無着色少年
君が僕をそう思うなら それでいい。
僕はそれにそうだけだから。
「そう。」と君は言う。 「そう。」と僕は言う。
机の上は消しカスで
汚れて
君がゆっくりと “それ”を はらうのを僕は見ていた。
ふっと
君の指がふでばこに触り、
倒れる。
数々の色が机の上にころがる。
それが照らされて光る。
開け放たれた窓から
急に射し込んだんだ。
今まで暗かったくせして。
僕は泣きそうになった。
だって
僕は無着色少年だから。
窓に引っ付いているカーテンだけが風でパタパタと音をたてた。