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5-18 なのでそこは徹底的にやっておくのが良いということで

『ついでに保身ついでにもう一つ言うのであれば、明日の太陽が最も高く上った時に、機械神に寵愛されている娘から絶対に離れるな。流石にそれをやらかされると、非常に不味いからな…‥‥』


‥‥‥そう語っていた、神モドキのようなトゥールの言葉を思い出した今の時刻は、その丁度太陽が天辺に来ようとしているお昼時。


 いつもであれば、学園の食堂で昼食をとるところだが、その言葉があるからこそ予防として‥‥‥


「キュルルル、雲の上の、ピクニックみたいで楽しいかも♪」

「雲を固める薬がある時って、こういう避難場所に使えるからなぁ‥‥‥周囲も温めておいて冷える心配もないし、空気も濃くしているし、使える時には使いまくってみたけれども空の上も良いよね」


 もぐもぐと持ってきたお弁当をハクロと食べつつ、僕らはそう口にしあう。

 

 学園の食堂内では不特定多数の生徒たちが多いからこそその中に混ざって面倒な輩が来る可能性も考慮し、こうやってお空の上で二人きりで食べているのだが、これはこれで悪くはない。


 というか、空の上って結構いい避難場所にはなるんだよね。残念ながら永久に雲を固められるわけではないので時間制限がどうしてもついてしまうが、それでもある程度過ごせるのは都合がいい。

 

 魔法や魔道具があるとは言え、一部の例外を除いて飛行技術はそうそう出回っていないし、そもそも下からではこの雲はただの雲にしか見えないようにしているので、誰かに僕らを狙うのは至難の業だろう。


 そう考えると、この場所を選んだのは中々良い判断をしたかもしれない。




「にしても、太陽が一番高く上る時まであとちょっとだけど、何かある様子もないよね」

「うん、下の方、皆普通に過ごしているし、周囲の糸に変化なし。何かが狙うにしても、まずここが分からないとは思うよ?」


 それもそうである。むしろこの居場所を突き止められる奴がいるのだろうか?いや、世界は広いからいるかもしれないけど、それでも並大抵の手段で分かるはずもないだろう。


 そう考えると安心できるが、慢心する気はない。


 彼女から離れないようにという忠告をわざわざ貰っているからこそ、しっかりやっておくべきだろう。



「とはいえ、一番やりやすいのは何かって確かに聞いたけれども…‥‥これ、ハクロが動きにくくない?」

「キュル、大丈夫。私の糸の人形設置完了、糸の結界張り巡らせて、更にアイアンウッドの家‥‥‥鉄壁の布陣、問題ない!だからアルス、私の膝枕でゆっくり休んで♪」

「何かこう、もっとどうにかできた気がするけれども‥‥‥まぁ、これはこれでいいか」


 正直、ちょっと過剰防衛な気がしなくもない。改造を施して頑強さを増したアイアンウッドのログハウスに、大量の人形たち。


 そして薬で作った様々なトラップにハクロの糸の感知で誰も入れないような…‥‥いや、これ出る時どうしようかなと思えるほどのガッチガチの防衛をやってしまった。


‥‥‥とは言え、これでも不完全な可能性があるし、潜り抜けられそうな手段もあると言えばあるだろう。


 一番危険だったかなと思うものとしては、以前に合った透明かつ攻撃がすり抜けるような化け物だったか。薬で見えるようにしても攻撃がほぼ通じず、どうにか隙を狙ってやれたけれども、同じようなやつを出されないとは限らないからね。


「それも、対策済み。私しっかり、アルス守るために、色々な手段増やしたの。一度あったものは、二度と受けないように学習はしている、キュルル」


 どうやらその事に関して覚えていたようで、鍛練を積み重ねて対策を施しているらしい。


 何かと想定しているようで、頼もしいけれども僕の方が守りたいのに逆に守られるのって男としてはどうなのか‥‥‥まぁ、うん、深く考えない方がいいか。



 そう思いつつも、ログハウス内に作った時計ではもうあと数秒ほどで、太陽がもっとも空の高い位置に来る時間帯になる。


 何がどうやって狙ってくるのか、何をしてくるのかは分からないけれども、この防衛の隙間をかいくぐってなせるのであれば、僕らの負けだろう。


 まぁ、ハクロ一緒であれば悔いはないのだが…‥‥ついに、その時が告げられた。




「…‥‥キュル、何も起きないね」

「‥‥‥いや本当に、何も起きてないよね」


 丁度時間になったのだが、周囲に異常などは見られない。


 流石に防衛しすぎたのか、あるいは何者もたどりつけなかったのか、防衛に成功したのか…‥‥いや、時間ぴったりになっただけであって、時間差で来るかもしれない。


 そう思って身構えたのだが、そのまま時間は過ぎて太陽が下がり、午後の授業が始まるので降りて来たのだけれども、結局何も起こらなかったのであった。



「守りを固めたのに、結局何もなかったね」

「何もなかった、それで良いかも。アルスに変な事、起きなかったもの」


‥‥‥結構真剣にやったのに、拍子抜けするほど音沙汰が無かったなぁ。やっぱり過剰防衛すぎたのか、あるいは何か、僕らの方で勘違いしている点があったとか…‥?


 そう思いつつも、今の状況で回答を得られないので、夢の中での来訪があったら尋ねようと決めるのであった…‥‥


何事も無さすぎて、守り過ぎたのが馬鹿に思えて来た。

いや、ここまでやっていたからこそ、大丈夫だった‥といえるのかな?

でも何かこう、間違えているような気がしなくもないような‥‥‥

次回に続く!!




‥‥‥視点を変えれば、屁理屈っぽいようなことが考えられたりして。

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公の薬ももっと種類が欲しいね。
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