7-1 積み重ね、じっくり流れ
‥‥‥ハクロとの挙式も上げ、きちんと夫婦になった翌日。
昨晩はどこの誰が余計な入れ知恵をしたのか、ハクロが少々やらかしかけたが、それも無事に済んだ。
というか、何を隠れて教えていたのだろうかいい大人たちが…‥‥ハクロって純粋すぎて信じやすい部分があるからそこに付け込まないでほしい。危く色々な意味で死にかけた。薬を精製できるチートを活用したけれども、何か間違っている気がしなくもない‥‥‥
「でもまぁ、無事でよかったけれども…‥ハクロ、大丈夫?」
「あんまり、大丈夫じゃない‥‥‥色々と、悶え中、キュルルル‥‥‥」
ブシュウウッと湯気を出すかのように真っ赤になりつつ、枕に顔をうずめて昨晩を思い出し、羞恥心で悶えつつも疲れ果てて動けないのかどうにもなっていない様子である。
きちんと終えた後に教えつつ、ちょっと眠って頭が冷静になったようだが、その分昨晩の挙動がどのようなものだったのかよく振り返ることが出来てしまったようである。なんというか、お酒といいい何かでタガが外れた後にこうやって悶える様子も可愛いけれどね。深夜テンションと結婚できた嬉しさでちょっとハイになっていた代償が、これなのか。
というか、理解できているならもうちょっとどうにか抑えられたんじゃないのかとツッコミを入れたいけれども、この状況で入れたら100%悶え死ぬだろう。
‥‥‥何にしても、ハクロと正式な夫婦関係を成し得たのは事実である。
長い間一緒に過ごしてきたが、ようやく一歩関係が進んだような気がしなくもない…‥‥というか、昨晩の事があったけれども、よく今まで健全な関係でいられたことが驚きだと思いたい。
共に歩むだけの覚悟も持てたことだし‥‥‥そう考えると、今後も楽しみと言えば楽しみかな。
「にしても、動けないのは僕も一緒か…‥‥足腰が動かん…‥‥」
「キュルル‥‥‥悶え、直ったけれども、私も動けない‥‥‥」
教訓として、今後はやりすぎないようにしよう…‥‥互いに限界に気が付かないまま死んでいたら一生の恥どころか死んでも死にきれないことになる。
以降、そこからは挙式後に決定していた辺境伯へと爵位が上昇し、日々に忙しさが増した。
得られる領地の再確認作業や、領民からの意見の取入れや隣接する貴族家との付き合い、辺境伯ゆえに辺境の地を守るための私兵の育成などやることが多いのだ。
もちろん、こういう動きをすると良からぬ動きをしようと企む者も出てきて、悪意とかも学生時代以上に受けてくるので、精神的に大変な事も多いだろう。
「でも案外、そんなのは帝国内だと出ないよね。やっぱり、教育が行き届いているというか、帝国のやり方がそれだけ良いのかな?」
「それ、不思議かも。でも、そうかもしれないと思うよね。変な人、他国の人が多いもの」
「まぁ、辺境だからこそ目が届かないと考えるような奴もいるのかもしれないけれども‥‥‥こうやって見事に捕らえられている様を見ると、そうとしか思えなくなるよね」
本日は領内の端っこの部分で、見回り作業を行っていた。
領主だからと言って邸に留まるようなことは無く、自らの足を使って動き回っていたのだが…‥偶然にも悪党の群れを見つけてしまったのである。
一応、ハクロも一緒にいたとはいえ…‥‥
「領主様ー、こいつ等やはり他国から国際手配中の盗賊団です!!」
「そうか、なら引き渡すための準備を進めて欲しい。ああ、逃がさないようにしっかりと見張りつつ、疲れたら交代をしながら警戒を怠るな」
「「「はっ!!」」」
領内に新たに付けた自警団の者たちがそう返答し、しっかりとしかるべきところへ引き渡す手続きを始めていく。
何かと領内が広がると手が届きにくそうな部分も出るし、四六時中ハクロの人形を使っての警戒なども負担が大きいから作ってみたのだが、今回のような事態でもすぐに対応し、誰一人として欠けることなく捉えることが出来たのでかなり良いだろう。
まぁ、物凄く簡単に作ったのではなく、しっかりと面接・素行調査・試験など様々な過程を経ているのでそれなりに苦労はしたけれどね。信頼を得られるような人を探すのは結構大変なのだ。
それでも、この領内で働きたいという希望者は多いので、落ちたとしても向かう先を用意して出来る限り希望を叶えるようにはしている。
万が一にでもやらかせば、その時は終わるけどね‥‥‥‥ファンクラブの集団が一斉にその役目をやらせてほしいという土下座がハクロがいない時にあったのは驚愕させられたが、うまくいっているのだから良いとしようか。
「あとは、他に隠れていないかも見たいし…‥‥ハクロ、飛ぼうか」
「キュル!分かった!」
ぶわっと翼を広げるハクロに続けて、僕も変身薬で鳥になり、共に大空へ飛翔する。
空から探して見つける事もできるし、こういう利用方法も有効的だ。
夫婦になって毎日を過ごすが、中々充実した日々を過ごせているのであった‥‥‥‥
夜の夫婦の営みは、まともに書くとノクターン行き。
ゆえに、この場所では書けないのだけれども、それ以外でも毎日を楽しめているようである。
夫婦になったけれども、考えたらこれあまり変わっていないんじゃと突っ込むのは無しで!!
次回に続く!!
‥‥‥正直なところ、予定ではこの章でそろそろ終わる。
でも、ずるずる伸ばすわけにもいかないのだけれども、書いていると終わらせたくはないなぁ‥‥‥




