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3-50 試しつつも話も聞いて

‥‥‥夏季休暇も順調に過ぎてゆき、終わりが見えてきた今日この頃。


【キュル~‥‥‥ブラッシング、気持ちいい♪】

「新しい櫛の研究だとか言われたけど、結構良いの?」

【うん!なめらかでありつつ、毛に絡まず、しっかり整う!】

「ふむ、女性向けのものが出来上がったので臨床実験してもらったのじゃが‥‥‥中々良いようじゃな」


 研究所での本日の手伝いは、研究成果を生かして作り上げられた試作品の性能検査。


 様々なモンスターを研究する過程で生まれた品々に対して、実用化のめどが立てば製品化を狙い、帝国の財源の一つにしようという試みでもあり、今回は女性向け製品を試しているのである。


 モンスターとは言え、人の身体も持つハクロは女性であり、製品に興味を持った。


 そこまで美容を気にすることは無かったのだが、面白そうな品があるということで、試しているのだ。


 そして今、やっているのは『ハリセンボケナスビ』という植物のモンスターから採れた棘を利用して作られた櫛の使用である。


――――――――――

『ハリセンボケナスビ』

一見普通のナスビのようだが、実は擬態した植物のモンスター。

生物が触れると瞬時に全部の皮から多くの棘が生えまくって突き刺しに来る。

刺さる事で移動を目論みつつ、怪我をさせて血液を出させ、それを吸い取って栄養にするという理由が確認されており、普通のイノシシなどのようにしっかりと害獣指定されており、見つけたらしっかりと狩る必要があるモンスターでもある。

火の魔法で遠距離から攻撃すればあっという間に無害な焼きナスビになり、味はかなり美味しいらしく、見つけたら狩られる運命にあるとも言えるだろう。

――――――――――


「皮膚に刺さらぬように先を丸く改造しつつ、血液を吸い取る穴は残しておるからのぅ。仕込みによっては薬も流し込めるので、美容液でも入れれば手入れがより楽にできるはずじゃ」


 その他にも、研究課程の中で生まれた用品は何かとあるらしい。


 『アシッドバッファロー』の毒液を薄めると人畜無害な香水に、『ビリビリクラゲ』の触手を詰め合わせた電気刺激の活性剤、『パルパルピッグ』の肉を煮詰めて上質なコラーゲン‥‥‥モンスターから採取できた様々な素材から、まだまだ多くの品ができてるようだ。


 とは言え、全部が全部、成功作と言うわけでもない。


 あくまでもここにあるのは、製品化が可能そうな品々であり…‥‥できなかったものも数多く存在しているのだ。


 香水にできても臭いが激臭だったり、料理になっても味が反転して激マズになっていたり、着心地の良い服になるかと思いきや水を含んだ瞬間に爆発したり…‥‥ろくなものが無かった。


 だからこそ、ここにあるのは貴重な成功品でもあるのだ…‥‥まぁ、失敗作だとしても、使い道は他にできるらしいけれどね。無駄なく、利用するらしい。



 とにもかくにも、様々な品々を試しつつ、使えそうなものを確認しておく。


 ブラッシングに使える櫛などは僕らも購入を決定させておく。こういう時位は、お金を使わないとね。



「にしても、美容品だけでも結構あるけど、スライム系からとれたものが多いですね」

「ああ、それかのぅ?元々は研究所から出たのではなく、とあるところから譲り受けてこちらで作ったのじゃよ」

【キュル?スライムの材料、譲ってもらったの?】

「うむ、スライム自体は種類が多いからのぅ。区別して飼育するのが何気に難しいのじゃが、それでも専門的に育ててこちらで研究できないかと譲ってくれるところがあるのじゃよ」


 異世界の定番と言うべき一つ、スライム。


 モンスターの一種でありつつ、その種類は幅広いそうで研究対象としてはかなり興味深いらしい。


 とは言え、飼育にはそれなりの専門的な知識が必要そうで、しっかりとその個のままで育成するのは難しく、個人の趣味でやっているところぐらいしか素材の入手ルートが無いそうだ。


「へぇ…スライムってあまり気にしないけど、こういうのを趣味で育てる人もいるんですね」

「そうじゃのぅ。研究対象にもしているようじゃが、スライム自体の飼育は難解なところもあるからのぅ。難しい原因の一つには、種族の変化が早すぎるのじゃよ」


 スライムはモンスターの中でも最弱の類のようだが、目立つ特徴としては環境に適応して自らを変化させる能力に優れているらしい。


 火山地帯であればマグマに強くなったり、岩石を主食にしたり、海であれば溶け込まないようにゲル状になったり、魚に擬態して泳ぐなど、スライムと言っても別々の種族に変化しやすく、ずっと同じ種のままにならないそうだ。


 だからこそ、特定の素材を採り続けたかったとしてもすぐに変化してしまい、同一の素材を中々入手できないという難しさがあるらしいのだ。


「そう言えば思い出したのじゃが、今度そのスライムを育てる者たちの中で、スライムに特化した研究を行う専門家の道を歩む奴が来るのじゃ。そやつに詳しく聞いてみるのも良いじゃろう」

「専門にする人もいるのか‥‥‥」

【キュル、スライム専門‥‥‥私のような、タラテクト専門の人とかもいるの?】

「残念ながら、そっちはないのぅ。無害なのが多い種族の専門家はいるのじゃが、人を狩る可能性が高いモンスターを専門にする奴は、少ないのじゃよ」

【んー、残念】


 何にしても、研究所に来客の予定があるそうで、スライム専門家な人とはどういう者なのか興味を持つ。


 面白そうな人だったらいいなぁとも思いつつ、まだまだある試作品の数々を試すのであった‥‥‥


「あー、でも専門家でも特化しすぎて変人になる人がいるイメージもあるような‥‥‥所長、そのスライムの専門家の人って、変人ではないですよね?」

「どういえば良いのかのぅ…‥‥ううむ、変人と言うかもしれぬが、吹っ飛んだレベルの奴はどういえば‥‥‥」

【なんか、不安かも】


‥‥‥ハクロが不安げな顔になったけど、大丈夫だよね?




ちょっと不安はあれども、専門家とはどういう者なのか。

色々と気になるが、まともな人だと思いたい。

けれども、その思いは裏切られるというか、何と言うべきか‥‥‥

次回に続く!!



‥‥‥どのぐらいの濃さがセーフなのか。

下手するとr15指定になりかねないので、調整必要かもしれん。

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