搦める
つくづくあの人は狡い人なのだと思う。
何故なら、こんなにも私を搦め捕える癖に、何も与えてはくれない。
狡い人だ。
甘い言葉で搦め捕る。
蜂蜜を搦めるように簡単に。
知っている。
ただ置いておきたいだけだという事。
わかっている。
何れあっさりとこの雁字搦めの鎖が解かれる事。
早く解いて欲しい。
甘い蜂蜜に搦められて抜け出せなくなる前に。
自分ではどう足掻いても逃げられないのだから。
逃げた処でどうせまた搦め捕られるに違いないのだから。
早く。
早く。
私が、貴方無しで生きられなくなる前に。




