がするが気のせいか、それにしても資源か、資源は問題だがハンターとは?


「ハンター? 猟師の事か?」


「化物専門で狩る人間がハンターを名乗ってんだよ。ほら、専門サイトにTの公式アカウント」


「会社のPCで何見てるんだよ」


 使用履歴はサーバーに全部残るんだぞ? それにしてもハンターか、大輔が見せて来たパソコンの画面には複数のウィンドウにそれぞれ公式サイトとTのアカウントが表示され、公式サイトは普通に企業のホームページと変わらないし、Tは結構なフォロワー数である。


「もう潰れるし良いじゃん」


「仕事はしてくれよ?」


「まかせとけ!」


 全く信用できない返事だ。


 それにしてもこの公式良く出来てるな? うちの公式ホームページもこのくらいしっかり作ってほしい。ページ数も少ないし何をしてるのかも今一ピンと来ない業務内容の割に、社長の格言とかのページは複数あるとか、それと比べてなんとわかりやすいことか。


「うーむ、しっかりした公式サイトだな」


「うちみたいな異変被害企業が連携してるらしいぞ、ベンチャーとか大学とか」


「なるほど」


 大輔がマウスでクリックすると協賛企業がずらりと並べられたページに変わる。知らない企業が多いけど、どこかで見たことがある大学の名前がずらりと並んでいるのは中々に見応えがある。しかしこれだけ協力者がいるって事はそれだけハンターと言う仕事に可能性があるてことか。


「工業系や科学系に製薬系あとはエンタメ関係も協賛してるとか……すごいな」


「資源不足は深刻らしいからなぁ? 食べ物もどんどん品薄でたまらん……」


 資源、資源、資源、実際ネットを見てもテレビを見ても常に足りないと言われているし、コンビニも飲食も閉店祭りだ。チェーン店も怪しくなってるって事は、本格的に不味いのだろう。


「家の近くの外食も軒並み閉店だよ、高速道路が通行止めだし国道も一部が化物で通れない。そりゃ物流も止まるわな」


「そこでハンターか」


 現状を打開するには、物流にしろ第一次産業にしろ安全にしろ、あの化物をどうにかしないといけない、かつその化物も資源になると言うのだから狩らないなんて選択は無いって事か。重機型の化物は良質な鋼材に、植物型は薬剤や食材に、動物型は割と食肉として優秀の様だと公式ホームページには書いてある。


「ハンター関連株が熱いとかうちの兄貴が言ってたな、暴落で白化してたのが嘘みたいだよ」


「暴落したの?」


 すでにハンター関連株なんて分類まであるのか、もしかして俺が遅れているのだろうか。


「まぁ、海外株とか紙屑だろうからな……」


「……確かに」


 たしかに……。外国が無くなったのなら外国の企業の株なんて紙屑と変わらない、いや紙屑以下と言う事か、興味が無いからまったく気にかけてなかった。


「うちの株も紙屑だな」


「持ち株主の社員がほぼ消えたんだから被害ほぼ無いだろ」


「……総務と人事くらいか」


 そのくらいだろうこの会社の株持ってるの、ほとんどの株は社長とか経営戦略とかが持ってんだろうけど、確か昔に給料の代わりとか言って株券を渡していたと聞いたことがある。貰っていた人間は辞めたか昇進しているだろうから、下っ端には何の関係もない話だ。


「他は平社員だけだからな、存在証明できたの」


 存在証明できた社員は非常に少ない、その中でも株で損しているだろう社員は2名くらいで、残りはみんな関係が無い社員ばかりだ。俺達が確認した後も高橋さんが所在を確認しているが見つかっておらず、何だったら家族全員行方不明の家も多いと彼女は困惑していた。


「自衛隊の長距離探索でも人類の証明ならずか、噂じゃ謎の気象現象で調査できなかったエリアもあるとか」


 テレビから周辺国の調査についての話題が流れてくる。正直、大して付き合いが無い社員が消えたことなんてすぐ忘れると思う。薄情と言われるかもしれないが人間なんて大概そんなもので、外国の事なんて余計にそうだろう、そんな遠くの事よりも目の前で問題が発生しているのだから、関係ない場所の事にまで気を廻している暇なんて無いのだ。


「どこ情報?」


「さぁ?」


 それにしても大輔はそんな噂をどこから仕入れて来るのか、たぶんSNSとかなんだろうけど、その情報もどこから来ているのか、俺ももう少し調べる癖をつけた方がよさそうだな、そうしないとどこかで致命的な失敗に繋がりそうである。





「ああぁぁぁ……うまい」


 ビールが五臓六腑に染み渡る……ところで五臓六腑ってなんだろう? まぁいいか、今日はもう酒を飲んで忘れようどうせ明日は休みだ。なんだかんだ大輔と話していたらいつの間にか仕事時間が終わっていた。いくら情報収集と言っても野郎と仕事終わってまで一緒に居たいとは思わない。


「うーん、Tでもハンターの情報上がってるな」


 しかし色々調べることは大事なのでスマホを手に取ってTのアプリを開く、最近はすっかり手に馴染んできたTだが、意外と使い勝手は悪くない。特にエロアカや金持ち女社長とか投資で成功しましたとか言うアカウントが居ないのが素晴らしい、まぁフォロワーなんてものも居なくてすごく寂しい事になっているけど、ビールがあれば幸せです。


「やっぱり恩恵が使えないと何ともならんか……交換ねぇ?」


 ビールはうまいが、状況はうまく無いなぁ。どのハント報告も結局は恩恵ありきと言ったところだ。


 洗濯機型化物のハント報告は石召喚の恩恵を使って押し潰した様で金属が売れたとか、巨大な木の人形型化物を電気系の恩恵で感電死させて、木材にして売ったり焚火にしたりとか、ハントを成功させている恩恵はどれも強力で、電気に関しては一部炭化している動画が投稿されている。


 うらやましい……俺だってこの空間魔法交換で! 交換で……。


「交換! ……交換!! ……こうかん……だめだな」


 手に持ったビール缶と机の上のまだ開けてない缶ビールを交換させようとするもやっぱり何も起きない。反対の手で取った焼き鳥とビール缶でもやっぱり成立しない、何度やってもダメ、いったい何が駄目なのか……焼き鳥がうめぇ。


「何がトリガーで使えるんだこの恩恵? もしかしてMP的なものがないのか? いやいや、流石にそれじゃ恩恵でもなんでもないよな」


 今のところ恩恵が使えていると言う動画を見るにインターバルは多少あっても割と連続で使えている様に見える。動画の編集でそういう風に見せている事も考えられるけど、もしそうなら全員が相当腕のいい動画編集者になってしまう。


 うぬぬぬぬ、交換! ……うん。


「やめた……悲しくなってきた」


 無言で念じてもダメか、諦める気は無いけど今は考えるのを止めとこう、酔ってるし、疲れてるし、こういう時は大体良いアイデアなんて出ないもんだ。とりあえずは今の面倒な仕事を最後まで終わらせてから考えようかな。


「もっと面白い……そう言えば化物食べた人いるのかな」


 大輔が言っていた食材になる化物はどんなのがあるんだろうか、食材、食べた、化物、検索っと……うーん、俺と同じ疑問を持った人の質問が多い。やっぱりみんな食べられるか気になっているのか、それともそれほどまでに食糧不足が危機的状況なのかどっちだろう。


「あった」


 動画にしてあげてる人たちを纏めてる人がリンクを張ってる。どうやらTに上げられる様な容量の動画ではない様で、それだけいっぱい見れるなら期待が出来る。


 動画の最初は何か説明してるようだが、あーはいはい、参考にして実行するのは自己責任でお願いしますと、まぁそれはそうだよな、そんな事で文句言われたくないだろし。


「畑の作物が……」


 食人花とは違うけどなんか気持ち悪い見た目の大根が生えている。これも食人花と一緒で動けないんだろうけど、地面から出ている部分だけで人の身長と同じくらいあるし、表面も樹皮みたいで顔まで付いてるとか気持ち悪すぎないか。


 この人は、うお!? 鍬を振ったら遠くの化物が斜めに切り裂かれた! これあれか、飛ぶ斬撃みたいな、俺のも何か動作が居るのだろうか? それでお味は? ……へぇ、甘いんだ。


「これは、うし? ぶた?」


 次の人の動画は動物型みたいだけど、なんだこの化物顔は完全に豚だけど体は牛と言うかホルスタイン、尻尾がやけに長いけどうわ!? 地面から棘が……グロじゃねーか、いやあぁこのくらいなら大丈夫だけど、人とか普通に死ぬ奴じゃん。化物も死んでるけど、いや恩恵怖いな、そりゃ全国で恩恵の調査始めるわけだ。


「にわとり……でかすぎだろ」


 普通にデカイ、もう説明の必要が無いくらい大きな鶏だこれ、串刺し衝撃映像で目を逸らしてたらいつの間にかデカイ鶏になってた。何を言っているか自分でも良く分からないが、燃えたー!? にわとりー!? いやおい、人の心無いのかなんでここでCMが有名フライドチキンのCMなんだよ、クリスマスにはまだ早いよ……。


「大学で検体を調査中……少し気になるな」


 あーここの動画に出て来た化物は全部調査してるのか、ちょっと結果とか続きとか別の動画が気になるけど、インパクトが……。


 ん? オマケ動画? んー……見るか、ここまで来たら全部見よう。


「これが資源をとれる化物か……ろぼっと?」


 いやいやいや? んー? これはなんだ? ちょっと量産感のあるボディだね? 緑色とかすごく量産感を感じてボクの好きな感じだけど3メートルくらい? ってこれ、自衛隊の戦闘隠し撮り? うわ、弾が貫通してない。最近の自衛隊はロボットと戦うのか、テロップに7.62mm貫通不可って、効かなかったのか? お、さっきより激しいけど12.7mm損傷軽微ってことは倒せそうにうお!? 足が爆発した! HEAT有効? この爆発したやつか、バズーカ的な感じかな? すげぇけど……すげぇけどさぁ。


「ふぅむ……無理だな」


 俺には無理だよオマケ動画、他の恩恵もこれ倒せる奴おるんか? あ、でもコメントに色々恩恵で倒す方法が書かれてる。うわ、エグい恩恵の話とか出てるけど、俺の不発交換じゃどうにもなりそうにないな、交換が何かの拍子に出来たとしてもなぁ? このロボットは自衛隊の戦闘車? 一両道連れにしてるとか無理だろ‥‥‥。


 あぁいや、でも無理って思っちゃだめだ。無理って思ったらそこで本当に無理になるからって、姉ちゃんが口酸っぱく言ってたからな、その結果がこれだし、無理じゃない無理じゃない行ける行ける、交換で心臓とか動力交換したらいいんだよ……出来るか知らんけど。


「勝てるビジョンが浮かばない……自衛隊は、あーこれが使った無反動砲か、ごついな」


 そりゃこんなごっついのぶっさしたらロボットも壊れるわ。


「俺の恩恵じゃ使えたとしても……効果がわからないから想像すら出来ない」


 心臓とか動力とか非現実な事考えたところで仕方ないとは言え、俺はまだスタートにも立ってないからな、せめて素手で戦ってる動画でもあればいいんだけど、そう言うのは見ないな、やっぱみんな特別な力に酔ってるのか、俺は酔いがさめてた。


「ハンターとかちょっと夢見ちゃった俺が馬鹿だったか、企業も使えないやつを雇うわけないしなぁ」


 ワンチャン雇って、くれるかなー? 協賛がアホみたいに居るし、人材は豊富だろうから無能を雇う必要も無いだろうけど、でも雇ってもらったとして何をやらされるかわからんぞ? 下手したら囮とか……ありえないと言えない。


「バイトもなぁ」


 かといってバイトも求人無いしなぁ


「あぁでも、あの食人花なら動かなそうだし……いやでも食えるのか?」


 人を食った食人花を食べないといけない状況まで行ったらもう本当のギリギリだろうな、その時俺は食えるのだろうか? んー……いまは焼き鳥で良いか、うまい! あの鶏の調査が終わって食えるとなったらこの焼き鳥もあの巨大鶏に変わるのかもしれない。


「うーん、酒がうまい」


 俺より身長が高くて横幅も4倍以上ありそうな鶏か、一匹絞めたら相当な肉になりそうだけど、こんなこと考えるのは異常なのだろうか? マグロの水槽見ても美味しそうと思っちゃうタイプだからなぁ? うーん、砂肝も大きいんだろうな……じゅるり。



 いかがでしたでしょうか?


 巨大な鶏、どんな味がするんでしょうね?


 目指せ書籍化、応援してもらえたら幸いです。それでは次回もお楽しみに!さようならー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ