〜上島、面接相手にしどろもどろ編〜
「か、加藤さんですかぁ?」
声が震えてる。しかも東北訛りみたいになってるし・・
「・・は、はいそうでつっ!」
向こうも声が震えて東北訛りみたいになってる。加藤は加藤でもこれじゃ加藤茶だな・・しかも緊張でパックのコーヒー強く掴み過ぎだし。
俺はなんとか冷静を保とうと思いながら言葉を返す。
「こ、ここじゃなんなんで良かったらち、近くのハミレスに行きませんかっ!?」
声が震えてるし、ファミレスをハミレスと言ってしまった。しかも語尾がなんか喧嘩口調・・
「そぅでずね!」
向こうは先程より更に緊張したような声を出してきた。もはや東北訛りの域を越えていた。
「じ、じゃ、行きましょうか・・」
声は震えてるが、さっきよりは普通に言えた気はする・・2人で近くのファミレスに行く。お互い煙草は吸わないので、店員から禁煙席に誘導される。
席についてもお互い何を喋っていいのか分からず沈黙・・
沈黙は苦手な性分なので、こちらから話を切り出す。
「な、なんか注文します?」
声が震える以前にファミレスに来たのだから何か注文するのは当たり前なのに、変な質問をしてしまった。
「コーヒーにしようかな」
さっきの声は震えは何だったんだ!?てな具合に彼は普通の口調だった。「さ、さっきもコーヒー飲んでましたよね・・?」
俺は相手の取り方によっては失礼に当たる質問をぶつけてしまった。
「あれは別腹で・・」
女みたいな事を言う奴だな・・
「じゃあ自分もコーヒーにしようかな・・」
彼と同じコーヒーを選ぶ。慣れたのか、声の震えは自然と収まっていた。
で、店員を呼び2人揃いコーヒーを注文。ドリンクバー扱いなので、セルフでコーヒーを注ぎに行く。
「お先にどうぞ・・」
面接官らしく、紳士的な態度をかざす。
「あぁ、どうも・・」
彼はこちらに軽く会釈をし、コーヒーを注いだ・・