閑話 とばっちりというのは上に結構来るらしい
‥‥‥グラーダ共和国に存在するダンジョン都市。
そして、その都市の元となったダンジョン『ゲードルン』に居を構えているギルドの執務室では、そのギルドを治めている長のギルドマスターと、ナンバー2の副ギルドマスター、補佐を務める補佐官の3人は今、胃薬を飲みながら報告内容に関して苦々しい顔をしていた。
「‥‥‥まさか、ダンジョン内へ侵入者を許すとはな」
「普段は騎士たちが通りつつ、冒険者たちも利用するところだが、普段は変な輩が入り込まないようにしていたというのに‥‥‥監視体制に穴があったのか」
「そもそも、一国の皇女様も入っていたからこそ、より一層警備レベルを最上級に引き上げるべきだったはずだが‥‥‥結果として、危いところで国際問題になりかねるとはなぁ‥‥‥」
はぁぁぁぁぁっと、深い溜息を吐き、頭を抱える三人。
先日のダンジョン内に不法侵入及び襲撃をかけて来た者たちに関しての情報を得たのだが、聞くだけでも頭が痛くなるだろう。
無理もない。下手すれば物理的にまで首が飛びかねない事態になっていたのだから。
とは言え、現在は捕らえた者たちに対してお話をしており、情報を吐かせている状況。
そこまで有用なものもなかったが‥‥‥それでも、所持していた魔道具などから大体相手の背後にいるものはどのぐらいの規模があるのかと言うことぐらいは推測できた。
「貴族でもそうやすやすとできないようであり、ある程度の情報操作の痕跡や圧力の掛け方、その他に出て来たところを見るに…‥‥国レベルか」
「おおよそ、ヘンヅェル公国か、アーズガベル王国、メダトーン王国、ウボチュニア共和国…‥‥大体この辺りが疑わしいか」
「疑わしい国が多いのもどうなのか‥‥‥まぁ、どれもこれも怪しいものに手を出して、内部から腐敗が進み、そろそろ革命、自己破産、戦争などが噂になっているが…‥‥関わりたくない類ばかりだ」
はぁぁぁっと、再び深いため息を彼らは吐く。
いろいろと気になることは多いのだが、立場的に中々できない状態。
いや、冒険者たちのいるギルドの長達であるからこそ、冒険者をどうにか動かして‥‥‥と行きたいが、流石に国相手は無理すぎる。
なので今はとりあえず、今後同様の問題が起きないようにと言う対策や、今回の被害に関する補償などに関しての方に頭を悩ませるのだが…‥‥別の事も起きていた。
「‥‥‥あれからまたダンジョンに入った際に、警備も大量に増やし、冒険者たちも善意で全力で動いてくれたが‥‥‥さて、どうしたものか」
「一国の皇女相手の補償って、借金しないとできないぐらいだろうか」
「破産申請すべきか?」
一応それなりに時間も経過し、気持ち的には大丈夫になったのか、皇女一行はまたダンジョンへ入った。
防御をかなり固めていたようだが、襲撃の件を受け、ギルド側も動かないといけなかった。
そのための騎士の動員もし、冒険者たちの自主的な見回りに感謝もしたが…‥‥襲撃をされたという事実は無くなっておらず、そのお詫びをしなければいけない。
形だけではなく、何かこうしっかりと表したいが…‥‥どうしたものかと頭を悩ませる。
「そもそも、何で一国の皇女様が、こんなダンジョンに入って来るんだ‥‥‥」
「聞いた話では、皇女様の友人がここ出身の話もあったようで‥‥‥ほら、一緒に入った様子を見ましたよね?あのアラクネとか言う種族名称を持ったモンスターです」
「ああ、帝国の方で公認され、人と過ごしているとか言う話だったが…‥‥そいつが原因なのか?」
「どうも、蜘蛛のモンスターがこのダンジョンで群れをなしていたようですが…‥‥ソレはソレで、問題ありませんかね?」
‥‥‥ダンジョンと言うのは、うまく利用できれば資源の採掘場となるだろう。
けれども、扱い方を誤ってしまえば最悪な災害を引き起こしかねない場所でもあり、扱い方に関しては気が抜けない場所。
その中で、群れをなす系統のモンスターは、将来的に溢れ出して暴れ出す危険性があり、徹底排除の方針もあるのだが…‥‥それができていなかったかもしれないという可能性が出て来た。
相手が隠していたとか、ひっそりと気が付かれないように暮らされていたとか言うのであれば、見つからなかったのも無理はないかもしれないが‥‥‥それでも、ダンジョン内に気が付かれずに巣が出来上がっていたという事実。
その事に関して、下手をすれば責任問題にもなりかねない可能性が出てきており、胃痛が進行してきた。
「‥‥‥ああ、ここに就任してきたが、こんなに胃が痛くなる事態は久々だ」
「以前に、問題児だけの夢見る馬鹿共が暴れた時がありましたが、その時並み‥‥‥いえ、皇女様がいることを考えるとそれよりも上ですよね」
「なぜこうも、我々の健康が害されかねない事態が出てくるんだ…‥‥後で、退職願を出して田舎に引き籠ってもいいか?」
「「逃がさないぞ」」
一人が退職と言う手段で現実から逃れようとしたが、他の二人は逃さない。
楽に逃げようとしても、この現実を考えると死なば諸共の方が、気が楽なのだ。
何にしても一度の襲撃ではあったものの、関係者たちの胃痛や頭痛が悪化し、しばらくの間ダンジョン都市周辺の薬屋はやけに繁盛するのであった…‥‥
‥‥‥そしてそれからしばらくしたころ、とある国での噂が冒険者たちの間に入って来た。
ギルドマスターたちが話していた怪しい国々の内、メダトーン王国でのことである。
「なぁ、聞いたか?メダトーン王国の方で、物騒な事態が起きているって」
「ああ、聞いたぞ。なんでもあちこちで内乱が起きたとか、謎の奇病があったとか…‥‥国が滅びそうな話だろう?」
「ただ、不思議なのは神託とやらがあったそうで、メダトーン王国では神罰が落ちたとか」
「なんだそりゃ?」
この世界のでの宗教観はあちこち自由なところがあるが、噂によればどの宗派であっても同様の神託があったそうで、内容によればメダトーン王国の方でとある神が神罰を落としたという話。
その神罰によって腐っていた人々は国外へ逃亡することもかなわず、内部の方で悲惨な事態になっているという話だった。
「あくまでも噂だろ?そんな神罰なんぞ、そうそう落ちないような、むしろ何故落ちたと言いたい」
「まぁ、実際に目にしないと何とも言えないが‥‥それでもそんな話を聞くと、行きたくないな」
「そのせいか知らんが、メダトーン王国まで向かう行商の護衛とかも無くなって、ちょっと金欠気味だが‥‥‥それでも、怪しい話がある国は避けた方が良いからなぁ」
何かと不都合なことがあったりするが、それでも怪しい噂が流れてきた以上、避けた方が良いだろう。
こういう話なども敏感に感じ取って見聞きしなければ、何かあっても遅くなってしまう‥‥‥冒険者と言うのは一見宝探しをする夢見る職業ともいえるが、現実をよりよく見なければ生き残れない職業でもある。
そのため、その噂に関しては色々と考えることがあれども、事態の収束までは向かうことが無いようにしようと、誰も彼もが心に決めるのであった。
「そう言えば、この間ダンジョンへ来たあの蜘蛛の美女、また来てくれないかなぁ」
「聞いた話だと、恋に落ちているとか言うが、それでも容姿だけでも華があったな」
「そうそう、話によれば彼女のファンクラブというのが密かにあるようだが…‥」
‥‥‥ついでにだが、既にとあるファンクラブに染まり始め、いつの間にか怪しい噂の方は忘れ去り、蜘蛛の美女の話について盛り上がり始めるのであった‥‥‥‥
‥‥‥さらっとなんか、拡大してない?
いや、今さら感があるのだが、隙さえ見せれば侵食してくる。
ある意味、悪人たちよりも恐ろしいのではないかと思えてしまうのだが‥‥‥
次回に続く!!
‥‥‥GW、ペット飼いたかった。でも、休業ばかり。
なので、ちょっと気を紛らわせるために、wiiの時以来久しぶりにスイッチ版のどう〇つの森とやらを購入して見たが‥‥‥ああ、こののんびりとした感じ、良いなぁ。