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3-40 探る合間にも出てくるらしく

‥‥‥崩壊と言うのは、本当にあっけないもののはずだろう。


 たった一か所の過ちによって、全てが壊れていく‥‥‥、精密機械でねじ一本が駄目になって全てが駄目になる、巨大なダムでも蟻の巣穴ひとつで水が漏れ出て決壊する、一人を解雇しただけで業務が滞って何もなしえなくなる‥‥‥おかしな例え話が紛れこんだような気がしなくもないのだが、崩壊と言うのはあっけない。


 だがしかし、あっけないのであれば、それはそれでまだ救いはあるのではないのだろうか?


 その一つの過ちによって、あっというまに無くなるからこそ、感じる時間も無くなるのだ。



 けれども、そんなあっけなく終わらせるような真似はしないと、とある機械神は宣言し‥‥‥その神による神罰によって今、あっけない終わりを迎えることができなくなった者たちがいた。



「‥‥‥神罰、だと?」

「はっ。先ほど、国のすべての修道院や神殿内に務める神官たちの報告から、それが落されたという報告が同時に届いていました。各宗派、それぞれ異なるはずですが、全部から同じ内容の神託が落ちたようであり‥‥‥逃れようと国外へ脱出を図った者たちがいましたが、誰も彼も出ることができない状態になったことを確認いたしました」


 とある国の王城内。


 一室にて、国を治める国王は報告を聞き、眉をひそめていた。


「ばかばかしいと言いたいが…‥‥宗派もあがめる神も異なるところから一斉にか…‥‥どうやら真実と言うべきか」

「陛下、どうやらあの魔道具の軌道実験において関わっていた者たちから制裁を受けているようです」

「しかも、じわりじわりと広がり続け‥‥‥まもなく、我々の元にまでくると思われます」


 どこから出て来たのか、あちこちから報告される神罰が落ちたという内容。


 これが同一のところからであれば疑わしい程度ではあったが、まったく異なる数々の場所から出されたことに、信憑性が増す。


 魔法があるこの世界だからこそ呪いも存在しており…‥‥そして、神罰もまた、無いわけではない。


 だがしかし、そうそう落ちるようなものでもない。だからこそ形骸化して意味をなさないところもあるのだが、この様子であれば全部に伝わっているのだろう。


 そしてその神罰は…‥‥どうやらこの国で密かに進めていたとある魔道具の計画に関わっていた者たちが対象になっていたようで、末端からじわりじわりと受け始めているらしい。


 ある者たちは全身が激痛に襲われ、またある者たちは不幸に見舞われていく。


 タンスの角に全部の足の指をぶつけたり、どこからともなくタライが落ちてくるのはまだ可愛い方だろう。


 けれども、それがゆっくりと深刻化していき、骨が折れ、砕けていく。


 いや、骨だけではなく盗賊に襲われやすく成ったり、何かと不運に見舞われまくったり…‥‥徐々に深い傷を負うようにして迫って来るのだ。


「‥‥‥その神罰とやらは、止めることが可能か?」

「それが無理なようです」

「何処かの神が激怒しており、それでどこの神にも止めようがない…‥‥ただ、関係ない人には影響が出ないので、止める必要もない、と言う返答があったところも報告されております」


 自分達もまた、その計画に参加しており、神罰の対象だという事を理解している。


 逃れようと思ったのだが、それはできないようだ。


「国外逃亡のための魔道具を使用しても、元々対象となっているのだから、逃げようがない。まさに神罰と言うか、逃さない執念が見えるというべきか‥‥‥不味いな」


 自分達も逃げたいと思うのだが、それでも逃げようがない。


 神罰が下るのであれば、そもそもそんなのを受けている人を助けたいと思うようなところもないだろうし、関係性をもてば落ちるのであれば、もっと関わりたくはない。


 このままでは全員に神罰が落ちるのが目に見えており。けれどもどうしようもない状況で、手詰まりとなる。


「じわりじわりと、逃れようのない恐怖を与えてくるか‥‥‥どうすれば逃れられるか‥‥‥」


 自分達が引き起こした過ちなのに、逃れる事しか頭にない者たち。


 まともそうに見えても根幹部分ではすでに腐食されており、今さら助かりようがない事さえも、わかっていないようであった…‥‥










‥‥‥ダンジョン内での襲撃事件から数日が経過し、アルスたちは再びダンジョン内に戻っていた。


 とは言え、何も考えずに来たわけではない。


「そもそも、背後にあるのが何か、吐かせきれてないけど‥‥‥」

「むしろ、ここに来た方が良いという手もあるのよね」


 襲撃者たちは現在、徹底的に情報を搾り取られつつも、まだまだ残している状態。


 と言うかそもそも、面倒なところから妨害が多くあったようだ。


「まぁ、妨害の方はそれはそれで手掛かりになるのよねぇ…‥‥何処の貴族家だとか、さかのぼって調べやすくなって、大分特定できてきたのよね」


 相手が隠そうとすればするほど、どんどん手掛かりを得ている状態。


 帝国の間諜たちもフル活用して調べ上げているようで、相手が誰なのかひん剥かれるのも時間の問題だろう。


 後は、再びの襲撃が合ってもすぐに逃げられるような方法を模索して‥‥‥ダンジョンに潜ることにした。


 ここで襲撃されていたとはいえ、それでも脱出するための魔道具などがある。


 前は相手側がロクデモナイものを用意してきてやられたが、今回はカッチカチに固めつつ‥‥‥



「ついでに、何かあっても大暴れできるよね?」

【キュル!今度は大丈夫、全力、魔法、糸、扱って薙ぎ払う!!】


 拳を握り、力強く答えるハクロ。


 万が一戦闘があった時に備えて、全力を振るうとしたら地上よりもダンジョンの方が都合が良いのだ。


 

‥‥‥迂闊にやれば、色々と巻き添えにしかねないからね。


 後は、先日中途半端で終わった探索も終わらせることも兼ねて、再びダンジョンへ来たのである。


「ついでにまた何か、変なものを通せばココのギルドの人達の首が飛ぶことも決定したのよね」

「だから、血走った目で周囲を警戒して見ていたのか…」


 色々と思うところはあれども、ただ籠っているだけでは意味がない。


 どうせなら出てきたらソレはソレで、すごい後悔をさせてやろうと決めているのであった…‥‥



【後アルス、私の背中に括り付けた。今度はかばいようがないし、私の死角も防げて一石二鳥!】

「ハクロの背後って死角になりやすし、僕が見ていたほうが良いからね。こうやって背中合わせなら、直ぐに気が付くはず!】


「‥‥でもそれって、背後から攻撃をされても反撃できるのかしら?」

「一応、念のためにいくつか投擲タイプの護身用薬は用意してきたから、大丈夫なはず」


 猛烈爆散薬、毛玉変化薬、痛みを伴いながら毛が流れる薬、花粉症・アレルギー性鼻炎などを100倍ほど強めた症状になる薬‥‥‥‥命を狩り取る気まではないが、命の危機を味合わせるほどひどい状態異常にさせる薬をたっぷりとね‥‥‥‥


前は油断していたので、今回はガッチガチに固めた。

さぁ、何時でも襲えなら襲ってくるが良い。地獄を見るよりも酷い目に合わせてあげよう。

まぁ、それどころではないようだが…‥‥

次回に続く!!



‥‥‥ハクロの背中って、人型・蜘蛛部分両方とも死角にはなる。体を曲げて見ることはできるけど、普段から見るってことがそこまでないからね。

考えたらファンタジーの半人型モンスターって、大抵そこが死角になるのでは‥‥?

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