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4-1 磨き合いつつ進みゆく

新章です。

やりたいことがあったせいで、ちょっと中途半端に入った‥‥‥

‥‥‥夏も過ぎつつ、いつしか年月も経ち、来年度には17歳…‥‥高等部となるので、この冬が最後の中等部として過ごす冬季休暇の時期となるだろう。


 辺りは少しづつ冷えてきており、防寒着が着こまれていく中‥‥‥聞いているだけでも、寒さが和らぐような曲が学園内に流れていた。


~~♪~♪


 一本、また一本と弦が振るわされ、美しい音色を響かせていく。


 ピアノは流石にこの場に用意できずとも、弦楽器であれば彼女の糸で事足りたというか、使用している楽器は自作のバイオリン。


 もうちょっと演奏する人がいたらと思いそうだが、彼女は自身の糸を器用に扱い、魔法と併用して複数の弦楽器を同時に奏で、一人で一つの楽団のように振舞う。



 この寒さを吹き飛ばすかのように温かく、激しく、それでいて柔らかく、美しく‥‥‥様々なものを織り交ぜて奏でられる曲は終盤を迎え‥‥‥‥そして、最後の旋律となる。



~♪~~~~~♪‥‥‥♪


 ポロンっと、最後の音が流れ、終わりと共に周囲は惜しみない拍手を送った。


 美しい曲に感涙の涙を流し、情熱的に喜ぶ者も出る中、曲を弾いていた彼女はささっと楽器を片付けて、彼のもとに駆け寄っていく。


【アルス、どうだった?私、新しく弾けるようになったよ!】

「うんうん、良いとは思うけど‥‥‥ちょっと凄すぎないかな?」

【色々とできるように、努力したもの!私、アルスの側に立つのに、恥じないように、やった!キュル!】


 褒めて欲しそうに擦り寄ってくるハクロに対して、僕は頭を撫でてあげると彼女は嬉しそうに鳴いた。


 こういうところは変わらないなぁと思いつつも、ハクロの成長に感嘆を覚える。




‥‥‥年齢としては、現時点で僕は16歳となった。


 来年には17歳であり、そろそろ前世で言う所の高校生ぐらい‥‥‥そう、最初の頃は僕自身もかなり成長できているだろうと期待はしていた。


 けれども、運命とは残酷と言うべきか、今の僕の身長は数年前からあまり変わっていない。


 と言うか、全然身長が伸びる気配がない…‥‥何故だ!!



 悲しいような、このサイズならまだまだハクロの蜘蛛の背中でゆったりと寝転がれるから良いような、複雑な気持ちがある。


 けれども、それでもきちんと成長できている‥‥‥と思いたい。うん、ハクロの方がより成長して大人の女性っぽくしっかりとして来たというか、僕との結婚をしたいからか貴族の女性としての学びを積極的にしており、なんか芸が増えているけどね。この一人音楽団と言うような特技も身に付けちゃったよ。



 とにもかくにも、演奏も終わりつつ、もう間もなく来る冬季休暇へ向けて、僕らは準備をしていた。


 今年度は研究所ではなく、領地の方へ向かう予定。


 そろそろ代官の管理も終了し始めるようで、来年度からは僕自身がちょくちょく向かって領地経営に携わることになる。


「とは言え、普通ならば親が経営している中で、後継ぎの人が学ぶために戻ったりするんだけどね‥‥‥そのあたりも考えると、まだ大変だよなぁ」

【大丈夫、アルスなら、できる!】


 僕の言葉に対して、ぐっとこぶしを握って自信満々にそう口にするハクロ。


 応援してくれるのは良いけど、こればかりはどうにもならない。



 しかし、どうにかなってきていることもあった。


「ああ、それとハクロ、来年の夏季休暇あたりで国の法律の結婚部分が改正されて。結婚に関して自由度が広がるらしいよ。‥‥‥僕らの挙式とかも、もうちょっと経てばできるらしいよ」

【キュル!?本当!?】


 ぐいっと顔を寄せ、驚いたような顔をするハクロ。


 無理もないだろう、待ちわびていたことでもありつつ、時間がそれなりにかかったとはいえ、もう間もなく叶いそうなことができるのだから。




‥‥‥僕とハクロが告白し合ったのは良いのだが、それでも結ばれるには色々と問題がある。


 あ、一応学生の身分なので清い交際ではあるが、関係性としてはそうそう変わった点はない。


 でも、問題に関してはどうにかしないところもある中で…‥‥その中の一つ、人とモンスターは結ばれていいのかという点があったのだが、正妃様に相談したところ、国が議論をしてくれるらしく、結婚に関する法律が改正されるらしい。


 たった一組の組み合わせだけで、やっていいのかという疑問もあるのだが、そのあたりにはきちんとした回答があった。


 それは、仮に僕とハクロが完全に結ばれ、子を成したのであれば、その子はどうなるのかという点である。


 モンスターとしていいのか、人として扱っていいのか、そのあたりが疑問視されていたのもあって、将来を考えると同じような例が出てもおかしくはないという事で、改正に踏み切るようだ。


 ハクロのようなのが今後も出るのかは不明なのだが、可能性が無いわけではない。


 と言うか、彼女がいる時点で0でもないし、同じような状況になりたいと思う人が結構いるそうで、ならば前もって備えておくべきだという結論が出たそうである。


 まぁ、この問題が一つ解決しても、まだまだあるとは言え一歩前進したのには間違いない。


 それに、結婚に関しての話であれば最近あったからなぁ…‥‥


「‥‥‥そう言えば、第1皇女様からもあったなぁ。結婚式の招待状。ああいう感じなのを望みたいの?」

【んー‥‥‥どうだろう。でも、憧れるし‥‥‥】


 腕を組み、むむむと考えこむハクロ。


 そう、実は去年、まさかの第1皇女であったアリスが結婚をしたのである。


 お相手は帝国の友好国の一つの国の王子様であり、そこの王妃として向かうことになった。


 政略的な意味合いも多少はあったらしいが、それでも相思相愛にはなれたそうで、問題もなかったようだ。


 しいて言うのであれば、その王子は少々皇女様と趣味が同じだったらしいが…‥‥うん、人の趣味に何も言う気はないが、互いに気が合ったのであればそれはそれでいいかとは思う。その国内ではちょっとばかりその手のカップルも増えているらしいが、気にしないでおこう。




 とにもかくにも年月を経つつも、こういう話が出てくるとやっぱり気にしては来るだろう。


 教養や身分差の問題などもあるけれども、少しづつクリアできているのだから、最終的にはしっかりと何も問題がない状態にしたいところではある。


「まぁ、今はとりあえず、冬季休暇時の領地での過ごし方について話そうか。ああ、それとドマドン所長から領地へ向かう前に健康診断を受けて欲しいって手紙もあったし、受けに行こうね」

【キュル、健康大事。しっかり体、大切にしないと】


 

‥‥‥もう間もなく、高等部への進学である。


 この最後の中等部の冬季休暇を過ごせばいいのだが、この休暇中は領地でしっかり何ができるのかなど、把握していかないといけない。


 治めるべき領地も考えつつ、ハクロとの冬季休暇に、僕は心躍らせるのであった‥‥‥‥


【ところでアルス、飛ぶ?走る?どっちの方が、いいかな?】

「あー、どっちが良いんだろう?走るのも速いけど、飛ぶと安全だし…‥‥迷うなぁ」




冬季とは言え、領地内で何もやることが無いわけでもない。

と言うかそろそろ、完全に手中に収め始めなければいけない頃合い。

忙しく進みつつも、しっかりと把握して‥‥‥

次回に続く!!


‥‥‥この頃合いから、面倒な事も出てくるかなぁ。いや、今さらか。

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