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一話 『結婚生活』

――最悪なことが起きた。



 特になにもなく普通に生活をしていた彼の心はそんな一言で埋め尽くされていた

 特になにもないとは言いづらい。幼馴染が毎日嫌味を言ってくるし、少し意見が 

違えば喧嘩になるでとても大変だったに違いない。

 家が隣同士だし、何事出かけるときは大抵近くのショッピングセンターに行って

買い物に付き合わせられるしでなにかと大変。にも関わらず、特別なにもないと表

現するしかない。なにせ、


「あそこに新しくできた服屋があるから行こう」


 家を出た瞬間にそんなことを言われて、手を引っ張て半ば強引に連れてかれて

彼はため息をこぼした。

 これといって、「かっこいい」とかのないどこにでもいる壮年だ。マッシュの

黒髪に、平均より高い身長。体格はそこそこ鍛えているのかがっしりとしていて

白いパーカーと相まって鍛えているとは思えない服装である。

 三白眼の優しい目だけが印象的だが、今はその目尻は鋭い目に変わってしまっ

た。


 少し、目を細めただけで怖がられるようになってしまいそうな見た目だ。

 が、そんな彼を見ている人は『大変そう』な目で見る人が多い。


 当然といえば当然の話――なにせ彼を見る人たちは隣にいる幼馴染に振りまわ

されて、『背が高い』や『目つきが怖い』と思うものもいない。

 彼らは店の前で喧嘩をしたり、服を選ぶ際にも喧嘩をしていたりしていて、も

う仲が良すぎて彼らを見る人たちは『それ』らしすぎて頭が痛くなる。


 彼らのスマホから一通のメールが届いた。

 その内容は、


 『明日お見合いをしなさい』

 

 相手は明かされていなかったが、明日その相手がわかる。

 そう、彼らの相手のお見合い相手は、例の幼馴染たちなのであった。




※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 佐藤浩人さとうひろと天音菜月あまねなつきは田舎育ちである。


 彼らは、保育園のときから仲良しだったが、家の人にはあまり知られていな

い。なぜかは、あまりよく知らない。

 そこから、小中高と一緒だったが、中学生になると、あまりしゃべらなくな

った。

 高校生に上がったころに菜月の方から喋りかけてきた。そこから、出かけた

りすることも多かったが、やはり喧嘩することも多かったが、とても仲が良い

 

 「その結果が、菜月とお見合いかよ......意味分かんねぇな」


 改めて状況を再確認して、浩人はもう何度目になるかわからないため息をつ

いた。それは向こうも同じだ。


 それに感づいて、

 

 「あら、お二人とも知り合いなの?」




 彼のお母さんがそう言った。

 そして、彼の親と、彼女の親が分かったように頷て彼のお母さんがこう言

った。


 「じゃあ、あとは若いお二人にお任せします」

 

 と言って部屋から出ていった

 ただただ、気まずい空気が流れるだけだった。

そして、彼と彼女が思った事は



 ――なんでお前なんだよ



 と二人は心の中でそう思った。

 そして、彼が口を開いてこう言った。



 「まぁ親同士が決めた事だし改めて仲良くやっていこうぜ。あまり親を困

らせたくないし」


「そうね。私とあなたの親は会社の知り合いで、最近結婚とかする気配とかが

ないからそいうことになるのはわかるけど、あまりこいうのはしたくなかった

けど、親が決めた事なら私はそれに従うわ」


とだけ彼女は言った。聞く限りだとあまり乗り気ではないらしい。


 ――親が決めたからしょうがなく結婚してあげると彼女は言っていた。


 勿論彼も同じだ。あまり親同士が決めた結婚は勝手すぎるけど、親が困る顔

を見たくないし、彼は彼女のことが好きではないけど結婚をしたら、親も安心

できるのではないかと彼は思っていた。


 彼女達は、絶対に同棲をすると聞いており、その生活での決まり事を今決め

る事にした。



 「じゃあ、一緒に住むならあったてのルールを決めましょう。


 その一 寝る部屋は別々


 その二 食器洗いは自分のだけをする事


 その三 親に怪しまれないようにデートは必ず一週間に一回は行う


 その四 ゴミ捨ては交代制で行う

 で良いかしら?」


 「あー。それで、良い」


 と二人は同棲にあたってのルールを決めた。

 まだ夫婦同士と決まってはないが、どこか違和感が少しあったのを二人は感

じていた。


 その違和感というのはやはり、”政略結婚“というのが二人は少し違和感を抱

いていた。


 まぁ、二人はこれからも支え合って生活していく――、

 とは思えない。なにせ、二人はお互いの事を好んでいないのでそもそも、支

え合って生活をしていくのは当分ないように感じる。




 少し例え話をさせてもらおう


 仮に浩人が、


 『俺と菜月もしかしたら気が合うのでは?』

 と聞いたとしよう。

 多分菜月は


 『そんな事は絶対にない。何考えてるの、気持ち悪い』

 と言うだろう。

 

 そして、二人は紆余曲折ありながら生活をしていくと思う。




 ――なんで、俺はこいつと結婚なんかしないといけないんだ



 ――なんで、私がこいつなんかと結婚なんかしないといけないのよ




 そいう感情を抱きながら生活をしていくと思う。


 この関係がいつまで続くのかはもしかしたら四年後かもしれない。いや、もっ

と先になるかもしれない。


 でも、いずれかはお互い受け入れる時がくるかもしれない。



そう思っていた。


 


 結婚生活1日目


 ハプニングなんて起こるのはと思っていた二人だが、そんなこともなく、とて

もスムーズに生活をしていた。

 それぞれ予定もあるので、別行動をしていたからなのかもしれない。


 浩人は、あいう性格だが実はオタクなのである。

 今日彼は、推しの、藤宮あやねのワンマンライブがありそれに行っている。


 「あやねちゃーーーん。今日も可愛い!!!」

 そんなことをいいながらライブを楽しんでいる


 一方、菜月の方は、家で寝ている。特にすることもないし、家の掃除も終わって

いたし、浩人もいないのでこれといってすることがないもないので、寝ている。

 そんな彼女は、浩人をあまり好きではないが、実は少し前から――

 

 「お前、俺の事好きだろ」

 「・・・・・」


 図星だった。え、菜月が俺のことが好き?絶対にありえないと思っていたけどま

じか。冗談で聞いただけなのに。


 「そうよ。もともとあんたのことは前から良いなと思っていたよ。最初は同棲と

か結婚とになってとても嬉しかった――。そいうあんたも私の事をどう思ってるの

よ。」


 俺は――


 「俺も、菜月の事を前から好きだった。でも、嫌われてると思っていたから少し

話を合わせて嫌い風なことを言ってしまった。ごめん」


 「私の方こそごめん」

 

 「てか、俺たち両思いだったんだな。」

 

 そして、これからはお互いの気持ちを知った彼らは喧嘩をしたりすると思うけど

末永く幸せになることだろう――


 その時の俺はそう思っていた。

 

 やはり、人間関係が難しい。気持ちを知ったところで、なんも変わらないんだな

と思った。なぜなら、


 「お互い好きになったところで、ルールは変えるつもりはないから」


 そんな言葉を聞いて俺は、やはりまだ心のどこかで、許せない部分があるのでは

ないかと考えていた。

 考えても結局この日は答えがでなかった。同棲一日目は、喧嘩はしなかったもの

の、前進はしそうになったが、しなかった。

 いつか心が許される日が来るのではないのかとこの日の俺はそう思ってた。


 でも、そうはいかなかった。

 一週間が過ぎてもなんも前進しなかった。やはり、俺のことが嫌いなのかとも思

ったが多分違う。

 理由は、俺の事が好きだからだと思った。

 聞くしかないと思ったが、俺は陰キャなので、自分から話しかける勇気がなかっ

た。

 そして俺は、勇気を出して聞いてみることにした。

 そしたらこんなことをいってきた。


 「私は、あなたにまだ許していないことが一つだけあるの。でも、これがあるか

らと言って、嫌いにはならないけど、やっぱりどうしても私の中では許せないこと

だった。浩人は覚えていないらしいけど」


 俺は、菜月にどんなことをしたんだ。まじで記憶がない。


 浩人は自分で必死に考えていたが、やはり思いつかない。多分どんなに考えても

思い出せないのだと思った。

 これからの同棲生活はこれよりもっと頭を悩ませる出来事が起きたことをこの日

の浩人は思ってもいなかった。

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