表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/79

第1話 激ムズ乙女ゲームと背負い投げ

オリジナルの長編小説は初めてですが、見ていただけると嬉しいです!

「……またバッドエンド~」


 このゲームを買って、早一か月。

 土日プレイだからやり込んでるとは言えないが、50回はプレイしていて、その全てがバッドエンド。


 本当にこの乙女ゲーム……闇と光が交わる時の中で、通称『ヤミヒカ』は、グッドエンドなんて存在するのだろうか。


「ファンタジー系の世界観も好きだし、前評判も良かったから買ってみたけど、まさか、ここまで激ムズとは……」


 おそらく、選択肢一つ間違えただけでバッドエンド直行なのだろう。


 どのルートに行こうが、ロードして直前選択肢を変えようが、私の操るヒロイン……勇者ちゃんは、魔王となった悪役令嬢の専用魔法、アポカリプスによって倒される。


「……ゲームは面白いんだけどな。アポカリプスもアニメシーンで見せてくれてかっこいいし、どのルートのストーリーも面白いし」


 悔しい気持ちをぶつけるかのように、ベッドにダイブしてみる。

 そう。ゲームは最高に面白いのだ。


 特に、勇者ちゃんのパーティーメンバーでありながら、実は敵だった男騎士ルートは面白かった。


 いわゆる敵側の事情を明かすルートで、ラスボスである悪役令嬢キャラの掘り下げもされるのだが、その目的には驚いた。


「乙女ゲーあるあるの、王子キャラ取られた腹いせに、魔王の力で勇者ちゃん排除ー!  ……とかじゃなくて、手に入れた魔王の力で世界を変えたい、だもんな~」


『ヤミヒカ』の悪役令嬢キャラは、魔王の力を手に入れて勇者ちゃんの前に立ちふさがるという、典型的な対立系悪役令嬢ムーブをする。


 だが、この悪役令嬢キャラが他の乙女ゲームと違うのは、その境遇だろう。

『ヤミヒカ』の世界は、魔力絶対主義の世界。


 魔力を持つ者だけが上を目指すことができるこの世界で、悪役令嬢は魔力を持たずに生まれてきた。


 天才的才能で、騎士団長を剣術で圧倒しても、その知識で公爵家の領土を発展させても言われる言葉はただ一つ。


『魔抜け』……代々魔力持ちの公爵家に生まれながら魔力が抜けている、公爵家の面汚しである間抜け、この二つの意味が込められている。


 そんな地獄の日々を送る悪役令嬢の元に、実は魔王崇拝者である男騎士が現われ、悪役令嬢は、自分が魔王の器となれることを知り、魔法至上主義の象徴である王城と王政の破壊のために暗躍するのであった。


「……そんなのもう、悪役令嬢じゃなくてダークヒーローだよ」


 普通に考えたら、やってることはメチャクチャだと思う。


 力で世界を変えようとしてるわけだし、心を魔王に渡す気はないとか言いつつ、魔王が活性化した瞬間に即落ち&くっころからの、世界滅亡アポカリプスだ。


「でも、かっこいいんだよね……本当に好きなキャラだな」


 自分の信念でしっかりと行動している姿は、いつも周りに流されてばかりの私からすれば、とってもかっこよく見えた。


「私もこんな風になれたらな……」


 何かをしたいとか、変えたいとか思うだけじゃなくて、行動できるようになりたい。

 私だって、私だって……


「……こんな世界を変えたい!」


 ――ゴゴゴゴゴ!


「えっ!? じ、地震!?」


 急な地震に驚いて、布団に潜り込む。

 親が見たら、情けないと言う光景かもしれないが、怖いものは怖い!


 ――ゴゴゴゴゴゴゴゴ!


 地震はさらに強くなり、世界そのものが揺れているようにすら感じる。


 今から机の下に逃げ込んだり、いっそ避難した方がいいのかもしれないけど、こんな状況で動けるわけがない。


(うう……もう、現実逃避してやるぅ……)


 思いっきり目をつぶって、耳をふさぐ。


 このまま眠ってしまえば、起きたら地震も収まっているというわけだ。


 問題点があるとしたら、周りの状況がまったく分からないせいで怖くて眠れないので、実行することができないこと!


(何か気持ちを紛らわすもの……あ、そうだ! 『ヤミヒカ』のことを考えよう!)


 印象が強かったのは……やっぱり、男騎士ルートの、魔王の器である悪役令嬢に、魔王を宿らせる儀式のシーン。


 悪役令嬢と男騎士のやり取りが、ダークヒーロー達の会話みたいで、かっこいいのだ!


 目をつぶり、脳内であのシーンを再生する。


「――儀式は順調だね。封印から解き放たれた魔王の力が、君に宿っていくのを感じるよ」


 男騎士の顔と、声優さんのボイスを脳内再生……我ながら、完璧な妄想力だ。


「どうかしたのかい? まさか今更、魔王の器になるのが怖くなったとか言わないでくれよ?」


 ついに私の妄想力は、臨場感、息遣いまで感じるようになったようだ。


 明日はちょっと、自分へのご褒美を考えよう。


「……本当にどうかしたのかい? 君がそんな顔をしていると、儀式が無事に進んでいるのか心配になる」


 近づいてくる男騎士……いや、近すぎっ!


 さらに私の顎に手を持っていき、クイっとこちらに顔を向けさせるイケメンムーブ……いやだから、近すぎっ!


(あれ? ていうか、ここってこんなシーンだったっけ?)


 私の妄想力は、ついに新たなシーンを創造できるレベルになったのだろうか……いや、本当に近い!


「もしかして、恥ずかしいのかい? たしかに、貴族の君に今の状況は、耐えられないかもしれないね」


 耐えられない……? そういえば、このシーンの悪役令嬢ってどうなってたのだろうか?


(あ、顔を動かせばいいのか。ちょっと横を向いたり……おお、見える)


 どうやら、私の妄想力はVR対応しているようだ。是非ともゲーム本編にも実装してほしい。


(たしかここって、王国士官学校の地下にある隠し部屋だよね)


 王国士官学校は実は元魔王城なので、悪者っぽいデザインではあるが、いわゆるファンタジー的な部屋。


 妄想VR画像の鮮明さに驚くが、どこか違和感がある。

 それは、やたら視界に映る肌色だ。


「僕は君を、女性として見ていない。だから君も、僕を男として見ず、今の状況を気にしないでほしいな」


 相変わらず、男騎士がなんかかっこよさげな厨二系セリフ言っているが、今はそれよりも、画面の肌色比率がおかしいことことしか考えられない。


 そして、もう一つの違和感……それは、肌で空気を感じるというか、やたら解放感を感じるということだ。


(まさか……まさか……)


 ……本当は自分の状況を、なんとなく察している。

 だが認めたくない、そんな現実逃避に近い思考を巡らていると……


「――男の前で、全裸になっていることなんて」


 男騎士が、無慈悲な現実を叩きつけてきた。


 ――全裸。

 何も着ていない状態。

 着替え、お風呂に入るときなどになる状態のこと。


「……気にしないわけないですよ! この変態~!」


 ――柔道金メダリストの親直伝の、背負い投げを使わざるえない。


「えっ……なっ!?」


 ズガァアァン! という轟音がなり、足元にあった儀式の魔法陣……というより、地下の地表を砕き、衝撃が大地を揺らす。


「なんですか! なんなんですか! いくらあなたが、乙女ゲームの登場人物とは思えないやりたい放題キャラでも、女の子を全裸にするとかないでしょ! ヤミヒカは全年齢対象! エッチなのはいけないと思います! こんなシーンの脳内再生はもう終了です! 落ち着け、私のピンク脳! 沈まれ! 私の暴走する……妄想……」


 崩壊寸前の地下室の中心で叫びながら、徐々に自分の置かれている状況を理解していく。


 男騎士をつかんだ感触、目の前で文字通り地面に突き刺さっている男騎士、男騎士の巻き添えで粉々になったと思われる、儀式で使われていたっぽい道具の残骸。


「……あれ?」


 そして私は、あることに気付く。

 地面に大量にぶちまけられている、鏡の破片に自分の姿が映っていることに。


「…………あれあれ?」


 鏡に映るのは見慣れない体つき。

 目に映る手の平には、柔道の練習で付いたタコがない指と、柔道では絶対NGの奇麗に整えられた長い爪。

 肩にかかる、一度は憧れ、そのハードルの高さから諦める金色の髪。


「………………これって、悪役令嬢のレムリア?」


 ――普通の女子高生である私、『姫野葵』が、闇と光が交わる時での悪役令嬢、『レムリア・ルーゼンシュタイン』になっていた。

ちょっと内容を調整しました。

もっと短くかけるようになりたいなぁ(´;ω;`)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ