〜上島、ホームページの制作を考える編〜
「なんなら自分が作っても・・」
薄々だが期待をしていた言葉を言ってくれた彼。
「えっ!?ホームページ作れるんですか!!?」
すご〜く、わざとらしい口調になってしまった・・
「はい、一応。・・常識でしょ?」
後半の発言にこいつの素を解間見た印象を受けた。でも我慢。
「じ、じゃあ作って貰えませんか?自分、本当に作れないんで」
発言に
「本当に」と付ける時は大抵は嘘をついている事が多い。という情報は知ってはいたが、これは本当だな。と身に染みて実感した。
「えっ、まぁいいですよ・・少し時間がかかりますが、それでもよろしいのなら・・」
作って貰えるんなら1週間でも1か月でも待ちますよ!いや、1か月は待ち過ぎかな・・
「はい、是非お願いします!」
こうして彼にホームページを作って貰う事を約束した俺は、彼と軽く今後の予定を話し合う。
自分1人の独断でホームページを作成する訳にはいかないという彼からの要望で、ひとまず彼の家に行きホームページ作成の打ち合わせをしようという事になり、その日は彼と別れた。
「てか、今日面接らしい事したかな・・?」
そんな疑問を抱きながら帰路につく・・
・・そして指定された日が来た。俺は電車に乗り、彼の実家近くにある神奈川の某市の駅に降り立った。
最初に会った日に彼に書いて貰った手書きの実家までの地図を見ながら、おぼろげな足取りで進む。
約10分後、彼の実家と思われる建物前にたどり着く。
「・・デカっ!」
まず、彼の家の何に驚いたかと言うと、とにかく敷地が広いのである。余裕で草野球や草サッカーが出来るであろう広さはあった。家屋は立派な和風の建造物で、その周りは打ちっぱなしの高いコンクリートの壁で覆われている。
玄関を見つけ、側にあるインターホンを押す。
「ピンポーン」
家の中から、かすかにチャイムが鳴る音が聞こえる。
「はい」
インターホンから彼の声が聞こえた。
「あっ、上島です。例のホームページの件で来ました」
さすがに2回目ともなればいくら最初でも、声は震えないな。
「あっ、はい!今玄関開けますね」
彼の声も震えてない。少しは慣れて貰えたのかもな。
ちょっとしてから玄関が開いた。当たり前だが顔を出したのは彼だ。
「待ってましたよ。上がって下さいよ」
彼からの有り難い言葉。
「はい、失礼します」
本当は失礼とは思っていないが一応、形式的に発言する。
そして彼の家へと足を踏み入れる。