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4-46 考えていたけれども

「‥‥‥問題ないけど改善点が多いのかな?」

「むぅ、広さや餌、その他状態なども調べて見たのじゃけれども、まだまだやれる余地が多いという結果じゃな」


 本日は研究所の方からはるばるやってきてもらったドマドン所長及びその他職員たちと一緒に、牧場内を見回りながら確認作業を行っていた。


 ハクロに乗せてもらえれば超高速で往復は可能だが、そんな事をしなくてもこういう牧場を運用してもらっているのだからという事で、馬車を借りてやってきた所長たち。


 あちこちで放牧されているモンスターたちに手荒い歓迎を受けつつも、状態としては改善の余地が多いけれどもおおむね成功という具合のようである。


‥‥‥手荒い歓迎の理由としては、ここの飼育されているモンスターたちが所長と研究所にいた時のことをしっかりと覚えているのがあるらしい。ハクロの翻訳によると今となっては良い思い出だけれども、ちょっとばかりはうっぷん晴らしをしたかったと供述しているようだ。


「何にしてものぅ、国家プロジェクトが必要になるまで生産性が上がり過ぎているのは良いのじゃけれども、そうなってくると消費が増えて今度は供給が間に合わなくなる可能性も考えられる。今の状態だとあまりまくりじゃが、もうちょっと頭数を増やす計画も立てておいた方がいいのかもしれぬのぅ」

「増やす、か…‥‥どこかで捕縛とかが必要になりますかね?」

「いや、自然繁殖程度で大丈夫だと思うのじゃ。やや増えすぎないように調整も必要じゃろうけど、そこまで急激にやらなくてもいいからのぅ」


 一応、この牧場内で飼育されているモンスターたちはきちんと雄と雌が半々ぐらいで存在しており、自然繁殖に近い形で増やすことも可能ではある。


 まぁ、増えたら増えたで飼育小屋の増築や放牧している範囲を増やすなど、男爵家領地ではちょっと厳しい部分も出そうだが、そのあたりは今後考えたほうがいいのかもしれない。


「まぁ、話は既に聞いているのじゃが、侯爵家にまでなるのならば問題ないかもしれぬのじゃが‥‥‥そうなるのかのぅ」

「あれ?何か、不安な事でもあるのですか?」


 今でこそ男爵家だが、将来的には元々の侯爵家の状態にまで戻すことはすでに皇帝陛下と話がなされている。


 なので、広大化を求められてもある程度までなら余裕を持てるという計算はあるのだが、何やら所長は難しそうな顔をしていた。


「悪い事ではないのじゃが…‥‥アルス、お主は今回この経営の中で、国家プロジェクトなるものに関わったのじゃろう?その功績も考慮すると、ちょっとやらかされそうな気がするんじゃよね」

「…‥‥あー、なるほど」


 所長の言わんとしていることを、僕はなんとなく理解した。


 休暇前の怪物騒動もそうだが、色々と功績を積み重ねていることは嫌でも実感させられており、休暇明けにある表彰式の場でやらかされる可能性がある事を。


 まぁ、無理もないというか、良い方向になるのであればまだ良いのだが…‥‥なんかされそうで怖いな。


「キュル、でも大丈夫、アルスなら多分、悪いことにならないよ」

「そういうものかな?」

「うん、アルス多分、運結構良いもの」


 うーんっと悩んでいたところで、ハクロがてととっと寄ってきて僕を抱きしめてそう口にする。


 まぁ、運が良いとかそういうことは関係ないとは思うけれども、彼女なりに励ましてくれているようだ。


「そうじゃのぅ、アルスの運の良さも中々のものじゃと儂は思うのぅ。そもそも、ハクロを妻に娶れる時点で相当な者じゃと思うのじゃ」

「うん!私、アルスのお嫁さんになるもの!」


 ドマドン所長の言葉に対して、笑顔で答えるハクロ。


 確かに、考えたら彼女が傍にいてくれる時点で良すぎるかもしれない。あ、でもソレで生涯の運を使い切って色々な面倒ごとにこれまで巻き込まれている可能性も出てきたような…‥‥深く考えないことにしよう。


「うむ、なんかこうやって見るともうちょっと先で、孫が結婚するように思えるのぅ。ひ孫もおるのじゃけどな」

「そう言えば、ドマドン所長って孫がいましたもんね…‥‥」


 見た目が瓶底メガネ白衣幼女という感じだから、孫やひ孫がいる老婆に見えない。


「何にしても、挙式を挙げる時が来たら儂に招待状が欲しいのぅ。孫の結婚式のようなのは、祝いたいのじゃ」

「まだ先になりますし、詳しいことが決まり切ってないですけれども‥‥‥招待状が欲しいのであれば送りますよ」

「うむ、約束じゃ」


 こちらとしても所長には色々とお世話になっているし、送らないわけがないだろう。


 いつになるのか明確な日時は未定なのだが、招待状を作るのであれば送る約束をしておくのであった‥‥‥



「ついでに儂としては、ひ孫も増やしたいのじゃがな。お主ら、子をさっさとなしてほしいのぅ」

「まだ清い交際ですからね?」


 なんでこうも、誰も彼も子供を望むのか‥‥‥‥いやまぁ、望まないわけはないんだけど、軽いハラスメント行為のような気がするんだよなぁ…‥‥


「お、そうじゃ、ついでにハクロ、お主にこれ渡しておくのじゃ。本番までには、これで学ぶが良いのじゃ」

「キュル、ありがとう、所長お婆ちゃん!」

「ちょっと待って、今何を渡したの所長?」

実際、本当に子供ができたらどうなるのか。

そもそも翼が生えた人型になっているとはいえ、なせるのか。

そのあたりが気になるけれども、本番にならないと分からないかな…?

次回に続く!!



‥‥‥後さらっと、所長がハクロにいらない(?)知識を与えようとしているのは阻止するべきなのか。

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