7,
「あいつら遅いな」
「そうですね・・・・・・」
高校を辞め今はバイトと《sins》のサポートを毎日の仕事にしていた。今度のライブはライブハウスからのオファーが来ていたらしく、ハコの規模は小さいけれど二組のバンドと対バンをするらしい。
対バンでは人気曲の『塵』と新曲を二曲を披露する予定だ。
今日は僕と春樹さん以外が仕事やちょっとした用事があり、その後で集まる様になっていた為に僕は他のメンバーより少し早く春樹さん達の部屋へと来ていた。
「というか春樹さん、今何か食べてます?」
今日この部屋に来てからずっと少し気になっていた。
僕の隣でソファーを背もたれにして作詞している春樹さんからいつもと違う香りがする。彼女が愛用していた煙草の強いメンソールが微かに未だ彼女を包んでいるが薔薇の香りのような芳しさが煙草の香りよりも己を主張している。
「あー、この間泪と出掛けた時にローズオイル香料の入ったタブレット見つけたんだよ。煙草やめて口が寂しいからちょっとな」
「なんで煙草やめたんですか?」
春樹さんはあの焼き肉パーティーの時から僕の前ではあまり喫煙をしなかったけれど雅さん達から聞いた話では結構な喫煙者だったらしいのに。
煙草は身体に良いことはないから禁煙は身体に善い影響はあると思う。でも、ストレスは溜まるんじゃないのかな・・・・・・?
春樹さんはふと優しく微笑む。
「勝ちたい奴がいるんだ。お前と俺が作った詞と秋斗と雅が作った曲、灰と泪が選んだ服でどうしても負けたくない奴等がいるから」
だから・・・・・・。意思の強い瞳が真っ直ぐ僕を見つめる。
「やっぱ、俺はボーカルだし煙草はやめんの。副流煙のが害になるし秋斗にも禁煙させたら、アイツ隙あらば雅にキスすっからもう腹立つ!」
腹立つと言いながらも春樹さんは優しく笑う。
ホントに兄弟と仲間を大切にしているのがよく分かる。
「・・・・・・負けたくない奴って、誰ですか?」
「《ジェミニ・シンドローム》ってバンド知ってるか?」
「《ジェミニ・シンドローム》? あ!」
《sins》にハマっていろんな音楽を探していた時に《カナリアナイト》と同じく、《sins》というバンドともどこか似ているなと、僕は密かに《ジェミニ・シンドローム》も推していた。まだアマチュアだと思う。
「確か・・・・・・。あ、このバンドですよね?」
僕はスマホを取り出し、SNSを開いた。自分では何かを発信する事はないけれど気になったバンドをプロ、アマチュア問わずフォローしていた。勿論、《sins》や《カナリアナイト》もフォローしている。
《カナリアナイト》はもう未来永劫新たな情報を更新することは無い。でも、彼らのフォロワーは減ることなく増え続けている。
それにしても便利な世の中になったものだ。便利なのもそれはそれで問題が生じるけれど。
「そうそう! 次の対バンで一緒だしバンドの方向性も似てんじゃん? だからなんかこう対抗心がな。しかも、アイツ等も双子バンドなんだよ」
彼ら・・・・・・《ジェミニ・シンドローム》はボーカルとベースが男女の双子、上下ギターが男同士の一卵性、ドラムとキーボードが男同士の二卵性。彼ら六人は母親同士が高校の同級生らしく胎児の頃からの付き合いなんだそうだ。
「俺達も双子と兄妹のバンドじゃん? 余計に気になってさ。しかも作曲家と作詞家も従兄弟だし?」
にししといたずらっ子のような笑顔を見せる春樹さん。作曲家と作詞家が従兄弟って・・・・・・。
「あの・・・・・・」
「・・・・・・俺達はお前を見捨てないよ。お前はもう大切な仲間だ」
あの入院中から春樹さん達は事あるごとに僕を『大切な仲間』だと、『見捨てない』と言ってくれるけれど、そういう言葉に慣れ親しんでなかったから、嬉しくてまた泣いてしまいそうになる。
「なーに泣いてんの。大丈夫。お前は俺達が守るよ」
春樹さんは僕の左腕のリストバンドに優しく触れる。
他人なんて信用してなかったのにこの人からの・・・・・・優しい従兄弟含め《sins》というバンドのメンバーからの言葉は不思議と信頼できた。
「ぼくは、『此処』にいていいんですか?」
「当たり前だよ、バーカ。何回も言わせんなって」
心地良い微笑みだ・・・・・・。なんて安心するんだろう・・・・・・。
僕もこの《sins》というバンドを命をかけて守ろう。そう誓った。
春樹さんが、涙の止まらない僕の頭を優しく抱き寄せた時、玄関から四人分の話し声と足音がしたけれど僕はこの優しい人から離れられなかった。
「わりー、遅くなっ・・・・・・。悪い、邪魔した」
僕を抱き締めている優しい人の弟がリビングのドアを開けたが、僕達の状況を見てばつの悪そうな顔をして再びドアを閉めようとする。僕は慌てた。
「あ、ああ秋斗さん! 邪魔なんかじゃないです! 帰らないで!」
「なんだよ、洵。つれないなぁ」
「わぁっ! 春樹さん?!」
背中から春樹さんの体温を感じて首には細い腕が絡まってて右耳に芳しい吐息。僕は後ろから春樹さんに抱きつかれていた。落ち着け僕の心臓。この人はこんな行為は大して深い意味はないんだから。でも、接近戦にはあまり慣れていなくて僕の心臓は激しく高鳴り顔も真っ赤になっているだろう。
「春樹さん、洵が茹で蛸になってるよ? 大丈夫なの?」
いつの間にか泪さんも僕を名前で呼ぶようになっていて少し照れくさい。
「・・・・・・だいじょうぶじゃないです助けて下さ・・・・・・。あれ?」
ふと従兄弟の異変に気付く。今朝にはなかった従兄弟の異変。元々従兄弟とは身長差は少しあるけれど今は僕が地べたに座っていて従兄弟は立っている状態だから結構見上げた体勢で少し顔の赤い従兄弟を見つめる。
「・・・・・・? 洵どうした?」
「あ、いや、あの・・・・・・」
その異変を口に出すのは少し抵抗がある。
「あら、ジュンちゃんが気になっているのはこれじゃない? お熱いわねぇ」
灰さんが意味ありげな笑みを浮かべ雅さんの首筋をつつく。そこには僕が気になっていた立派な所有印。
「え? 首? ・・・・・・っ秋斗!」
「いや、お前もノリノリだっ・・・・・・いてっ」
自身の異変に心当たりがあるのかさっきの僕以上に茹で蛸になっている雅さんはあっけらかんとしている恋人の脇腹を小突く。照れ隠しかな?
秋斗さんといる雅さんはとても乙女だなと感じる時がある。乙女というか・・・・・・、本当に秋斗さんが好きなんだな。
「ふふっ」
そんな幸せそうな恋人達を見て僕はつい微笑んでいた。
「・・・・・・洵?」
「あ、ごめん、雅さんは本当に秋斗さんが好きなんだなって思って」
「えっ?! あ、いや、じゅ、洵?!」
「そうなんだよ、洵、分かってんじゃん。雅は俺がいないと駄目だし俺にベタ惚れ・・・・・・って、いてぇよ雅」
「う、うるさい!」
僕の発言を火種にして雅さんは顔を真っ赤にしたまま狼狽えるし、なにか秋斗さんに言われるとすぐに手が出るのは照れ隠しだと分かる。そんな雅さんに彼以外はニヤニヤと笑い出す。此処では従兄弟の立ち位置は良い意味でいじられキャラだと感じるようになった。僕がまだ《sins》と知り合う前は従兄弟のことをムカつくくらいにしっかりした出来上がった人間だと思っていたけれどそれは表向きの雅さんで、実際はすぐに狼狽えるし秋斗さんには強く言えない恋人に激甘な照れ屋な人だった。
「・・・・・・まあ、でも、洵が笑えるようになってよかった」
「え、あの・・・・・・」
僕が楽しくて嬉しくて笑うなんて確かに数ヶ月前はあり得なかった。どうしようもなく憂鬱で幸せそうな人間が許せなくて周りを妬んでいた。でも、最近はそうじゃない。この温かく優しい人達といると自然に笑顔になる。
「前みたいなブスっとした顔より笑顔のが似合うよ」
「だな」
双子が同じ優しさで僕の頭を撫でる。心地良い。
「秋斗さん、洵ばっか構ってたら雅さんがまたヤキモチやくよ」
「ほらほらぁ雅もスマ―イル!」
「べ、別にヤキモチなんかやいてないよ!」
兄妹は少し不機嫌になった僕の従兄弟をいじり倒し、また従兄弟が拗ねる。双子が同じタイミングで欠伸をする。兄妹は程々の距離を保ちつつ離れない。
温かい環境。ずっとこんな心地よさが続けばいいのにと僕は願った。
僕は変わろうと思ったんだ。この人達と一緒にいて相応しい人間になろうと、少しでも変わろうと努力することにした。
もう、他人を羨んで生きていくのはやめた。
その日はスタジオが予約いっぱいで取れなくてあまり練習というモノは出来なかったけれど、次のスタジオ練習に向けて作詞作曲を詰めた。そんな日の帰り道。
「雅さん」
「ん? どうした?」
「僕はもう前髪で顔を隠さなくても、分厚い眼鏡が無くても、生きていける気がするんだ」
雅さんは一瞬ぽかんと間抜けな顔をしたがすぐにあの優しい微笑みを見せてくれる。
僕は元々視力が悪い。でも、長く鬱陶しい前髪をかきあげ、分厚い眼鏡を外して見た世界はとてもとても綺麗だった。
世界が綺麗だと感じた二日後は午後からスタジオで練習が入っていた。
僕は午前中に用事を済ませ、少し遅れていつものスタジオに入る。
僕のすることなんかほぼ無いに等しい。出来ることといえば曲達を聴く、差し入れを持って行く。それくらいだ。
「遅くなってすみません」
「おー、じゅ・・・・・・洵?!」
「お、まえどうした?!」
「あらぁ、やっぱり従兄弟ねぇ~!」
「用事ってそういうことだったんだね」
春樹さんと秋斗さんは同時に同じ動作で僕の変貌ぶりに驚き慌て、灰さんは自分の近くにいた雅さんと僕を見比べ、泪さんは僕が遅れた理由を冷静に分析する。事情を知っている雅さん以外の四人の反応は予想通りで少し笑えた。
僕は二日前の帰り道、髪を染め直すという従兄弟についていき美容室で今流行の髪型にしてもらった。予約をしていなかったが昨日は割と客数が少なかったので腕がよいと評判の美容師さんに担当してもらえた。長くボサボサだった漆黒の髪はスッキリとしたアッシュブラウンの今時のショートカットになり、そして、今日は朝から眼科に行きコンタクトも作った。
気持ちも少し軽くなった気がする。
「・・・・・・変ですかね」
「いや、似合う。こっちのがいいよ」
春樹さんが短くなった僕の髪を優しく撫でる。少し、くすぐったい。
少し顔が熱いような気がするのは気のせいだろうか。
「観客も来たし練習しようよ」
少しニヤニヤといやらしい笑みを浮かべた泪さんが練習を勧め、僕と雅さんをパイプ椅子に残して四人はそれぞれ相棒を手に自身の担当の位置につく。
――ザワッ・・・・・・
緊張感で肌がぴりぴりする。もう何回も《sins》の音楽に生で触れているのにこの感覚にはまだ慣れない。
一曲目は定番の『塵』。あの路上ライブで僕がこのバンドに惹き込まれるきっかけになった曲。
春樹さんはスタンドマイクに軽く身を預け目を閉じる。灰さんがスティックでカウントし秋斗さんと泪さんが続いて相棒を愛でる。
(・・・・・・来る!)
春樹さんがゆっくりと瞳を開ける。そして、絶叫。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
その絶叫と共に負の感情を全て吐き出していく。苦しさ、つらさ、痛み、悲しみ、切なさ、儚さ・・・・・・。そして全てを吐き出し終わると少しずつ確実に前に進んでいく。絶望と希望が合わさって今がある。そんなこの曲が僕は大好きだ。
この曲が出来た時には僕は此処にいなかった。僕はこのバンドの存在など知らなかった。どんな苦痛が彼らを蝕んでいたのかなんて分からない。この温かな人達の絶望なんて何も知らない。でもこれだけの苦痛が彼らを蝕んでいた。もしかしたらあの『マキナ』さんという人が関係しているかもしれない。この優しい人達がこの先もずっと笑顔でいれたらいい。僕なんかが守れるかなんて分からないけれど、いつか恩返しをしたいと思いながら《sins》の音楽に溺れていった。
そして、新曲。新曲は僕が書いた詞を元に春樹さんと添削を繰り返したバラード。
いつまで僕はあの人を、あの人の『嘘』を引きずっているのだろう。
どうして消し去れないのだろう。
あれは『過去』の記憶にすぎないのにどうしても忘れられない。
未だにあの人を想っているのではない。恐らく僕はあの人をトラウマに感じているのだ。
でも、春樹さんの儚い声を聴いていると本当に掬い上げられたような感覚に陥る。
その瞳が、その声が、その優しさが、僕を包み込みフワフワと温かい感覚がする。
この感情は、一体何なんだろう。感じたことの無い感情が僕を支配する。
とりあえず僕はこのよく分からない感情を忘れようとして夢中で春樹さんの声を感じていた。
「「はらへったー!」」
練習を終えスタジオを出た瞬間、双子が同じように伸びをしながら同時に空腹を訴える。
十一月になり少し肌寒く感じる夕飯時である。スタジオの周辺の飲食店からはいい香りが漂ってきている。
「ラーメン食いてぇ」
「それなー」
「今日はみんなお仕事お休みだし食べて帰りましょ」
「そうだね。雅さんと洵もラーメンでいい?」
「いいよ」
「僕も賛成です」
言い出しっぺの双子を先頭に僕達はワイワイ言いながら近くのラーメン屋を品定めしていく。その間、春樹さんと秋斗さんはラーメンは醤油だ、いや味噌だという討論を止めない。外見や性格、言動が似ていても彼らの食の好みは正反対なんだと僕の隣を歩いていた従兄弟が笑う。
「あ! あんたら《sins》ちゃう?」
突然、背後からよく通る綺麗な女性の声が響き僕達は振り返った。そこには瓜二つな外見の男女二人組。
「・・・・・・《ジェミニ・シンドローム》の・・・・・・?」
僕達の中で一番に反応したのは春樹さんだった。その言葉はこの間春樹さんが闘争心を燃やしていると言っていたあのバンド名。
暗くなった空のもとで飲食店から漏れる光が相手を照らす。
「やっぱりそうや! うひゃー! 迫力あんなぁ!」
小柄な彼女は人懐っこい笑顔で《sins》との距離を詰めてくる。それに続いて彼女の片割れも此方に向かって歩き出す。
春樹さんと向こうのボーカリストさんは対照的。春樹さんはどちらかと言えば外見も仕草も声質も男性的であるが、《ジェミニ・シンドローム》のボーカルの彼女は外見も仕草も声質も女性的だった。だけど、このボーカルはマイクを持つと化ける。今こうしてフワフワした人懐っこい笑顔を浮かべているけど、いざ歌い出すとそのフワフワとしたかわいらしさは消えて春樹さんにも負けないくらい力強い反逆を吐く。
「はじめまして。ずっと会ってみたいと思ってたんだ」
「いやぁ、光栄やわぁ。ウチらも気になってたんですよ。よかったら仲良うしたってください」
それぞれのボーカリストがにこやかに挨拶を交わす。
《ジェミニ・シンドローム》は元々関西で活躍していたが今年上京してきたのだとSNSで公表していた。
「そっちはもう飯食った? 俺達これからラーメン食いに行くんだけど」
「うぅ、それがさっき皆で食べたところなんすよ~。あ! よかったらライン交換しませんか?」
効果音付きで大きなアクションで自身のiPhoneを取り出すボーカリストさん。
ライブ動画を観たことはあったけれど素の状態とのギャップに僕だけでなく春樹さん達も少し戸惑った様子だった。この女性は本当にあのボーカリストなのか。
「実架、いきなりすぎやろ」
「何事も勢いが大切やで、琉架!」
「ま、バンド仲間は多い方がいいし交換しようか」
春樹さんを筆頭に僕と雅さん以外の《sins》の四人と《ジェミニ・シンドローム》の二人はそれぞれ連絡先を交換していく。
「やった! 《sins》さんのラインゲットだぜ! って、おおう?」
あまり年齢は変わらないはずだが僕より年上には見えないような無邪気に喜ぶ実架さんの頭を春樹さんが撫で回す。
「お姉さんどないしたんです?」
「いや、泪とは違うタイプの妹的存在だなと」
「確かになんか私もこの子の頭撫で回したい」
泪さんと実架さんを同じ妹という分類で考えるなら、泪さんは落ち着いててしっかりした出来る妹という感じだが実架さんは小動物のような癒やし系の無邪気な妹という印象を受ける。
「きゃっきゃ! もっと撫でていいんですよ! 綺麗なお姉さん達に撫でられて嬉しい!」
「「かわいい・・・・・・!」」
春樹さんと泪さんは何かスイッチが入ったように夢中で実架さんの頭を撫でたり抱き締めたり、一方実架さんは嬉しそうにお姉さん達にされるがままになっていた。そんな女性陣を呆れた顔で見ながら溜息を吐くのは実架さんの双子の兄、琉架さん。
「すんません、こいつアホで」
「まあ、雑な姉よりマシ・・・・・・って、いてててて!」
秋斗さんはサディストに見せかけて本当は違うのではないか。よく春樹さんや雅さんに怒られるような言動をしているのはそういう趣味なのではと思う時がある。
そんな少し失礼なことを考えているとふと実架さんと目が合う。
「こちらのお二人は?」
「うちの自慢の作曲家と作詞家」
「え、あの、春樹さん・・・・・・って、いった!」
雅さんがバンドにとって誇れる才能を持っているのは理解出来るが僕はそんな・・・・・・。と思っていると秋斗さんが僕にデコピンをする。本当に地味に痛い。
「全くお前は、うちのボーカルが自慢だっつてんだろー」
「・・・・・・うー、はい・・・・・・」
「自信が無いところがうちの作曲家と作詞家の悪いところね」
灰さんに言われて隣に視線と向けると雅さんもばつの悪そうな顔をしている。雅さんは本当に才能のある人だが、自分に自信が無いそういう所がやっぱり僕達の血が繋がっているところなんだろうな。
「・・・・・・メンバーから誇られるのが一番嬉しいことやで」
「・・・・・・え?」
ポツリと実架さんが零した言葉は微かな寂しさが含まれていた。
「さて、引き留めてすんませんでした! もっとお話したいけど夕飯まだみたいやし失礼しますね。またラインしますね!」
「お邪魔しました。対バン楽しみにしてます」
口々に再会を心待ちにする言葉を交わし合い二組のバンドマン達はわかれる。
僕達は実架さんと琉架さんとわかれた後、醤油ラーメンも味噌ラーメンも美味しいと評判の店で夕飯を楽しんだ。
しかし、実架さんが零したあの寂しさは一体なんだったのだろう。




