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4-28 掃除の時はあるもので

‥‥‥最初の頃は、本当に純粋な善意だっただろう。


 その希望の光は闇の世界を照らし、見る者を明るくさせ、その笑顔を失わせたくないという想いを共感し合い、集まり合っていたはずである。


 だがしかし、想いというものは徐々に変化も重ねるものであり、その変化のありようは時として誰もが望まない方向へ進むこともあるのだ‥‥‥‥





【‥‥‥キュル、まだちょっと、早かった?】


 朝方、少々日が昇り切る前にハクロは目を覚ましていた。


 小さくなる薬を飲んでの枕になっている状態であり、アルスの頭を蜘蛛の背中に乗せている状態ではあったが‥‥‥ごしごしと目をこすりつつ、二度寝の用意をし始める。


 早起きをしても良いが、出来ればアルスと一緒に起きていたい、


【起きて動くと起こしそうだし、ゆっくりと二度寝しよう‥‥‥】


 ふわぁっと欠伸をしつつ、アルスのぬくもりを背中に感じ、目を閉じようとしたところで‥‥‥ぴくんっと何かに気が付いたように上を見上げる。


【‥キュル?】


 何だろうと思い上を見上げるも、そこにあるのはいつもの天井。


 たまーに誰かが入っていたりするのを糸で感知したりもするが、特に害意などは感じないので放置していたりするのだが、今感じたのはいつものものとはどこか違う気配だろう。


【んー‥‥‥でも、もうない。何だったのかな?】


 糸を出して探りを入れるも、既にその気配は消え失せている。


 一応、今すぐにでも手を出してくるようなものでもなく、単純に見るだけの…‥‥いや、何とも言えないような気配付きの視線があったようだが、その主たちは既に去った様だ。


 疑問に思いつつも、いなくなったのであれば無理に追いかける必要はないはず。


 けれどもどことなく不安も感じ取り、安心感を得るためによりべたっとアルスにくっ付きながら二度寝をし始めるのであった。








【キュルル‥‥‥んー、なんかやっぱり、感じるかも】

「どうしたの、ハクロ?」


 起床して朝食も終えつつ、放課後にまたプールに行こうかと話している中で、ハクロが急にそうつぶやき、周囲をきょろきょろと見渡していた。


【なんか、今朝から感じるの。普段感じるような視線とは、違う感じの‥‥‥こう、もやッとしているような、わからない感じなもの、キュル】

「どういうものなの?」


 怨嗟や嫉妬、羨望などの様々な感情が溢れる視線ならこれまで感じたことはあったが、話を聞くとどうもそれらとはまた違うような視線を感じ取っているらしい。


「ストーカーかな…‥‥?」


 その類が出ている可能性もあるが、あまり見ることは無い。


 それでも出てもおかしくはないし…‥‥でも、何で今になって出てくるのかという疑問もある。



「ハクロ、今その視線は感じる?」

【また消えている、感じたらさっと消えて、探したら消えて‥‥‥気が付いたらまた‥‥‥ちょっと怖い】


 ぶるっと震えてキュっと僕の手をつかんで返答するハクロ。


 得体のしれないような不気味さは怖いようで、その恐怖が伝わってくる。


「…‥‥どうにかできないか、相談しに行ってみる?」

【誰に?】

「正妃様に」


 学園周辺の衛兵などに頼む方法もあるが、何となく正攻法ではできないような気がする。


 であれば、徹底的にかつ正攻法以外の手段を扱えそうな方法を考えるのであれば、この国でもトップクラスの権力者に直接頼んだほうが良いだろう。


‥‥‥いやまぁ、普通の時期男爵家当主が向かっても普通なら無理だろうけれども、こういう時ばかりは日ごろの付き合いが役に立つからね。


 ついでにもうちょっと毛の質などを増やせる新型の育毛剤なども出してみて、皇帝陛下の方にもお願いできないかな…‥‥いや、やめておこう。毛に関しては酷い争いが起きて滅びた国があるという歴史も授業で聞いたし、出来るだけ控えないとね。


 そう思いつつも、問題を早期解決するために、僕らは放課後直ぐに連絡を取ることにして、きちんと話す日を決めておくのであった。


 流石にいきなりの突撃訪問は失礼だからね‥‥‥‥










‥‥‥普通であれば、即座に排除されそうな、ハクロが嫌な感情を抱きかねない危険な行為。


 だがしかし、今回はその排除をする動きは見られなかった。


 というのも今、その排除をするために動く組織の方でとある問題が発生してしまい、その対応に追われていたために直ぐに動けなかったのだ。


 さらに言えば、その問題によって今回の件が起きてもいるのだが‥‥‥‥どうにかしなければいけないと理解しても、直ぐに解決し様が無かった。


「‥‥‥ここいらで少々、削ぎ落す必要性が出るのか」

「十分成長しましたが、余分に成長しすぎてしまった面が出てしまったからな…‥‥」


 そうつぶやき、とあるファンクラブの最高幹部たちは悩みつつも、放置すれば甚大な被害を生む危険性を理解しているので、早急に解決できるように手段を模索し始めるのであった‥‥‥


怪しい気配は、ひたりひたりと忍び寄る。

夏場のホラーとはまた違った、異質な恐怖。

そんなものにハクロを襲わせたくないので、さっさと潰すために動くのだが…‥‥

次回に続く!!



‥‥‥おやおや、守るべきためのところで、ちょっとした面倒事が?

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