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2-33 そよ風のごとく気にすることは

‥‥‥わいわいがやがやと騒いでいる人が多いして、寮の大型掲示板前。


 いつも多種多様なお知らせが張り出されていることが多いのだが、本日の内容は一味違っていた。



「ショコラリア王国、ヘルン王国、ベルバラン王国の3ヵ国が、帝国に宣戦布告か…‥」

「連合を組んで、わざわざ同時に送ってきたようだぜ」

「帝国の方では上層部がすぐに動き、軍を素早く動かしているそうだ」


 生徒たちがそう口々に話している中、僕らもその知らせを見たが‥‥‥どうやら戦争が始まるらしい。


 エルスタン帝国に対し本日未明に皇帝陛下の元へ、その3ヵ国わざわざ丁寧に書簡にて宣戦布告してきたらしい。


 その知らせはすぐに帝国中を駆け巡ったらしく、国の上層部はすぐに軍を派遣することに決定しており、真正面から受けるようだ。


 一応、エルスタン帝国は平和な国とは言え、軍事面は強いそうで、敗れることはそうそうないらしい。


 いくら平和であろうとも、平和ボケをし過ぎたがゆえに滅びた国々を長い歴史で知っており、その教訓を活かして軍の人達は常日頃研鑽を続けているそうだ。


 ダンジョンなどもあるのでそこでモンスターを相手に戦いつつ、人相手にも対応可能なように様々な戦況を想定した訓練も行い、ぼけてなどいない。


 そのおかげで、歴史上で他の国々の宣戦布告を受けたことがあっても、全てを圧倒的な軍事力によって返り討ちにしているそうなのだ。


 けれども、万が一に備えて避難方法なども出されているようで、どこにどう向かって逃げれば良いのかという避難経路なども掲載されていた。


 負けることが無いだろうと思っていても、何があるのかわからないのが戦争であり、だからこそ対策を事前に取る事で、被害も確実に減らすようだ。


‥‥‥この世界の戦争って、前世とは違う点があるけど、大勢の命が失われかねないのは間違いないようだけどね。なんでそんなに争いごとをふっかけるような人がいるのかよく分からない。



「そもそも、帝国に喧嘩を売ること自体が間違っているような気がするけど…‥‥3ヵ国で組むことで、対抗しようとしているのかな?」


 それでどうにかなるのであれば、他の国々がやっていてもおかしくはないが‥‥‥まぁ、そんな事を僕らが考えていても仕方がない。


 対応に当たるのは軍であり、学生に過ぎない僕らでは何もすることはないからね。


【キュルル‥‥‥戦争、ここに来ないのが良い。でも、来たら私が、アルス守るよ?】

「いや、ハクロが戦わなくても良いような…‥‥でもまぁ、その時が来たらよろしくね」

【キュル!】


 帝国の軍人力などを考慮するとこの帝都までやすやすと進軍されることは無いだろうし、そのような状況は来ないと思いたい。


 というか普通は、僕の方が守りたいのだが…‥‥悲しい事に、明確な強さの差があるからなぁ。盗賊団を殲滅した経歴を考えると、どう考えてもハクロの方が強いのである。


 まだ10歳という幼い身だし、薬の精製能力があっても戦い向きではないしね。後方支援役が僕に向いているか。


 そう思うと、ちょっと自分の方が弱いことに情けない気持ちもなんとか収まり、戦火がここまで飛び火しなければいいなぁとも考えるのであった。


【アルス、私が守る!万が一なら、抱えて、全速力、研究所辺りまですぐに行く!キュルルゥ!】

「何故研究所‥‥‥あ、でもそれはそれで正しい逃げ先か?」


…‥‥モンスター研究所って、以前の騒動以降さらに防災体制も向上させたそうで、避難先としては確かにうってつけなのかもしれない。ハクロってたまにこういう案も思いつくよね。


「でもそれだったら、王城の方が近いよね?あっちはあっちで、皇帝陛下たちを守らないといけないからなぁ」

【キュル、その方が良いかも】


 まぁ、そもそも帝都まで迫ってきているのであれば研究所のある都市アルバニアまでの道中も危険な可能性があるから選択肢としては王城の方が向いているだろう。












 とはいえ、流石に帝都まで戦火は及ばないだろうし、時間はかかれどもそのうち収まるだろうとアルスは思っていたが…‥‥その考えは甘かった。


 確かに、帝国の方が今回の宣戦布告してきた国々よりも圧倒的に強く、早めに終息する予測は当たっていただろう。何しろその国々がいくら組んだところで、帝国の軍事力は彼らを凌駕するのだから。


 それだけの力を持つからこそ、帝国は長年の平和を築き上げ、いざという時に戦えるからこそ他国から攻められにくいのである。


 だがしかし、その宣戦布告の動きがただの囮(・・・・)だとしたら、もっと違う目的を果たすために、あえて帝国の注意の目をそちらの方へ向けているだけだとしたら‥‥‥どうなのか?



 その回答に対する答えは今、戦争によって少し薄くなった警備の目をかいくぐって進む者たちが持っていた。


 間諜たちもハクロに対する動きは見ていたが、今は戦争が起きるという非常にゆえにそちらの方に目を向けるしかなく、その動きに対してはすぐに察知し損ねる。


 ファンクラブとして結成していても、所詮は各自違う主に仕えているにすぎず、戦争であればその主たちの目によって戦況などを調べさせられるのである。


 ゆえに、普段ならば分厚い警戒網も一部が薄くなってしまい‥‥‥そこを貫かれていく。


 いくら薄くなったとしてもそれなりにはあるのだが‥‥‥それらをかいくぐれるようなレベルの人達が動いているのだ。


 その事実に彼らが気が付いたのは、間近に迫った時であった…‥‥

遠いだからこそ、関係ないように思えてしまうことがある。

けれどもそれは油断にもつながってしまう。

いくら何でも、全てを完璧に防げるわけではないので…‥‥

次回に続く!!



…‥‥なんかハクロの方が活発になってきた気がするなぁ。主人公よりも主人公らしいヒロインとはこれいかに。

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