十話 『イベント』
段々と肌寒く感じてしまう季節となってきた。
とある日に、菜月から「遊園地にいかない?」と誘われた。行き先は伝えられてないが、日にちでなんとなくイベントがあるから行きたいんだろうなと思った。
10月31日
世間的にはハロウィンと呼ばれている日であり、その日は決まってなにか特別な催しが行われている。
それに興味を持ったのか、あるいはただ単にハロウィン関係なしに行きたかっただけなのか、どちらかはわからないが多分前者の方だろうと思う。
わざわざ、ハロウィンの日に誘ってきたのでそいうことだと思った。
そんな事を思っているとあっという間に時間が過ぎていった。
「浩人、準備終わった?」
「もうちょっと待って」
それから、俺は準備を終えて遊園地へと向かった。
遊園地についてから、まずはジェットコースターに乗った。
俺はあまり昔からジェットコースターはあまり得意な方ではなかった。
だというのに、菜月は何周も何周もジェットコースターに乗るものだから、俺は思わず吐きそうになったがなんとかこらえた。
それから、菜月がお化け屋敷に入りたい。と言ってきた。菜月は怖いのが苦手なのに、なぜ行きたいのか問うたところ、菜月は、
「このお化け屋敷は、怖そうな雰囲気を出しているけど、実際怖くないってネットに書いてあった。」
ネットを鵜呑みにしてはいけないのでは?とも思ったが、あえて口には出さなかった。
結局、お化け屋敷に入ったが、それからは散々だった。
まず、菜月はめちゃくちゃ喚き散らかしていた。俺に抱きついてきて色々当たっていた。まあ、それはそれで悪い気もしなかったが。
それでも、怖くないなんて、全くもって嘘のように思えた。
だって、クオリティが高すぎるんだもん。衣装もそうだが、なにより化粧などの方がより、リアリティ感を演出しているようにも思えた。
そしてようやくお化け屋敷から脱出した。
なんとも、複雑な気持ちだったが、とりあえずネットの情報はあまり信じない方が良いことだけは分かった。これは、あくまで個人的な感想だが、あまり、こいう露店系のものに限ってはネットの情報だけで判断しない方がいいと俺は思った。
それから、少しお昼が食べたいと菜月が言ったので、フードコートのところに入った。
思った以上に広かった。店は、うどん、ラーメン、ハンバーガー、定食、肉物などどれも定番のものだが、チェーン店が一つもなかった。こいうところは、チェーン店が一つくらいあるものだと思っていたが、普段のフードコートとは似ても似つかないほど想像以上だった。
空いてる席を見つけて、そこに荷物を置き、俺は定食を、菜月は肉物をそれぞれ、注文しにいった。
俺が選んだ定食は、唐揚げの定食だ。唐揚げを食べることによって、ここの店の美味しさがだいたいわかる物だと俺は勝手に思っている。
菜月は何を選んだのだろうか。
―――おまたせ。
そう言って菜月が手に持っていたのは、想像を絶するような物だった。
まず、肉がとてもでかい。本当にこんなの一人で食べれるのだろうか。
それと、ご飯が大盛りだった。こんなのを一人で全部食えるのだろうか。
俺のと比較すると、なんか俺の方がしょぼく感じてしまわないだろうか、否、しょぼくはない。そこは断言しよう。
「んー。おいしい。この肉めっちゃ、ジャージで美味しい!――浩人も食べる?」
菜月にそう言われたが、こんなのを食べてしまっては、唐揚げと菜月が食べている肉を比較してしまうのではないのか。だから、俺は――
「食べる。」
そう言って菜月から肉を渡され食べた。
うん。とても美味だった。このブワッと肉汁が口の中に広がる感じがとてもよかった。
それから、俺は自分が頼んだ物を食べた。さっきの肉には劣ってしまうが、この唐揚げも中々のジューシーさで美味しかった。
全然この唐揚げも肉に負けていないようにも思えた。
ようやく、俺たちは食べ終わりフードコートを出た。
フードコートを出たあたりから、なにやら賑やかな声があちらこちらから聞こえて来る。
「えー。みなさん、こんにちは。今日はハロウィンということで、特別な催しを開催したいと思います!」
そんな声が遊園地中に響き渡っていた。俺たちは少し興味が湧いてきて、声がする方へと向かった。
「その、特別な催しの内容は、スバリ、記念です。どいうことかと言いますと、最近普通のハロウィンのイベントだとつまんないと思うので、このイベントで、記念というよりも、脳裏に焼き付けるようなそいうイベントを行おうと思います。」
この園のスタッフがそんな事を言っていた。じゃあ、記念でもなんでもないじゃんと思ったが、もしかすると、脳裏に焼き付けられるような特別な記念になるということなのかもしれない。つまり、忘れられない記念日にすると言っているということかもしれない。
でも、まさか本当に脳裏に焼き付けられた。
――「はい、それでは初めて行きます。じゃあ、そこの二人ステージに上がってきてください。」
スタッフが呼んだ二人は俺たちだった。
そして、俺たちはステージへと登った。
「では、お二人の…」
そう言った直後、奥の方から爆発音がした。
煙も上がっていた。
でも、みんなこれも何かの演出だと思っていたのだろう。
でも、違った。これは、俺たちがまんまとはめられていたのだ。なぜなら、特別な催しとは、つい先ほどやっていたのだ。
俺はそれを知っていたが、その延長線上だと思い込んでいた。でも、やはり違っていた。スタッフだとしても、明らかにおかしかった。どこがおかしいかというと、格好だ。
ここの遊園地のスタッフはみんな、なにかしら、
ハロウィンのコスプレをしていた。
だが、この俺たちの横にいる人は違っていた。
上下黒く、あたかも犯人出すみたいな格好をしていた。でも、こいうコスプレをハロウィンの時にしている人を少なからずいたのを俺は覚えていた。
でも、この人はコスプレではなく、本当に犯罪者だったなんて、ステージを上がる前の俺たちはわからなかった。
「みなさん。先ほどの爆発は、私たちがとある、遊園地の施設を爆破させました。あなたたちなら、見えるでしょ。あの赤く輝く炎を。」
そこで、ここにいる人たちは何かがおかしいと気付いた人もいたが、これも何かの演技だと思っている人も何人かいたように思えた。
「はい。お気づきの方もいらっしゃる通り、この遊園地に爆弾を仕掛けたのは私です。ですが、ただ、爆破をしただけだと面白みも無いので、みなさんと一緒に爆発させる様を見れば少しは楽しいのではないのかと。
―――では、聞いていきましょう。お二人さんはこの光景を見てどう思いますか?」
この光景をみてどう思うかはみんなだいたい一緒だろう。でも、菜月は少し考えが違っていた。
「私は、この光景は見て、腹が立った。なんでそう思ったかは、わからないけど、そいう設定にして、私たちを楽しませてくれるそいうイベントだって最初は思った。でも、貴方はこれを犯行として及んだ。私はその、今のあなたの発言と、その光景にすこし腹が立った。だから、この光景事態ではなく、あなた自身の光景に腹が立ったってことよ。」
菜月は違う視点で語ってきた。
でも、その人は何も答えようとはしなかった。
菜月がそう言った直後に、警察が来てその人を取り押さえ、一緒に連行されて行った。
爆発した所は、なんとか延焼ぜずに消し止められた。
爆発した所は、休止中であったため、人がいなく、怪我などをした人たちはいなかったとのこと。
それから、遊園地のスタッフが「この度はこのような事が起きてしまい誠に申し訳ございません。」と言って、そこにいた人たち全員にハロウィンのお菓子をお詫びとして配った。
「なんか、すごい大変な一日だったね。」
「あぁ。でも、それを除けば楽しい一日だったんじゃないか」
「それもそうね。」
それから、俺たちは今日あった事を振り返りながら、家へと歩いて行った。
これは、後から聞いた話だが、爆破した犯人は、元遊園地のスタッフだったそうだ。
だから、閉鎖された所の鍵を開けられたのだとか。
でも、本当に開けたのはその人なのだろうか。もしかしたら、違う人が関与している可能性もある。
それは、本当にそうなのかはまだわからない。
こんにちは。坂口あーすです。幼馴染と結婚することになったを読んでくださりありがとうございます。
前回のあとがき、誤字多くて申し訳ないです。直そうと思いましたが、本文の誤字を直してたせいかすっかり、直すのを忘れてしまいました。とりあえず、誤字ったままのあとがきにすることにしました。なぜかというと、そっちの方が面白そうだったからです。(いつも、面白そうで、完結しているなこいつ、と思っている人もいると思いますが、その感情しか出てこなかったもので...)
少し余談が含みましたが、今回、初めて事件性が含まれる物語を書きました。
ですので、所々違和感があると思います。それでも、なんとなく話の内容を掴んでいってもらえると嬉しいです。
今回は裏話とかは、特にないです。でも、字数がどの物語よりも多く書いたのが裏話かもしれません。
それはさておき、この物語はまだまだ続きます。これから、二人の進展にご期待下さい。
次回は、番外編を書こうと思います。『もし、菜月が義妹だったら』というタイトルにしました。理由は私情が挟んで申し訳ないのですが、こいう世界線があったら面白そうだなと思ったので、こいうタイトルにしました。
人によっては面白くない物語かもしれませんが、それでも是非読んでいただけたら、幸いです。
今回は以上です。
ここまで読んでくださってありがとうござました。