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5-8 そりゃ本腰を入れてどころではないでしょう

…‥‥たまに忘れそうになることはないと思うが、エルスタン帝国は非常に強大な国である。


 長い歴史を持ち、他国の滅亡原因なども研究し、長続きするように徹底的に教育などにも力を入れている国なのだ。


 そんな国の中央である帝都に対して、仕掛けられた大量の麻痺霧。

 

 幸い命を奪うようなものでもなく、解毒できるからこそそこまで被害が大きくなかっただろう。深夜だったから誰もが寝静まっており、火を使うような昼間であれば火災の危険性もあったが、そこは相手の使う時間帯に救われたようなものである。


 だがしかし、被害が少なかった程度で、帝国が動かないわけがない。


 いや、むしろこのような無差別的かつ広範囲すぎる攻撃は脅威とみなされて…‥‥




「…‥だからこそ、徹底した情報収集が行われているのか」

「キュル、あの倒しちゃった人、見たら真っ白通り越して灰になっていたよね」


 3日が経過したが、どうやら国は大量の情報を得ているらしい。


 あの部屋に侵入してきた人に関してはそこまで情報を持っていなかったようだが、それでも帝国の間諜やら諜報やらの情報収集能力は優れているようで、ほんのわずかな部分でもすぐさま集めることが出来たようだ。


 ハクロファンクラブとやらも混じっているので、ハクロへの襲撃なども考えたら当然の手早すぎる対応と言えば対応なのだが、一応国の方にとっても全滅しかねない驚異的な攻撃だったので、対策も取られていたりする。帝都中の防壁に霧やガスなどを防ぐ魔道具が急きょ開発されて設置されるそうだ。


 それ以外にも色々とやっているそうで、僕らの方にも協力要請が出されていた。


「解毒に治療薬、自白剤‥‥‥軍事的な利用はしないってことだけは言われているけれども、徹底的に相手を潰すためだけに利用されるだろうなぁ」

「アルス、お疲れ様。大量のお薬、作って疲れた?」

「いや、このぐらいなら大丈夫だよ」


 薬を精製できることに関しては理解が示されているため、ある程度の薬品を作らされた。


 とはいえ、こちらとしてもハクロを狙ってきたような馬鹿に対して容赦する気はないので、むしろ進んで作りまくった。


「そして出てきた情報を集めると‥‥‥これまた面倒そうな集団か」


 調査結果に関しては色々と危険すぎると相手という事で、貴族たちへ警戒するように情報提供されたのだが、その内容によれば今回仕掛けてきたのは何かの神を信仰するような集団だったらしい。


 数年ほど前にどこぞやの宗教国家が狙ってきたケースがあったが、あの国は確かどこかの世界から化け物を引っ張り出しちゃって自滅したんだっけか…‥‥また同じようなものをやられては困るので、各国もすぐに動いているらしい。


 とにもかくにも問題なのは、この世界では別にどこのだれがどのような宗教をしていてもいいのだが、どう考えても今回の輩は邪神とも言えるような類を崇拝している可能性があるそうだ。


 神と言えば、転生前に出会った神とか、ハクロを寵愛しているらしい機械神が思い浮かぶが、それとはまた違うような本当の邪神なのか、あるいは形だけの誰かが神を名乗っているだけなのか‥‥‥何にしても、すごい迷惑をかけてくるような集団なのは間違いないそうだ。


 下手するとまた化け物を呼びだすようなこともしかねないので、現在大捜索して完全に潰す気なのだが、いまいち掴み切れていない。



「できれば化け物なしの、自分達だけで自滅してくれれば一番楽なんだけどねぇ‥‥‥なにを考えているのかわからなくて不気味だよ」

「キュル、大丈夫。私、アルス、何があっても守るもの!」


 ぐっとこぶしを握り、自信満々に胸をはって答えるハクロ。


 頼もしいけれども、彼女自身も狙っているかのような奴らだし、そもそもフックも狙っているんだよなぁ。あの巨大フクロウを狙ってどうしたいのかがいまいちわからない。


 聞いてみると命を奪わずに生け捕りに近い状態で運べと言うことも話していたようだし、何を企んでいるのかが理解できないが‥‥‥フックがふと思い出したように、ある事もつぶやいていた。



【あっし、鼻もそこそこきくのでごぜぇやすけれども、ふと思い出したでごぜぇやす】

「何を?」

【あいつらの臭い、あの不味かった熊とかにあった臭いに近かったような…‥‥もしかすると、変なものを作り上げたやつらと同一のところかもしれねぇのでごぜぇやすよね】


 熊というか、何か変なものを作り上げているらしいし、そうなってくるとさらに面倒な可能性が増えてくる。


 絶対にこれはただ襲撃してくるだけでは終わらない事件になると、嫌だけど確実に当たりそうな予感を抱かされるのであった…‥‥


「そもそもハクロも狙われているし、護衛薬も新規一新して対策しないといけないかな?」

「キュル?今でこそ、激辛ボンバー、重症花粉症、ヤマイモ越え痒み薬とかあるのに?」

「非殺傷なものだからね。覚悟をしないといけないものも作らないといけないかなって…‥‥」

帝国へやらかすやつには天誅を。

でも、そもそもどういう目的で仕掛けてきているのかがいまいちわからない。

どう考えてもろくでもない事だけは、確かなんだけどね‥‥‥

次回に続く!!



‥‥‥ペットが作業中に凄いかまってほしそうにしてくるので、し辛い現状。

どうしたら可愛さに揺らがされる心に勝てるのか。

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