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4-20 学習しているのでそのあたりはしっかりと

「んー、帝都の構造とかを空から見ると、参考にはなるけど…‥‥やっぱりここまでの発展ぶりは、帝国の国力の凄さを見せているよねぇ」

【キュルゥ、最近、建物も大きなのできていた。ココの発展ぶり、中々すごい】


 午後の授業があるまでの昼休みの時間、僕はハクロの背中に乗せてもらって空から帝都を見下ろしながら観察をしていた。


 時間はまだあるし、こうやって上から見る事で各所をチェックし、領地での経営に活かせるところがないかと参考にさせてもらっているのだが…‥‥やっぱり、この発展ぶりを見るとここまで発展できるのかと思えてしまう。


 まぁ、無理するような経営は行う気はないのだが…‥‥それでも、ここまでのものを作れるのかと問われると流石に無理としか言えないだろう。


 それだけココを作り上げた帝国がすごいというか、今もなお増築、改築なども進められているからなぁ‥‥‥こうやって見ると帝国の発展ぶりを濃縮している場所だと思えるのだ。



【広い、大きい、すごい…‥‥色々と集まっているよね】

「こういう発展ぶりが、最終的な目標ともいえるけど…‥‥うん、流石にここまで行くのは難しいね」


 流石に前世ほどの土木建築技術、科学技術などが無いために、大都市というには少々足りない部分もあるだろう。


 けれども帝国はそれでも技術力を自らの手で高めているので、前世で見ることが無かったような建築様式や技術を見せてくれる。


‥‥‥一番良い例が下水整備がしっかりされているという事かな?完璧な処理がなされているために、周囲の汚れなどは見当たらず、帝都内は綺麗だからね。


 

 何にしても大空から改めて見ると、本当に帝都の発展ぶりはすごいだろう。


 それだけこの帝国が栄えているのを示しているのかもしれない。


「そもそも、帝国の歴史も超長いからなぁ‥‥‥‥分厚過ぎる歴史の授業の教科書、結局高等部になっても完璧に覚えきれないんだよね」

【私、覚えたよ?でも、長すぎるのは、同意する】


 何気に頭が良いハクロは既に全部暗記したようで、すらっと全部言い出せるようだ。


 活用する機会自体はそんなにないけれども…‥‥テストの時とかに出た際に、抜けてしまうんだよなぁ。


「まぁ、長い歴史の中で戦争なども結構やっているようだけどね…‥‥今でこそ平和だけど、大戦乱時代というような物もあったしね」



 帝国の国土は大きいが、その分過去に争いがあった事も記されている。


 今ではある程度の自主性を持たせて属国扱いでそこまで干渉しないようにしているところもあるが、それでも広大な領土を確保するために過去に色々あったようだ。


 そう思いつつも、あちこちの観察をする時間も終えたのは良いのだが、まだちょっと午後の授業まで余裕がある。


「‥‥‥せっかくだし、残り少しの間、空でのデートにでもしようか?」

【デート?うん、するする!!】


 僕の提案を聞き、振り返って笑顔で返答するハクロ。


 大空での短い時間しかないデートだけど、こうやって過ごす時間も良いだろう。


 とはいえ具体的にはこうやって空の散歩をする程度しかないかもなぁと思っていた‥‥‥その時だった。


【アルスとのデート♪デート♪デー‥‥‥キュル?】

「ん?どうしたの、ハクロ?」


 嬉しそうに口ずさんでいたハクロがふと歌を止め、何か気になったのか別の方向に目を向けた。


 その方向は帝都の北側の方…‥‥最近改造されて強化されたと噂の、帝都の周囲を囲む城壁の向こう側である。


【‥‥‥なんか今、変な音が聞こえた】

「変な音って?」

【モンスターの言葉のようだけど…‥‥支離滅裂でしっちゃかめっちゃかというか、わからない声?というようなものが聞こえた気がする、キュル】


 んんっと、首をかしげながら彼女は答えたが、僕が見てもそこに何かがいるような気配もない。


「結構遠くの方か?」

【ううん、近い方‥‥‥でも、何もいないように見えるのに、なんかおかしいかも】


 腕を組んで考え込むハクロだったが、どうやら何かがいるようで見えない不思議な感じがしているらしい。


 先日の人化の術みたいな感じで、誰かが光学迷彩のような魔法をかけて潜り込んでいるのかと思ったが、そのような気配はないらしい。


【でも、こう、近いようで遠くて、それでいているようでいなくて‥‥‥なんかもやもやする】


 わけのわからないというか、言いようのない得体のしれない物をハクロは感じているらしい。


 ふと気が付いたが、帝都の方で住みつく小鳥とかもいつの間にか空から姿を消しており、あちこちで飼われているらしいペットとかが吠えている様子も空からうかがえる。


 けれども、行き交う人々は気が付いていないようで…‥‥人には感知できないものを、人ではないものたちが感じ取っているように見える。


 嫌な予感がしてきて、不気味さから一旦地上に降りて様子をうかがった方がいいのかと思った‥‥‥その瞬間である。


【キュル、いるようで‥‥‥シュルルルルル!!!】

「っと!?」


ぐいぃん!! 

ドオォォォォォォン!!


 突然ハクロが威嚇音を出し、素早く横に動いたかと思えば、先ほどまで僕等がいた場所に何かが飛び出して爆発した。



「な、何!?」

【わかんない、でも何かいる!!】


 シュルルルっと威嚇しながら、ハクロが素早く動き始めると同時に爆発が周囲で起こり始めた。


 このまま空中で逃れていても不味いと感じたのか、一気に急降下しつつ周囲へ被害が及ばないように帝都の外へ着陸し、足での走行に切り替える。


ドカァァン!!

ドカァァァン!!

ドッカァァァン!!


 疾走し始め、その後に続くように爆発が起き、明かに僕らを狙っていることが見て取れる。


 だがしかし、その狙っている者たちの姿は見ることができない。


【シュルルル!!糸である程度、分かるけど、相手の位置見えない!!危険な場所分かるのに、出す場所不明!!】


 しゅばばばっと足を高速で動かしながらハクロがそう口にするが、どうやら何かが僕らがいる場所へめがけて放たれているようであり、着弾する少し前に警戒して出している糸で探知して、辛うじて避けているような状態らしい。


 その何かに関しては糸で調べたいが、どうしても出ないようで…‥‥今は何とか逃げることが出来るが、このままでは体力を消耗するだけだ。


「見えざる敵というか、存在が感知し切れない敵か…‥‥厄介だな」


 何かがいる場所が分かればそこへめがけて反撃できるかもしれないが、わからないのでどうしようもない。


 そもそもどうやって攻撃しているのかは不明だし、見えないようになっているだけなのかと思いたいがその存在が感知できないそうだ。


「何かこう、良い薬は‥‥‥っと、そうだ!」


 相手の場所がわからないのであれば、その場所が見えるようになればいい。


 姿を消していようが存在を不明にしていようが、賭けに近いけれども何かの生き物が攻撃を仕掛けている可能性もある。


 ならば、その生命を見ることができるようにすればいいだけの話だ。


「えっと、飲みでもかけでもなくて、目薬タイプの感知薬…‥‥できた!!」


 直接目で見たいのならばこっちの方が早いと思って、とっさに体温とかその他諸々生き物を感知できる力を高める薬を作り上げ、ハクロにも手渡してそろって服用する。


 目薬は最初こそ瞳孔が開いたりしてちょっと眩しく思うが、すぐに効果が出て……何が僕らに攻撃を仕掛けているのか、その姿を見ることが出来た。


「って、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!?」

【シュルルルルルル!?】


 僕らの背後に姿を現したのは、大きな獣の姿。


 ただしそれはただの獣ではなく、どちらかと言えばサイクロプスとかそう言う類の単眼巨人のようなモンスターの姿に見えるのだが…‥‥ただのサイクロプスの姿ではなかった。


 通常の者は皮膚は人の肌色に近いらしいが、その単眼巨人の全身は毒々しい色合いになっており、何と言うか絵の具を混ぜて失敗した色合いに不気味さを足したかのような体表をしていた。


 さらに単眼巨人っぽいのに、あちこちに小さな目玉があり、そこから光線を放っており、爆発の正体がその攻撃だったと悟らせる。


 また、胸部の方には大きな牙の生えた第2の口と言っても良いような物も存在しており…‥‥そこから光線も放ち、より大きな爆発を引き起こしていたようだ。


「というか、何なのこの化け物!?」

【わからないけど、とりあえず得体のしれない、何かってのは分かる!!】


 姿は見えてもどう対処すべきかはわからない。


 とは言え、一応攻撃手段と動き方が分かるだけでも避けやすくなったようで、ハクロの動きが少し安定した。


「でも、この化け物どうにかしないとだめじゃん!!」



…‥‥襲い掛かってくる、謎の巨人の化け物。


 ある程度の正体が分かったほうがまだ気が楽なので、ひとまず容姿の不気味さと似たような種から考えて『サイクロプス・怪』とでも名付けつつ、対応策を考え始めるのであった…‥‥


ちょっと気を緩ませていたら、意味不明な化け物に襲撃された。

存在自体が不明だが、僕らを狙っているのは間違いないようだ。

しかし、こんなものどこからやって来たんだ…?

次回に続く!!



‥‥‥百目鬼とかの方があっていたかもしれん

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