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7-8 一時期迷走して、なんか気が付いたらこうなっていた

誤字報告が多くて、確認作業。

仕事が忙しいけれども、そのような人たちでもやってくれていることに感謝です。

まぁ、一気に選択できてもちょっと考えたいので、休日にやるかな‥‥‥修正遅くてすいません。

…ばさぁっと音を立てながら大きな翼をもつ鳥が夜空を滑空し、領内の中央広場に作られた特設会場へ降り立つ。


【今宵、月明かりも晴れやかに輝き…‥‥その場に、皆が集う姿は毎年見て無事であることに安堵の息を吐こう。だからこそ、皆のその健康に祝い、今年の『月見祭り』の開催を宣言するのでごぜぇやぁぁぁす!!】

「「「「おおおおおお!!」」」」


ぱぁんぱぁんっと背後で軽く戦隊ものが参上する際に出す煙幕のようなものを起こし、高らかに宣言の声を上げた巨大怪鳥もといフックの言葉に、参加していた領民たちも歓喜の声を上げる。


「キュルル、なんか毎年凝った演出をしているかも」

「去年は確か、いとこたちと一緒に出現して宣言したんだっけ。誘ったとはいえ、毎年こうもやってくれるとは思わなかったが、良い開催をしてくれたな」


 領主としての出席をしつつ、盛り上がる様子に僕らはそうつぶやいた。


 とは言え、盛り上がる気分というのは理解できるものだ。なぜなら今宵は祭りであり、それを楽しむ人ばかりなのだから。


 



―――――

‥‥‥着任し、辺境伯として過ごしていた最初の時に、ちょっと考えていたとある事。


 それは、この領内に何か特徴が欲しいと思い、特産品や良い行事ができないかと模索していたのだ。


 出来るだけ領主としての責務も果たしつつも、何かこう、ハクロ以外にも特色が欲しいかもと思って東奔西走していた時があったが、何が良いのかわからなくて迷走していた。


 そんな中で、ふとハクロがつぶやいた言葉が、光をさしたのである。


「キュルル、何やっているの?アルス」

「ん?何かこう、良い特色をこの領地に作りたくてさ。特産品や行事などを考えているけれども、どれが良いのか悩んでいて‥‥‥ハクロは何か、良いアイディアが無いかな?」

「んー、特産品に、行事?みんなで楽しめそうで、幸せになれるようなもの?」

「そうそう」

「キュル‥‥‥だったら、あれはどうかな?お月見をこう、お祭りみたいにするの」

「お月見を?」


 時々夜中に月明かりに照らされてのデートをすることはあったが、それをお祭りみたいにして全員で楽しめないかという案。


 なぜ月をと思ったが、一応理由はあるらしい。


「挙式の時、親戚たち集まった。その時に、お月様に関してのお話を聞いたの」



 前に挙式を挙げた際に、招待されて集まってきた彼女の親戚といえるようなモンスターたち。


 種族は違えどもその祖先は同じような境遇であり、親戚と言って間違いないとは思うのだが、その集まりの中で彼女はとある話を聞いていた。


「前から、ずっと探していた、残りの話。それを全部そろえて‥‥‥お月様の秘密を知ったの」


 それは、繋げると浮かび上がる一つの物語。


 バラバラになって他の者たちとつなぎ合わせてようやく浮かび上がり、口伝ゆえに失われる部分もあったが、それでも補い、確認し合って完成した一つの話だった。


「‥‥‥『産まれよ、愛しの子たよ。光の星よ、闇夜の空よ。互いに力を合わせて、そろって夜空を作り上げ、全てを生み出し、そして滅せよ。悪しき者どのが地上に蔓延る前に、我々の過ちを繰り返さぬために、星々が降り注ぎ輝く夜空よ、星の明かりは滅亡と再生を繰り返す我が子であり、照らす大いなる月はその母であり、空は父である。失われたその力を再び天上へ戻し、母の光は子を導き、そして力を与え、輝かせよう。星の明かりは、モンスターの命の火。輝く火は地上に落ち、そしてまた空へ帰る。それは、我々の過ちを無くさないために』‥‥‥キュル、全部一気に言うの、結構大変」

「長いけれども…‥‥前に聞いたものにちょっと加わっているよね。コレ、もしかして警告文というか、結構重要な秘密の話だったりしない?」

「するかも。親戚たちとどう解釈すべきか議論して、結論付けたけれども‥‥‥この間、機械神代理神さんに、手っ取り早く答えを聞いちゃった」

「考える手間をふっ飛ばしたね」


 色々と考えて答えを導き出す前に、知っていそうな人から全部知ってしまうとはなんというズルなのか。


 いやまぁ、間違った回答も得たくはないのだが、それでも単純な回答を得ることが出来たらしい。


「ご先祖様、作られて生まれた。でも、その作られた中で、作った人たちやらかした‥‥‥本当は、平和を願っていた人もいたのだろうけれども、悪い方向に使った人がいた」


 以前にもその研究に関しての日記を呼んだことがあったが、元々彼女の祖先たちが作られたのは、戦争のための兵器化の目的であった。


 だがしかし、結果としては生み出した国そのものが滅びることになったのだが…‥‥その滅んだ国の中で、研究の責任者が残したのがこの話らしい。


「作れば作るほど、皆強すぎた、異常すぎた。だからこそ、責任者の人は研究を途中で止めようと動いたけれども‥‥‥上層部はむしろ、邪魔者扱いをした」


 戦争に使うための物をどんどん強めて何が悪いという事で、その人は追放処分のような形を受けそうになったが、密かに隠れ住んでおり、国のためを思っていた研究をこっそりと捻じ曲げ、滅亡するようにしたそうだ。


 何故、そのように動いたのかと言えば追放処分を恨んで‥‥‥ではなく、その研究が起こす非常に危険な可能性を危惧して、ここで止めなければいけないと思ったようだ。


 だからこそ、研究を密かに捻じ曲げて生み出し続ける事で、最終的には国を滅ぼし…‥利用しようとする悪しき者たちを潰したようである。


「けれども、作られた存在、消すのは容易ではなかった。その命は、輝き続け、生き続けた」


 一度生み出した存在は、消し去ることができなかった。


 どれだけ暴れて命を消耗しようが、どんどん回復してしまい、この世から解放されることは無かった。


 だが、放置するわけにもいかず、どうしたものかと考えて‥‥‥ふと、空を見上げた時に天啓を得たそうなのである。


「お空のお月さま‥‥‥それその物になって、あの夜空に皆を浮かべることにしたの。地上にいたら、誰も彼もが永遠に命を奪い続け、暴れてしまうから」


 どのような手段をもって、成しとげたのかまでは分からない。


 けれどもその研究者は生み出した責任を最後まで果たすために、自らのみを犠牲にしてあのお月様に楔をうがち、夜空に作られた命を引き連れ、地上に平穏をもたらしたそうだ。


‥‥‥けれども、いずれはまた同じような過ちを犯す馬鹿者が出るのが目に見えている。


 だからこそ、その馬鹿が出る前に星々となった生命を再び地上へ降ろし、潰した後に戻すようにしたそうなのだ。


 馬鹿が出る前に潰し、潰した後は世を謳歌させて満足させ、少しでも続く命がいつか消えるように願いながら…‥‥


 だからこそ、あの星々はモンスターたちの命の輝きでもあり、時々どこかで生まれているのは、その星が落されたというのが理由だったようだ。


「‥‥‥要は、作った命を何度も使って開放するために、ずっと夜空に浮かぶ月になったやつの話ってことか」


 それを何故、ハクロの祖先や親戚たちが語り継いだのかという疑問はあったが‥‥‥おそらくは、その研究者の手によって難を逃れたか、あるいは助けられたことがあるものたちで、その功績を語り継ぐために作ったのかもしれない。


 何も思われずに、ただ孤独に命を落とす者へのせめてもの恩として。

 

 そして、その者がいつか解放されるように、忘れないようにという思いを込めて。



「キュル、私のように、月の光で変わる者はお月様になったその人が、願いを叶えているって。生み出した者の解放を願いつつ、その望みをかなえて少しでも生きている間を謳歌できるように…‥‥」


 何度も繰り返すかもしれないが、だからこそその生きている時に出来る限りの幸せを注いであげたい。


 その想いもあって、月は夜空で輝き続け、力を与えてくれるそうだ。


「でも、貰ってばかりなの、ちょっと申しわけない。私、アルスと一つになれて幸せになっているからこそ…‥一番頑張っているお月様へ、感謝をしたいの」

「それで、お月見をお祭り化か‥‥‥見ているだけで楽しそうなら、喜びそうだからか。うん、だったらそれでやってみようかな?」


 そう言う話があるのであれば、月へ向けての盛大なお祭りをやったほうが良いのかもしれない。


 やらかしたことへの贖罪ともいえる月になった者へ、少しは救われるように動いても文句は出ないだろうからね。


―――――



‥‥‥そのような経緯を経て、計画を練りつつ、だったらその話を語り辻ているやつらも参加したらどうだという事で、一番身近にいたフックから話を広げてもらったのだが…‥‥


「でも、盛大になったというか、特徴あり過ぎるかも。何処を向いても凄い光景が広がるのもやり過ぎたかもしれない」

「皆、人里に近づかないけど、こういう時はノリノリだった‥‥‥親戚たち、皆違うように思えて、根っこの楽しみたい部分が同じだったというのは面白いかも、キュル」


 うん、これ開催してすぐにその問題点が発覚したが、一応毎年続いているので問題はないはずである。


 そう、例え大きな竜が舞い踊っていたり、輝く鳥が清らかな歌をさえずっていたり、どこかで見たことのあるようなメイドたちが自警団を組んで見回りと称しつつ遊んで回っていたりする光景は、何も問題が無いのだ。


 いやまぁ、誰も彼も一国をどうにかできそうな面子なのは分かっているけれどね。暗黙の了解で誰もツッコミを入れないというか、祭りの楽しみは共有して皆で遊び惚ければ良いと思えばいいだけの話だ。



「ぱぱー!!ままー!!早く早く!!」

「あっちのほうで、今日の目玉の花火、始まるよー!!」


 ジークとローズがそれぞれ、ようやく育ってきた幼い弟や妹を引き連れて呼んできたところで、僕らは考えるのをやめて楽しむことにした。


 今日はこの領内での、お月様と一緒に楽しむ盛大な祭りで、難しい事を考える必要もあるまい。


 そう思って、徹底的に今晩の祭りを家族一緒に楽しむのであった…‥‥



「そう言えば、宣言していたフックはどこ行った?」

「あっちで、最近出来た奥さんに引きずられていた。なんか出番を取っていたようで、滅茶苦茶怒られていたの」


‥‥‥哀れというか、何と言うか。というか、あの巨大怪鳥結婚していた事実は効いていなかったので、驚いておくほうが良いのだろうか?


 まぁ、気にせずに楽しむとしよう。ひなが生まれたら皆で見に行くのもいいかもしれないね。

いつの間にか出来上がっていた、月夜のお祭り。

そこは一晩、見ることが無い幻想的な光景になっているようだ。

その話しが広まっていき、帝国内で非常に有名なお祭りになったのは言うまでもない‥‥‥

次回に続く!!



‥‥‥あちこちで圧倒的な人外が多くても、皆お祭りを楽しむ仲間と考えれば同じようなものか。

休暇なども兼ねているのかなぁ‥‥‥

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