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閑話 着々と準備は進みつつ

‥‥‥帝国の王城、議会室。


 その場にて、皇帝はとある考えを発表しつつ、その場にいた主たる貴族たちに賛同を求めていた。


 周囲へ与える影響や、帝国にとっての重要さ、その他逃してはならない事も協議し合っていたが、その話し合いはある意味意味が無かった。


 なぜならば、皇帝が話さずともその場に集う者たちはしっかりと理解できていたのだから。


 いや、だからこそ国にとって最高指導者である皇帝がどう判断を下すのかという事を確認するために集っており、その想いは同じであることを確信し合い、より綿密に協力し合う事を誓いあう。


「では、これで各自異論はないな?」

「「「「異論無し、皇帝陛下の御心のままに」」」」


 皇帝の言葉に対して、その場に集う貴族たちは口をそろえる。


 この場にて、全会一致の賛同を得るのであった…‥‥







「‥‥‥ふぅ、反対する者がいるかと思っていたが、意外といないものだな」

「腐敗していないのもあるのでしょうけれども、やはりファンクラブに加入している方々が多いのも原因でしょうね」

 

 その日の晩、寝室にて皇帝はベッドに横になりながらそうつぶやけば、一緒にいる正妃はそう答えた。


 他国であれば簡単に進まない事だったのだろうが、この国にいる者たちであれば話が早い。


 保身に走るような者もおらず、真に国のためを思うところがあるからこそ、今回の話し合いにどれだけの価値があるのかを理解してくれているのだから。


 我が物にしようとか、権力の掌握を狙う輩もいないことは無いのだが、それでも悪人と言えるような者はこの国の上層部には蔓延っていないのもあるだろう。


 長い歴史を持つ帝国だからこそ、周囲の滅亡して言った国々から様々な教訓を学べ、滅びに向かわぬように長い間教育もされていった成果が発揮された形ともなっていた。



「それにしても、このことが彼らに伝わったら、どう思うのかしらね」

「‥‥‥少なくとも、慢心することは無いだろう。驚愕するだろうが‥‥驕る事もないはずだ」


 正妃の言葉に対して、皇帝は自信をもって答える。


 皇帝として人を見る目は確かであり、その目が濁っているわけではない。


 いやまあ、多少子育ての面で一部の皇子たちの性癖がねじ曲がりはしたが、それでも大丈夫なはずである。


「何にしてもこれで彼らを守れる範囲も増え、より一層危険も減るだろうが‥‥‥」

「ええ、それでも愚か者はいるのよね」


 残念なことに、様々な天罰やらファンクラブの猛威を振るってきたとはいえ、何も考えぬ馬鹿は出てしまう。


 さらに言えば、未だにとらえきれぬ愚者たちが存在していることも発覚しており、全力を挙げて積み上げたいのだが…‥それでもどうにもならないのが不気味なのだ。


 何かを隠れ蓑にしているか、あるいはもっと別の何かが原因なのか‥‥‥それは分からない。けれども、存在しているのは間違いなく、完全に終わらせるために一手足りない。


「だからこそ、帝国の民である者たちを守るために、持つ力を振るわざるをしていつ使えというのだ。こういう時にこそ、全力を尽くすべきだろう」

「そうですわね。徹底的に、完膚なきまでに、消し去るべきですもの」


 夫婦はそう誓いあい、力を持つ立場だからこそその立場を活かし、守ることを改めて誓いあう。


 こうしてみると、本当に息の合った仲の良い皇帝夫妻なのであった…‥‥



「‥‥‥ところであなた、一つ良いかしら?」

「ん?なんだ?」

「隠し部屋、いつの間に増えたのかしらね?」

「‥‥‥待て、何時の間に把握をし、」

がしぃっ!!

「自腹なのは分かっているわよ。あの子の可愛さも分かっているけれども‥‥‥ちょっとばかり、年齢制限をかける必要のあるものを多く集めているのもどうなのかしらねぇ」

「‥‥‥‥コレハだな、多少は、そう、民の欲情なども避けるために出会って」

「言い訳無用」


‥‥‥多少、隠居をそろそろ考えている皇帝が気を少し緩めてしまい、見つかってはいけないような類を見つけられ、絶叫が響き渡ることになるのだが、ソレはソレで仲が良い夫婦なので問題はないのであった。


 精々、ちょっとばかり次期皇帝の座が速足で走ってきて、次代へ渡される日が近くなる程度だろう…‥‥






「‥‥‥キュルル、アルス、なんか悲鳴聞こえなかった?」

「え?そう?」


 丁度何処かの誰かが哀れな折檻を受けていたころ、アルスたちは学園の寮に帰還していた。


 変態皇子とは無事に別れ、何事もなく辿り着いたのだが‥‥‥


「んー‥‥‥でも誰かが悲鳴を上げているわけでもなさそうだし、気のせいじゃないかな?」

「そうかな?‥‥‥キュル、でも、自業自得と言うようにも聞こえるし、放置で良いのかも」


 体を起こしていたけれども何事もないかと思い、ポスっと彼女はベッドに横になる。


 蜘蛛の身体の時はちょっと特殊な構造のベッドが必要だったが、翼が背中にある程度だと、小さく折りたたむだけで寝転がりやすくなったようだ。


「うん、アルスと一緒に寝るの、一番良い♪どこの寝床でも、私、アルスと一緒♪」

 

 キュルルルっと、鳴きつつ、頭を摺り寄せてハクロは口にする。


 なんかその鳴き方は変わらないなぁとは思うけれど…‥‥可愛いから良いか。


「でもやっぱり、さっきの悲鳴、気になるかも。哀れな感じがしたけれども…‥‥なんだったのかな?」


 哀れな感じの悲鳴とは何だろうか…‥‥うん、気にしないほうがいいのかもしれない。


 今はとりあえず、明後日に予定されている表彰式に備えて、精神的に余裕を持てるようにゆっくりと過ごすべきかなぁ‥‥‥



さて、次回からは新章予定。

ちょっとばかり物語もスパイスを加えたいけれど、スローライフを本格的に目指したくもある。

まぁ、ゆっくりと進めていくかなぁ。

次回に続く!!



‥‥‥土曜も仕事がある日って、大変である。不定期ではないのでマシだが。

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