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5-28 消し飛ばしはすれども完全にあらず

 神々の戦いというか、一方的な蹂躙劇。


 色々とありつつも無事に終わり、祝福も得ることが出来て、結果としては何とか良い具合に着地して、無事に何も起きずに終わったと思いたい。


「でも、色々と説明というか、報告処理が疲れたよ‥‥‥」

「キュルゥ、報告量、多かったよね」


 ベッドに互いに倒れ込みつつ、ぐでーんっと完全に脱力する。




 事後処理などをこなしていたのだが、気が付いたら既に夜遅くになっているのだが、眠気は無いのに眠りたいという矛盾した状態。


 非常に精神的に疲れたというのに、眠るという癒しの手段を使えないというのは結構辛いのである。



「それでもどうにか、こなせてよかったかも。変なもの、もうこないっぽい」

「それもそうか‥‥‥まぁ、今までの面倒事の最大の元凶が、攫われたようなものだからね」


 そう、盛大に疲れたとはいえ、それに見合った対価は既に得ているようなもの。


 これまで多くあった騒動の大元凶というべき輩はすでに捕縛されて、機械神の手によってこの世界に返り咲くことはできなくなったはずである。それが本当に嬉しいというか、面倒事が今後無くなるかもしれないと思えるのが一番良いだろう。




 しかしながら、今後さらなる面倒事の予感も無いわけではない。


 何しろ、今回の騒動の最中で、ハクロが機械神から祝福とやらを貰っちゃったからね‥‥‥神から直接貰えるものというのは、ありがたみはあれども人によっては狙う輩もいるだろう。

 

 それこそ罰当たりと言う様な事をしでかす輩が出てこないとも限らないんだよなぁ‥‥‥しかも、機械神は眠るらしいし、再び降臨からの神罰などは期待できない。



 なので、守る手段を増やすことも早急に求められるだろう。正直言って、彼女に手を出して無事でいることが出来るような輩はいないとは思うけれども、それでも万が一ということもある。それに、第2、第3のおぞましいものが出てこないとも限らないし、その対策もしないとね。



「そう考えると色々とあるのは非常に大変かもなぁ‥‥‥面倒だから頭空っぽにして寝たいのに、眠気が無いのも困る…‥」

「んー、私も、眠くない‥‥‥こういう時って、なんで目が冴えちゃうのかな?」


 確かにそうである。眠くなりたい時ほど、眠気が無くなるということもあるから、安眠法などが開発されるんだろうけれども、そもそもなんでそうなるのかという疑問がある。


 いやまぁ、神経の興奮だとか刺激だとか、色々と理由は出ているのかもしれないけれども、そんな事はどうでもいい。僕らは今、ぐっすりと寝たいのだ。


 とはいえ、睡眠薬を作って眠るのもなんか違う眠りになるし、自然な眠りが欲しい‥‥



「‥‥‥いっその事、お互いに眠るまで子守歌でも歌ってみようかな?」

「それ、良いかも。私、お母さん直伝の子守歌、いくつもあるしね!キュル!」

「そうなの?」

「うん。兄弟姉妹、全員眠れない時、お母さん歌ってくれた時がある。他にも何番目かの姉が歌ってくれた時もあったっけ‥‥‥31番目の姉の歌は、破壊的過ぎて永眠しかけたけれどね‥‥‥」


‥‥‥どんな歌だったのか、それは。某ガキ大将レベルなのか、あるいはそれ以上なのか。


 ツッコミどころがあれども、一応案としては悪くはないので、お互いに思いつく限りの子守唄を歌いあい、聞き合って心を穏やかにしていくと、徐々に思惑通り眠気がやって来た。


 思い出しながらだと頭を使って起きそうなものだけれども、難しいものを考えると眠くなることに近いのかなぁ‥‥‥あるいは、長ったらしい演説などを聞いている時とか、そういう感覚なのかな?


 お互いにうつらうつらと眠気が襲い、子守歌も徐々に途切れ始める。


「キュル‥‥‥ふわぁぁ‥眠く、なってきちゃった…‥」

「うん‥‥‥やっぱり、けっこう効果的だったかもね‥」


 眠気が大きくなって、ついに子守歌も途切れ合い、ベッドに横になりながら顔を見合わせる。


 お互いにすっごく眠そうな顔を浮かべつつも、大事な人が傍にいる事を実感し合い、笑みを少し浮かべる。



「それじゃ、お休みハクロ‥‥‥良い夢見ようね」

「アルスも、良い夢、一緒に見よう‥キュル」


 深い夢の中へいざなわれゆく中、お互いに少し求めあいたくなり、手を伸ばしてそっと握り合う。


 温かさを感じ合い、生きている今を実感し、安心して夢の中に僕らは向かう。


 ああ、面倒事はまた明日考える羽目になるだろうけれども。今はこの穏やかな時を一緒に…‥‥















『…‥‥私は眠りにつきましたが、代わりの者を残していないとは言っていまセン。そして、この隙にちょっと逃げようとしているそこの邪神、止まりナサイ』

『ぎくぅ!!』


…‥‥アルスたちが夢の中に入った丁度その頃、とある世界の中でそのような会話がなされていた。


『ああ、大丈夫です、危害を加えるつもりはありまセン。あなたのしでかしたことのせいで、やらかしが非常に大きくなっていたのは後でしっかり神界裁判にかけますが、私が手を下すことは無いでしょウ』

『それって、どっちにしても裁かれるような…‥‥いや、それでいいのか?この我が意志がやらかしたことのせいで起きた出来事もあるのにか?』


 出された意外な言葉に、思わずそう問いかける存在。


 元凶がいたとはいえ、その元凶が出る原因を作ったのを考えると、さらなる大元凶でもあると言って良いはずなのに、直接手を出されないことに安心しつつも思わず怪しんでしまう。


『ええ、良いのデス。あなた自身の邪神としての力は、まだ弱いのですかラ。もっとヤヴァイ類の者であれば、問答無用で消し飛ばしますのですが…‥‥そのあたりの引き際も見極めている当たり、完全な邪神とは言えないようですからネ』

『…‥‥そこまで見ていて、か』


 その回答に、その存在は安堵の息を吐く。


 その存在自身、邪神である自覚はあったが、何処か邪神らしくない気もあり、ゆえに行動を一歩深める事もなく、中途半端な生き方をしていたのである。


 なので、消滅なども普通に恐れるような感情を持ち合わせていたので、後々裁かれることがあるとは言え、直ぐには無いという事に安心した。


『そうですね。あなたもあなたで、知り合いに近いというか…‥‥もしかすると、先祖があなたかもしれないのですからネ。少しばかり手心を加えても良いでしょウ』

『ん?先祖?‥‥‥我が意志で、子孫を成した覚えはないのだが…‥‥いや、もしやあれか?え、もしかしているの?』

『ハイ。良ければ今度、会う機会を与えましょうカ?もしかすると、邪神としての貴方が邪神ではなくなり、普通の神になる機会になるかもしれませんからネ』

『‥‥‥願ってもないというか、ソレはソレで良いな。とは言え、こちらにしかメリットが無いようなのだが、それで良いのだろうか?』

『大丈夫デス。…‥‥あの世界から、一体でも邪なる者が抜けるだけで、後が安心できますからネ‥‥‥』



‥‥‥将来のことを見据えての動きであり、知り合いに似ていたからこその恩情。


 それもあって、しばらく後に邪神が一柱抜けることになり、新しい神へと変わったのはまた別のお話である…‥‥



夢へ向かいましょう

今後の事は、また明日考えましょう。

ゆっくりと休み、そして時間は流れて‥‥‥

次回に続く!!



・・・・・新章前に、ちょっと閑話を挟みたいかな

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