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3-51 奇人変人怪人

‥‥‥世の中には、何かと変わった人もいるだろう。


 ごく一部なのだろうが、それでもそういう人たちかがいるからこそ、想いもがけない発見などもあるのかもしれない。


 けれども、その度合いも過ぎればドン引きさせられるものであり…‥‥



【‥‥‥あのスライムたち、言葉、聞きたくない】

「言わなくても、この光景がある時点で見たくもないよね」

「無理もないのじゃがなぁ…‥‥お主、まだそんなことをやっておったのかのぅ?」

「まだ?いや、違うのさ所長!!これはまた違った愛しきスライムたちが、覆い尽くしてくれるファンサービスともいえるのさぁ!!」


 ハクロが耳をふさぎ、僕も目をそらし、苦笑いしながら問いかけた所長の言葉に対して切りっとした表情でかつ、何処か恍惚としたような声で答える男性。


 そう、目の前で今、様々な色のスライムがうねうねと蠢き合い、一体化している男性こそがスライムの専門家。


 いや、その素性はこのエルスタン帝国の第3皇子クロスト・フォン・エルスタンというようだが…‥‥本当に皇子なのかと疑問に思わざるを得ないような変人であった。いや、不審者か?







‥‥‥本日、モンスター研究所に訪れた変人皇子クロスト。


 スライムを専門的に扱う研究者でもあるようだが、正直見なければ良かったとは思う。


 どこの誰が好き好んでスライムに捕食されているような状態の人を見るんだろうか。


「と言うかハクロ、スライムたちの言葉も分かるの?」

【断片的に、とぎれとぎれだけど、しっかりしているのが分かる。でも、聞かないほうが良い、アルスが分からなくても良い…‥‥いや、私も理解したくないような、えげつないもの…‥‥】


 耳をふさぎつつ、僕の言葉は聞き逃さないようにしているのか、器用に聞き分けるハクロ。


 いつもは笑顔を見せてくれるはずだったが…‥‥今回は耳をふさぎ、無表情でそう口にする。


 内容が気になるが、どうやら聞いてはいけないような羅列のようで、色々と疎いハクロでも流石に拒絶するレベルのものらしい。


「いやいやいや、この子たちの言っているこそはそこまででもないのさぁ!!そう、『自主規制』『自主規制』『自主規制』な事ばかりでもさぁ!!」


【‥‥‥あの人、人間だよね?何で、正確にスライムの言葉、理解できているの?】

「わざわざ訳さないでほしかったんだけど…‥‥しかも当たっているのか」

「そうさぁ!!この子たちの思いも何もかも、伝わってくるのさぁ!!」


 くるくると踊り、堂々と答える超変人(第3皇子)


 こんなのがこの国の皇子の一人でいいのかと、疑問に思うのであった。



 なお、元々はこんなスライムまみれになるような人物でもなかったらしい。


 幼少期は将来の皇帝の座を狙い、上にいる兄たちも蹴落とそうと手段を選ばない人だったそうだ。


 幼いながらも色々とあくどい事は考えていたようで、様々な罠を練っていた。


 だがしかし…‥‥そこで、事故が起きてしまった。



 兄たちを蹴落とすためには、尊厳を失わせたほうが良いのかもしれない。


 そう考え、どの様な手段が扱えるかと模索する中で、第3皇子はスライムによる罠で陥れようとした。


 けれども、その罠を設置する中でうっかりミスをして、結果として罠に使用する予定だったスライムに襲撃されてしまったそうである。


 その光景はすさまじく、王城内で起きたトラウマ光景ベスト3に今もなおランクインしているそうで、口に出さないようにしつつも語り継がれているという矛盾のようなものがあるらしい。


 そして襲撃の数時間後、なんとか救助できたときには、第3皇子は既に変わり果ててしまったらしい。



「そう、あのときのスライムたちこそが、将来の道を示す天啓!!最初は愚かな道を歩もうとしていたこの身を、自らをもって矯正してくれた天の使いでもあったのさぁ!!」

「‥‥‥道、思いっきり間違った方向に踏み抜いてないかな?」

【頭、ぶつけたの?いえ、スライムに喰われたの?】


 全身をスライムに覆われ、色々とあった後に、第3皇子は変わってしまった。


 何もかも陥れようと卑怯な手段なども考えていたのだが、それらをすべて無くし、徹底的に清算したらしい。


 過去の愚かな考えも何もかもを消し去り、本当は皇子という身分すらも無くそうとしたらしいが、流石にまだ幼い身でやるのはどうかと言う事と、スライムによって色々と変わり過ぎたので、どう扱えば良いのか分かりかねた部分もあり、身分までは無くせなかったらしい。


 とにもかくにも、一切の汚れの無い状態になってから着手したのは、スライムに関しての研究。


 自身が襲われたにもかかわらずに、彼はスライムに憑りつかれたかのように、研究にのめり込んだそうだ。


 清算をしたのも、研究するにおいて自身の穢れと言うべきものが全てないほうが良いと考えたそうで、その熱中ぶりはすさまじいもの。


 そして、他国へ留学して見分を広めさせるついでに、各地のスライムに関して自らの足を運び、調べに調べまくって…‥‥そして現在、立派なスライムの専門家と言う名の変態になったようであった。



「‥‥‥やっぱり、道を思いっきり間違えていないかな?」

【キュル‥‥‥スライムに、頭の中身、入れ替えられてない?】

「いや、それでも本望なのさぁ!!我が身がスライムと一体化すれば、それこそ真のスライムの専門家と言えないかね?」


 僕らの言葉に対して、堂々と口にする第3皇子と言う名のスライムの変態皇子。


【‥‥‥アルス、あの人、なんか怖い】

「僕も、怖いなぁ‥‥‥」


 ふんすうぁぁっ!!っと鼻息荒く、いかにスライムを愛しているのかと言う事を熱弁し始めた第3皇子に恐怖を感じたのか、ハクロがそっと後ろに下がった。


「いやいや、怖がらなくても良いとも。我がスライム道は理解されにくい部分もあるのだろうが、無理に理解してもらう必要はないのさぁ!」


 びしぃっとポーズを付けて堂々と言うようだが、スライムまみれなのはどうツッコめばいいと。


「スライムこそが真の平和の使者であり、研究の柱!!我が人生はスライムたちによって満ち足りた者になってくのさぁ!!」


「‥‥‥何と言うか、専門家ってこんな変人ばかりなんですか?」

「それは流石に無いのぅ。こやつだけが、飛び切りぶっ飛んでいるだけじゃ」


 かつては悪人と言えそうだったが、今は完全に改心し、日夜スライムによっての争いごとを無くす研究などにも励んでいるらしい…‥‥志としては、平和を愛するとかは聞こえがいいけれども、絵面がアウト過ぎないかな?


 こんなにも恐ろしく濃い人が皇帝一家にいたのかと、現実を疑いたくなるのであった‥‥‥‥



年齢制限をやっていたら、もっとえげつない言葉が出ていただろう。

でも、流石に事細かく伝えるわけにもいかなかった。

なので自主規制したが…‥‥無かったらなかったで、アウトなことになりそう。

次回に続く!!



‥‥‥どうしてこうなった。

本当はテンプレにあるような屑皇子的なものを考えていたのに、なんでこうなった。

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