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5-26 どこかで似ているところはあるらしく

‥‥‥呼び出された、おぞましき存在。


 名前をキチンと名乗っていたはずなのだが、それでも今の現状を見るとその名前が思い出せない。


 いや、違う。現状(・・)というか目の前で起きているのは単純に惨状(・・)だコレ。




「‥‥‥こういう、神同士の争いって神話大戦などが言い方としては当てはまるとは思うんだけど、この光景はそうではないと思えるよね」

「キュル、大戦、無い。これ単なる、圧倒的力の差による、一方的な蹂躙劇」


 ハクロの言葉にそれが当てはまるなと納得しつつ、僕らはそろって座ってその光景を傍観する。


 本当は逃げたり応戦したりするのが良いのかもしれないけれども、ここまで圧倒的な力の差というか、やり過ぎと言って良い光景を見ていると大人しく事が済むまで待っている方が楽だろう。



【ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!?なぜだ、なぜだ、なぜだぁぁぁぁ!!いくら降臨してきたとはいえ、管轄外の世界では全力を出せぬはずなのに、なぜ貴様は予想以上の力を出すのだぁぁぁぁ!!」

『予想外?いえいえ、そんな事はありまセン。確かに、神々はその力ゆえに通常他の世界では制限がかかってしまい、私も十分制限されているのデス』

【ならば、圧倒的な差を見せ付けてくるのはどういうわけだ!?】

『単純な話、制限が意味がないほど、神格を持っているというだけデス。まぁ、これだけの出力を出せるのに、姉妹機の方がまだ上だったりするのは悲しい事実なんですけれどネ』


 相手の問いかけに対して、淡々と事務的な作業をこなすように答える機械神。


 おぞましき存在は今、まるでゴミクズを放り投げる程度の気楽な雰囲気で、圧倒的な力の差を見せ付けられながら蹂躙されていた。


 分体のようなもので数を作ろうともそれらが瞬時に消し飛ばされ、叩きつけようとした触手が切り飛ばされ、活け作りにされる。


 光線を放ったかと思えば、機械神のほうがどこからともなく某戦艦を思わせるような砲を取り出して、飲み込み返す一撃を撃つ。


 挙句の果てには体当たりを仕掛けようとして、掴まれて勢いを利用され、竜巻のように投げられていく。


 出てきた当初の狂気の雰囲気はどこ吹く風と言うように、見る見るうちに削ぎ取られ、消し飛ばされ、その姿を小さくしていく。


【ぐぐぐっ、こうなったらその寵愛している娘を人質に‥‥‥!!】

『させると思いますカ?今どき、そんな手段を対策していないはずがないのデス』


 おぞましき蹂躙されゆくゴミクズのような存在はハクロへ触手を伸ばそうとしたが、突然見えない壁に阻まれたかのように動きを止め、その隙に全部が灰と化していく。


 悲鳴を上げ、逃げようとしても逃げられないだろう。この世界に降り立ったのは一方通行のようなものだったらしく、自ら逃げ道を無くしていたのだから。


 今までここで地道に活動して見つからなかったはずだが、ここに出られた油断ですべての気配が露わになり、隠蔽もままならくなっているのだから。




 そしてそうこうすること1時間ほどで、ようやく沈黙したらしい。


 巨大な体はすでに面影もなく、どこからともなく用意された箱の中に封じられたようだ。




‥‥‥圧倒的な狂気の神と言って良いようなおぞましき存在は、どこからともなく現れたメイドな機械神という言葉にしても意味が不明な相手によって、あっけなく終わりを迎えてしまったのであった‥‥‥




『‥‥‥ふぅ、少しばかりしつこかったですが、これで終わりですネ』

「あの、封印したように見えますけれども、力の差を見ると消滅させたほうが良さそうに見えるんですが‥‥‥」

『いえいえ、この対処法で良いのデス。だって…‥‥消したら、そこで終わりですものネ』


「「‥‥‥」」

 

 その回答に僕もハクロも黙り込む。


 納得できたような、より深い闇を垣間見てしまったような気がするのだ。


 もしかして、消し飛ばすのはいつでもできるけれども、後々何かをして置くのだろうか…‥‥考えて見たら、そこに入った矮小化した存在は、他の邪神のふりをして、信者やその他色々と利用していたので有罪判決しかないだろう。


 しかも、今回の件をもうちょっとよく考えると、ハクロを狙うようなものもあったわけで、機械神の寵愛対象を思いっきり害そうとしたことにもなって…‥‥ああ、既にその時点で、神であろうとも運命が決まっていたのか。


 おぞましく、恐ろしく、不気味な存在だったもの。


 だがしかし、ほんのわずかな時間であっという間に同情するほど哀れすぎる存在へと成り果ててしまったのであった…‥‥狙われた身でもあるので同情しなくてもいいかもしれないけど、あの大惨事よりも想像しにくいほどの目に遭う未来しか見えないので、哀れにしか思えない…‥‥



満を持して堂々と出てきたのに、あっというまに終わらされた。

準備をしてきたのに、積み上げたものが崩れ去るのは一瞬という、はかなさを教えるためだけに出てきたのだろうか?

何にしても、これでちょっとは楽になる‥‥‥か?

次回に続く!!



‥‥‥相手が悪すぎたんだ。そう、弱すぎたわけでも頭が悪すぎたわけでも運が悪すぎたわけでもなく、純粋にその一言で終わってしまう。

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