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ラスボスたちの隠し仔 ~魔王城に転生した元社畜プログラマーは自由気ままに『魔導言語《マジックコード》』を開発する~  作者: 熊乃げん骨
第二章 魔鉄鉱を求めて

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第4話 ズブト村

「ここがズブト村かあ」


 ズブト村は百人に満たないゴブリンが住む、のどかな村だった。

 他所から人が来るのが珍しいのか、村のゴブリンたちは俺たちのことをじろじろと見てきた。


「私は宿で手続きをしてきますが、アル様はどうなさいますか?」

「ん? そうだな……折角だし色々と村を探索してみるよ」


 明日は魔鉄鉱探しで忙しくなるだろうからな。探索するなら今日しかない。

 シルヴィアは少し迷いながらも、それを承諾してくれる。


「……分かりました。ただ他の方に迷惑かけないで下さいね」

「分かってるよ。無茶する時は一言いうって約束したからね」


 そう言って俺はシルヴィアと別れた。


「……とは言ってもそんなに見て回るところはなさそうだな」


 村の中には木組の家が数十軒あるけど、ほとんどが民家だ。

 まあ外から人も来ないし、店はそんなに必要ないんだろうな。


 俺は村を一通り見て周り、いくつか見つけた店の中で一番大きくて品揃えの良さそうな店に入った。


「いらっしゃい。……おや、魔族のお客さんとは珍しい」

「どーも」


 ゴブリンの店主に会釈し店の中に入る。ゴブリンの性別は分かりづらいが、声が若干高めだったので女性だと推測する。合ってるよな?


「いったい何を探してるんだい? おばちゃんに言ってみな」


 良かった、合ってた。


「うーん。特に欲しい物があるわけじゃないんだよね。何か面白い物ないかなーって」

「面白い物ねえ。この村には特にこれといった名産品もないのよねえ。昔は鉱山の町として賑わってたみたいだけど」


 お、この話は興味があるぞ。詳しく聞いてみよう。


「それってビキニール山脈で採れた魔鉄鉱のこと? 詳しく聞かせてよ!」

「あら、小ちゃいのに博識ねえ。いいわ、私の知ってることなら教えてあげる」


 そう言ってゴブリンのおばちゃんは椅子と飴を用意してくれ、俺に色々な話をしてくれた。

 ゴブリンたちは鉱夫としてここにやって来たこと。

 魔鉄鉱が採れなくなってもこの地を気に入り、他の種族が撤退する中この地に残ったこと。

 最近地震のせいで山に大きな切れ目が出来たことなど、かなりたくさんのことを教えてくれた。


 怖い見かけをしてるけど、ゴブリンは意外と親切な種族みたいだ。色々と印象が変わったな。


「ありがとうおばちゃん。お礼に何か買ってくよ」

「いいんだよ子どもがそんなに気を遣わなくても。それより山にいくなら気をつけるんだよ。あそこには強めの魔獣が現れることがあるからね」

「分かった! ありがとね!」


 礼を言い店を出る。

 しかし次は何をしようか。この店にたいした物が無いんじゃ、他の店にもないだろうなあ。

 畑を見ても仕方ないし、森に戻って何か探すか?


 ……などと考えながら歩いていると、不思議な音が聞こえてくる。


「ん?」


 カン! カン! という硬い物同士がぶつかり合う音だ。

 いったい何の音なんだろうとそちらに足を運ぶ。


「これは……」


 そこにいたのは、赤く熱された鉄を金槌で叩くゴブリンの姿だった。

 金槌を叩き下ろすたび、熱された鉄の形が変わり、徐々に刃物の形になっていく。まさかこの村に鍛治士がいたなんて!


「じー……」

「おわぁ! な、なんだお前!」


 つい近くで見入っていたら驚かれてしまった。

 鍛治をやっていたゴブリンはさっき会った道具屋のおばちゃんより小さい。まだ子どもなんだろうか、顔もどことなく幼い。


「ああ。俺のことは気にしないでやってくれ。見てるから」

「見てるから……って答えになってないよ! 君、村の者じゃないよね?」

「あー……俺のことは気にしないでくれ。ただの旅行者だから。それよりさっきの鍛治やつ見せてくれよ」

「気にすんなって言われても……」


 ゴブリンは少し悩んだ後、作業に戻る。

 どうやら俺に話が通じないことを察してくれたらしい。助かる。


「い――――よいしょっ!」


 思い切り金槌を振り下ろし鉄を叩くたび、青白い火花が散る。そしてその度熱された鉄の形が変わっていくのだが、少し様子が変だ。

 ゴブリンは鉄の真ん中だけを叩いているのに、鉄の形が段々刃物の形にに変わっているのだ。なんで同じ所を叩いてるのにこんな形になるんだ?


「……面白い」


 興味深く観察する。

 材料の鉄からは何も感じないけど、あいつの持ってる金槌から魔力を感じるな。


 魔力を使って何かを起こす。

 これはれっきとした『魔法』だ。


 知りたい。知らない魔法は全部知りたい!

 俺はその未知の魔法に強烈に惹かれるのだった。

「面白い!」「続きが読みたい!」と思っていただけたら


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