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6-5 問題ないように確認するのは、念入りにしたいからである

「‥‥‥ふむ、検査終了したのじゃが、おそらく問題ないじゃろう」

「キュル、本当?」

「じゃが、どうなるのかは流石に分からん」


‥‥‥卒業式までもう数日後に迫ってきた今日この頃。


 本日は珍しくハクロは一人でモンスター研究所に訪れており、全身の検査を受けていた。


「一応じゃが、内臓関係を見ても人に近しい状態じゃから、子を成すことは可能だとは思われる。けれども、やはり人ではないゆえに、結果は未知数としか言いようがないのじゃ」

「キュルルゥ、それじゃ、駄目なの?アルスとの子供?」

「いや、不可能とは別に言っておらんよ。ただ、どういう子が産まれるのかは分からんということぐらいかのぅ」


 しょぼーんっと落ち込むハクロに対して、優しく説明するドマドン所長。


 ハクロは元々蜘蛛のモンスターであり、紆余曲折を経てというか、何をどうやってか今の姿になったのは良いのだが、人と子がなせるのかどうかという部分が気になっていた。


 アルスの妻になるのならば、自身を磨くのもいいのだが、やはり自身の母を見て育ったことを考えると、自分も子供が欲しいという気持ちはある。


 なので、可能なのかどうかと思い、こうやって検査を受けてみたが‥‥‥可能かもしれないが、その子供がどうなるのかまでは分からないようだ。


「まぁ、人とモンスターの間で子がなせないという話はないんじゃがな。探すと案外、例はあるのじゃ」

「あるの?」

「大抵、望まぬ形な事も多いのじゃが‥‥‥それは聞かなくても良い話じゃよ」


 不可能ではないことは、その前例の数々で実証は出来ている。


 けれども、ハクロとアルスの間に生まれる子供が果たしてどのような子になるのかは、現時点でも分からない。


 調べてみた結果、胎生に近いことができそうだが元が蜘蛛ゆえに卵生も考えられるし、子供が人なのかモンスターなのか、はたまたそのハーフとなるのかも分からない。


 まぁ、万が一にでもなせなければ、貴族家の場合は後継ぎを得るためにどこからか養子を迎えるという手段もなくはないのだが‥‥‥それでも、自分の子を抱きたいというのはあるのだろう。



「とはいえ、不安がることは無いのじゃ。どのような形で成せるかはわからぬが、出来たとしたらそれはお主とアルスの子‥‥‥儂にとっては血の繋がらぬ孫のような者で、誰も忌み嫌う様な真似はせぬはずじゃ。子というのは親の愛情によってどのようなものにもなれるからのぅ」

「キュル‥‥‥うん、不安消えたかも。できるのであれば、その子をしっかり育てて、夫婦として、家族としてアルスの側に居たいの」


 ドマドン所長の言葉に対して、拳をぎゅっと握りしめ、そう決意するハクロ。



‥‥‥家族に少し、強いこだわりがあるように見えなくもないが、その理由は察することが出来るだろう。かつて、彼女がいた群れは間違いなく大家族といえるような形を取り、過ごしていたのだから。


 その家族は無残にも奪われたとはいえ、今は新たな家族としての形を成そうとしている。


 母にあこがれていた部分もあり、もしかすると母になれるかもしれない想いが、もしかすると求める本王に少し強く作用しているかもしれないと、ドマドン所長は様子を見てそう思うのであった…‥‥


「‥‥‥でものぅ、やるとしてもやっぱちりょっと不安じゃな。夫婦の営み方とか、まだまだわからぬのじゃろう?」

「うん。まだ学ぶこと多い。挙式前に、ちゃんとした奥さんになるために、私、もっと学びたい。アルスのためでもあり、私のためにも必要だから。正妃様にも聞いて来たけれども、所長お婆ちゃんも、夫いるよね?私に、夫婦円満の秘訣、教えてほしいの」

「ふふふふふ、大丈夫じゃ。頼まれずともばっちり教えてやるからのぅ」


…‥‥ちょっとばかりいたずら心も沸き上がったようだが、いらぬ知恵を与えるなと、ツッコみ性な人たちがいたらそう突っ込んだのかもしれない。


 そしてちょっとばかり、余計な知恵が足されていくのだが…‥‥その結果を、おそらく初夜に見ることになるアルスはその時まで知る由もないのであった。


「珍しく、一人の時間が出来たけれども‥‥‥こういう時は、やっぱり挙式に関しての準備などももっと念入りに練ろうかな‥‥‥でも、なーんか嫌な予感がするのは何故なのだろうか?」












‥‥‥そのような悪しき企みが思いっきり動こうとしていた中で、遠いとある場所では、フックが動いていた。


【ホホ―ッという訳で、式の日は決まったのでごぜぇやす。怪しい輩の退け準備も失せた今、来てもらいたいという要望があるのでごぜぇやすが、どうにか来ていただけないでごぜぇやすかね?というか、失敗したら多分、首が飛ぶと思うのでごぜぇやすが】

【‥‥‥話を聞く限りでは、そこまで過激でも無いとは思うのだが】

【とは言え、人里かぁ‥‥‥んーあまり近づきたくはないな】

【でも、招待状が来たし、代々の口伝通りならその子も我々と同じか…‥‥いや、ほぼ確定と言う事か】

【親戚一同が集まるのも、人間の挙式とやらであるしねぇ‥‥‥うん、やっぱり参加しようか】

【ありがとうでごぜぇやす!!】


 その言葉に対して、感謝の言葉を述べるフック。


 お使いのような形で確認作業をしていたのだが、どうやら全員出席してくれるらしいようで、中々いい結果が得られたと言えるだろう。


【しかし、皆様方は目立つでごぜぇやすが、溶け込むすべはあるのでごぜぇやすかね?】

【堂々と行くやつー!】

【【【はーい】】】

【人に化ける、もしくは憑りつくやつー!】

【【【はーい】】】


【良し、問題ないな】

【最後の、何か問題しか起こさないような気がしたのでごぜぇやすが?】


…‥‥まぁ、ここでうだうだ何か言ったとしても、何も改善しないだろう。


 何にしても今は目的を達成できたという事だけで、良いかと思考を放棄するフックであった‥‥‥

『○○な人―!』と言わないのは、人ではないからである。

いや、人でなくてもそういうかもしれないけれども、気分的なものだ。

とにもかくにも、色々と集まってきているようで‥‥‥

次回に続く!!



‥‥‥さてさて、豪華にいくか、盛大にいくか、まだまともでやるか

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